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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百二十九話 二人の魔王

どうにも取りつく島が無い

というか接舷の方法が分からない。

むしろ一切言葉が通じずジェスチャーのみの

コミュケーションの方がまだ理解出来た気がする。


俺が困っていると

幼女の背後、歯車が簡単に切り替わり

空間が自然に開いた。

バングの1型が障子を破く様に干渉するのに比べ

障子を普通にスライドさせた感覚だ。


仕組みが分かっていて

無理なく自然にそうした。

時空系も熟達するとここまで行けるのか

俺は少しビビって

つい一歩後ずさってしまった。


間違い無い

先程の時空系の攻撃

その主は今から出て来る奴だ。


「アモン?何でココに・・・。」


開閉に手足を使用しないので

まるで自動ドアのようだ。

そいつが出てくると

開いた空間は自然に閉じた。


出て来た青年は

これまた幼女に合わせた様な衣装だ。

吸血鬼か怪盗かなんかですか。

そしてイケメンだ。

第一印象的にバイスを思い出したが

彼はまだ人間の範疇だ。

こいつはマンガの世界の住人だ。

手足の細さ長さが少女漫画規格だ。

殴ったら折れそうだ。


「って・・・ああ」


そいつは俺を走査した。

上位版のデビルアイだ。

以前ババァルにされた時と同じ感触を

俺は再び味わった。


「君が噂の地上のアモンという事だね。」


「え?では初対面という事?

何て事なの私ったらてっきりアモンだとばかり

いつもの調子で話してしまったわ。

どうしてくれるの?

すっかり変な子のイメージが付いてしまったかも知れないわ。」


かもじゃなく

もうあなたは変な子です。


俺をシンアモンだと誤解しての

やりとりだったのか

よくあんなやり取りでシンアモンさんに

撲殺されないものだ。

思って居たより懐の深い人だ。


「えーっと、自己紹介してもらえたりしますか。」


周囲に人が居ない事は完全膝カックン耐性で分かっていた。

目撃される心配は無いのだが

悪魔男爵バロンだと4m程でデカイ

どうしても見下す恰好になる上

幼女と話すのにはデカ過ぎる。

俺の方に敵意が無い事を理解してもらう為にも

そうした方が良いだろう。

俺は宮本たけし姿になるが

能力は使用出来るように半魔化状態で

変化してそう言った。


「そうだね。初めまして私はヴァサー。

魔界では第三位の魔王で時空魔王だ。」


頭を下げる事は無く

青年はそう名乗った。


成程、時空系が見事なのも当然だ。


「そして、こちらが・・・。」


ヴァサーが紹介しようとするのを

遮るように幼女は言葉を切り出した。


「私はアイギス、疑獄魔王よ。」


幼女は胸を張ってそう言った。

おいおい

て事はババァルが行方不明な今

TOPに当たる二位とその次の三位が

今俺の目の前に居るって事か。


「攻撃の事は済まなかったね。

アモンに頼まれていた事だったんだ。」


「え?俺、抹殺対象なの・・・。」


ミネバインと対峙した時以上の

絶望が俺を襲った。

ミネバインもどう倒して良いか

分からなかったが

シンアモンさんはもっとだ。

じっくり観察している余裕もない

敵となれば逃げの一手しかないだろう。


「アハ、違う違う。このエリアに

侵入してくるドラゴン種を頼まれてね。

単独で飛行している強力な物体を

感知したものだから、てっきりそうかと。」


惚れ惚れするような素敵な笑顔だな。

同性でコレなのだから

女子はひとたまりも無いんじゃないか。


「にしても良く避けたね。

ちょっと焦ったよ。」


「噂は大袈裟ではないようね。」


自身の攻撃に絶対の自信があったようだ。

まぁ時の歯車を体感的に感じ取る事の出来る体質のお陰だ。

脳内アラームだけでは

どう対処すれば良いか判断出来ないからな。

警戒したまま食らってしまっていただろう。


「どんな噂なんだ・・・。」


「「俺が地上にもう一人居るって」」


いや

あそこまでデタラメじゃないんですけど


「立ち話もなんだ。寄っていかないか」


ヴァサーは笑顔でそう言った。

俺の中で色々な思考が錯綜した。


どこに?

バリエアに急ぎたい

こんな貴重な情報収集の機会は無い。


俺の返事を待たずに

ヴァサーは先程の扉を開いた。

どこにの疑問は愚問だったようだ。

バング以上にこいつは距離関係無いんだ。


そして開いた扉

その向こうは真っ暗で見えない。

そこに躊躇なくピョンとアイギスは入って行き

ヴァサーも歩いて入っていってしまった。

どうも俺の返事は関係無いらしい

無視して立ち去っても

それもどうでも良い感じだ。


「お邪魔しまーす。」


入るか。

俺は意を決して空間に開いた

四角く黒い場所へと歩みを進めた。

センサー系を色々稼働させたが

案の定、何の情報も得られなかった。


まぁ流石に罠という事は無いだろう。


そうは思ったが

どうしてもおっかなびっくりの挙動になってしまった。


当たり前だが

通り過ぎた先は別の場所だ。

頭では分かっているし

対バング戦で経験もしているが改めて驚く。


無人の丘では二人とも奇妙な恰好だったが

この部屋ならバッチリだ。

豪華でレトロな宮殿のロビーの様な場所だった。


背後の黒い枠は

俺が通過すると開いた時と同様に

自然に閉じた。


俺は視線を正面に戻し

しばし観察した。


窓は有るものの外の風景

あれは・・・消滅空間か

明るくも暗くも無く

灰色でゆっくりと流れている様に見えた。


周囲にはメイドや執事の恰好をした悪魔市民が

直立不動で待機していた。


「狭くて済まないが贅沢も出来ない状況でね。」


嫌味でも照れ隠しでもない

本気でそう思って居る様子でヴァサーは言った。

何か片手で合図をすると

近くのメイドが素早く椅子を引いた。


そこに座れってか


長ーいテーブルの上座に

ヴァサーとアイギスはとっくに腰を下ろしていた。

俺は促されるまま椅子に腰かけるが

どうしても自分で椅子を動かそうとしてしまう俺と

俺の座るタイミングで椅子を合わせようとするメイドと

なんか牽制のしあいになってしまった。


誰か笑うかと思ったが

良く訓練されている様で

堪えている様子も見られなかった。


ただ1人、アイギスだけは反応した。


「いいわ。信用しない姿勢

私は評価するわ。」


いや

そう言うんじゃないんだけど

庶民には馴れない動作なだけなんだが


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