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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百三十一話 ひとりじゃない

ダークが苦言を呈するのもしょうがない。

命令を誰よりも忠実に実行する忍者に

アイギスの様な

あんなファジィな主はたまったものでは無いだろう。


アイギスは誰彼構わず

とにかく困った顔が見たいだけみたいだ。


俺はその他にも

色々と質問した。

格下相手にも関わらず

ヴァサーは気前よく答えてくれたが

俺にヴァサーの嘘を判定する術は無い。

確証を取らず

鵜呑みにするのもどうかと思うが

相方が相方なので諦めた。


騙すメリットも無いだろうし

何よりシンアモンさんの逆鱗に

二人共触れたくはないようなので

ここは信じても良さそうだ。


因みに初見の攻撃の効果は

ヴァサーの強制転移で

対象を消滅空間に放り込む技だろうだ。


「魔王も神もアソコに送れば帰って来られないからね。」


自信満々にそう言うヴァサー。

何か悪いので俺が帰還した話はしないでおいた。


適当なトコロで礼を言い

俺はヴァサーの館を後にし

バリエアへと向かった。


ヴァサー達が防衛しているなら

当面は安全だろう

のんびり観光がてら行こうじゃないか。


俺は宮本たけし姿で

偽馬車で丘からバリエアを目指した。


安全とは言っても

ネルドその他の惨状は伝わるだろう。

ドラゴン種の説明はガバガバ親子にしておいた方が良い。


そして関所で足止めを食らった。


しまった、通行証は愚か

身分を証明する物も持っていない。

何と誤魔化そうと考えあぐねている内に

衛兵の内の1人に馬が作り物だと見抜かれてしまった。

俺は慌てて、ついストレージに仕舞いこんだ。

これが最悪手だった。


奇妙な魔法を使う怪しい者として

捕まってしまった。


関所に付随する牢屋に放り込まれる結果となった。


身ぐるみも全部剥がされ

まぁヤバいモノはみんなストレージに入れたが

とにかく囚人服に着替えさせられ

足には鉄球付きのアンクレットがハメられてしまった。

輪っかも鎖も鉄球も

全て鉄なので俺には良い餌だ。

2秒程度で吸収可能だが

騒ぎが大きくなるだけなので

大人しく捕まる事にした。


そんな気になれたのは

この囚人服のせいだ。

アレです。

白と青の横ストライプです。

コントでもやらない限り

着る機会が無いものだ。

日本の囚人服はこのタイプでは無いし

海外でも青ではないらしい。

何か嬉しくなって来て

つい顔がほころんでしまい

衛兵及び看守達に気味悪がられてしまった。


「この牢屋には魔法を無効化する仕組みがある。

変な気は起こさない事だ。」


「へいダンナ。了解でさぁ」


俺のノリノリの返事も

気味悪さを加速させたようだ。


こうして俺は鉄格子の牢屋に放り込まれた。


早速、俺は両手の袖を結んで

縄跳びの要領で後ろ手状態になると

牢屋の床に這いつくばって叫んだ。


「僕ばギラ”ぢゃな”-い”信じでぐでよ”-っ」


久々の藤原だ。

やっぱり楽しいコレ。


「うるせぇぞ新入り!!」


枕が飛んで来て俺の頭に命中した。

二人部屋だったのか。


「あぁゴメンなさい。」


ちょっと恥ずかしい。

俺は照れ笑いを浮かべながら

両手を前に戻し、袖を解き

枕を拾って先輩に返した。


先輩は木製の二段ベッドの上で

寝ていたのだ。


俺の差し出した枕を受け取る先輩。

俺はその顔に見覚えがあった。


「誰だっけな・・・・。」


「ん?俺を知っているのか。」


絶対知ってるぞ。

思い出せ俺。

今の普通のトーンの声も

聞き覚えがしっかりあった。


記憶を高速で巻き戻すが

中々検索HITしない。


「ふーん、まぁ俺も裏の世界じゃ

そこそこ知れた顔だからな。」


そうなの

全然思い出せないんですけど


「あの・・・名前教えてもらっていいですか?」


先輩はコント様にガクッと崩れると

渋々自己紹介をした。


「ディーンだ。」


これで驚くだろうと思って居る様だ。

キメ顔でそう言う先輩。

ゴメンなさい。

そんな名前の人知らないや。


「ディーン・・・。」


眉をしかめて考え込んだ俺を見て

ディーン先輩はまたガクッとずっこけた。

この人コント向きな人かもしれない。


名前は知らないが

顔と声は知っている男。

この条件で再検索を掛け

脳をフルドライブさせた。


「ちっ・・・まぁイイけどよ。」


ガッカリした様子でディーンは

後頭部をポリポリと掻いた。

そのはずみで後ろで纏めていた髪が解け

デコ出しのロンゲ状態に


その途端に検索HITだ。

バロードでアリアに狼藉を働いた

ハゲ親父の用心棒の刀使いだ。

囚人服と無精ひげのせいで

すっかり別人だったが

その缶コーヒー探し歩きそうな髪型で

思い出す事に成功した。


なんだ、お前か。

ディーンって名前だったのか。


バラす。

バラさない。


うんバラさない方が面白そうだ。


「ディーン先輩はどうして捕まっちゃったんですかー?」


「先輩って・・・年そんな変わんねぇだろ。」


「いやいや年齢とかじゃないスよ。

囚人の先輩っす。」


嫌そうな顔になるディーン。

そして後輩が先に卒業とかしたら

もっと嫌な気分になるんだろうな。


「ねぇねぇ何で何で?」


俺は興味津々でそう聞いた。

半分はからかっているのだが

半分は本当に気になっているのだ。

コイツのレベルは37だ。

そこいらの騎士では相手にならない程の強者だ。


「まぁ・・・色々だ。」


話したくない感じバリバリだ。

敗北者の匂いが漂った。

罪状はともかく

恐らく逃げ切る事が出来ず

戦いの末、敗れて捕まったのは間違いなさそうだ。


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