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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百三十五話 ミライからの光

「分かった。ディーンを釈放しよう。」


俺はメタボの親玉がこちらに向かっている可能性と

ディーンの潔白をライデンに説明した。

即答だった。


「ライデン隊長!こんな奴の言う事を

信じると言うのですか!!」


部下がライデンに食って掛かるが

ライデンはあっさり却下した。


「信じる信じないの次元では無い。

彼に逆らえない以上、我々に選択の余地は無いのだ。

どうしても承服出来ないというのなら

許可を出すから、何なら君が討ち取ってみたまえ」


ライデンの言葉に合わせて

俺は背中ら創業祭を引き出すと

片手で石の床に突き刺し、立てた。


「いいねぇ。俺も話すより

そっちの方が楽だ。」


俺はそう言って食って掛かった部下を

睨みつけた。

オーラも少し出す。


部下は態度を豹変させ

ライデン隊長に謝罪した。


いるんだよな。

自分では出来ない事なのに

上司の不手際だけ批判する輩。

もっと上手くやって見せる自信が無いなら

大人しく従って欲しい。


「リック・デアス殿は・・・。」


「ああ、それでも通じるんだが

ガバガバ辺りにはアモンと言った方が

話が速いかもだ。」


アモンの単語に騎士達だけでなく

ディーンまで戦慄した。

身じろいだ弾みで鎧が金属音を立てた。


「あ・・・アモン・・・まさか」

「実在したのか・・・。」


美味しい感情が漏れまくりだ。

悪魔男爵バロンの姿を見ているので

説得力は絶大だった。


その後のライデン以下は実に従順になり

俺もディーンも囚人服から

元の服装へと戻った。

王城へ向け伝令を1人走らせ

残った騎士にはガラス製の盾を配った。


「酸の攻撃・・・ですな。」


1人事情を知っていたライデンは

即座に理解し部下達に説明をしてくれた。

うん、楽でイイぞ。


「そう言うワケでディーンにはコレをやろう。」


刀身を陶器、所謂セラミックで作成した刀だ。

デカイ虫の抜け殻には効かないかもしれないが

メタボ系を相手にするには有効だ。


俺は刀をディーンに渡した。

受け取ったディーンは馴れた動作で抜刀し

刀身を確かめると

その次は試し振りを始めた。


「軽いな・・・斬れるのか。」


奥様

鋼製より軽くて疲れない上

錆の心配も御座いません。


「試して見た方が速いな。」


俺はそう言ってディーンと

表に出て、適当に木材を地面に打ち込んで立てた。

半信半疑の表情のまま

ディーンは居合を繰り出す。

素人目には何も見えないし

何も起きなかった。


「上手いな畜生・・・。」


やはり刀の扱いにおいては

ディーンは俺より数段上回っていた。


「何だ・・・・この刀は・・・。」


初めて味わう手応えに困惑の表情を浮かべるディーン。

俺は木材に近づくと

ゆっくりと斜めにスライドを始めた先端部が

地面に落ちる前にキャッチして

切断面を観察した。


「・・・ホレ。」


見て見ろ、文句があるなら言って見やがれ。


そう言って切れた木材を放り投げた。

キャッチしたディーンは俺と同じように

切断面を見て驚きの声を上げた。


「くっ・・・自分の腕が上がったと錯覚してしまいそうだ。」


弘法筆を選ばずというが

腕が同じなら差を分けるのは道具だ。

実力がある者程良い道具が必要になる。

ピンクのマラソンシューズを問題視しているが

走る実力の無い者が履いても宝の持ち腐れだ。

それだけの記録を出せる

足と心肺機能があってこそなのだ。


「まぁ気に入らないなら捨ててもいいぞ。」


俺がそう言うと

ディーンは激怒した。


「捨てるだと馬鹿野郎!これ程の業物

刀鍛冶がどれほど魂を込めたか

それを捨てるなど無礼にも程がある。

打った職人以外、その言葉は言ってはいけない」


「だから作ったの俺だって」


激怒から呆けた顔に豹変するディーン。

こいつ刀の腕前だけでなく

顔芸でもそこそこイケる男だ。


「そうなの?」


「そうなの。」


俺はストレージから

習作の刀を次々と取り出して続けた。


「どれで好きなのを持って行っていいぞ。」


刀使いが居ない。

俺もナリ君もリリアン師も

もうお気に入りは所持している。

これ等はそれに辿り着く為に生み出された

習作ばかりだ。

捨てるのも勿体ないので仕舞って置いたが

全然、取り出す機会が無かったのだ。


「おおおおおおおおおっ」


目を星マークにして

驚嘆の声を上げるディーンは

玩具屋に来た昭和の小学生の様に

輝き出した。


全てを試し終わる頃には

すっかり辺りは夕暮れ時だ。


「やはり最初の一振りが最高だ。

ただこっちのは失われてしまった俺のに

一番近い、これは手に馴染むな。」


「両方やる。」


散々斬られた経験で

ディーンの得物の数値は想像がついていた。

ディーンが最も強くなれる刀だと

思ったから最初に渡したのだ。

俺は自分の読みが的中した事に

自分でも驚く程、嬉しさを感じていた。


「銘は何と言うんだ。」


ワクワクした様子で聞いて来るディーンに

俺は多少焦ってしまった。


付けて無ぇよ習作なんだから・・・。

何かでも悪くて言えない。


すんごい期待した顔で待っているディーン。

速く思いつけ俺。


「一振り目がミライ。」


「おぉ!!」


からの


「鋼製の方はヒカリだ。」


「うん。良い銘だ!!」


うーん、言った後で思ったんだが

何か

卵みたいだ。


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