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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百二十八話 新生バリエアへ

「リディ様。」


なんか、おっさんが俺の席の方まで

キラキラした目でやって来た。


誰だっけ

宮廷魔術師のチャ・ウンカイだ。

覚えてる覚えてる。


「ん、何だ?」


「改心の出来でございます。」


そう言ってチャ・ウンカイは

何やら解説を始めた。

何を言っているのか分からなかったが

喜々として語るその様子に

「うるさい」とも言えずに

聞いていると

あるポイントで俺は思い出した。


「酸に対して完璧な耐性です。」


対メタボ装備だ。

やっべー

忘れてた。


もう要らない。


四天王の戦い

その後何にも無い事から

完全決着したと判断していいだろう。

直後には残っていたメタボが

チラホラ出現したが

問題になる程の量では無く

現在はむしろ保護対象になる程

数が減った。


言えない。


鼻息を荒くし

新装備の利点を語るチャ・ウンカイに

俺は演技全開で答えた。


「よくやった。これでメタボ対策は万全だな。」


喜ぶチャ・ウンカイが

俺の後ろめたさを加速させた。

まさか自分から珍味が溢れるとは

味わってくれる悪魔が

今、この場に居ないのも残念だった。


そのまま夜が更けたので

その日はヒタイングで宿を世話になった。

今回はデフォが人間なので

食事や睡眠などの回復は

取れる時に取っておくに限るのだ。


翌朝、朝食を終えると

俺はヒタイングを後にした。


「さて次は何処へいくか。」


飛び立ってから考えた。

エルフの里は人が少ないので

ドラゴン種の襲撃の対象には

なりにくいと考えた。


「やっぱり危険度の高い場所から優先だよな。」


何処だ。

俺がドラゴン種を指揮するとしたら

何処を襲う。


「そりゃ首都だよな。」


バリエアだ。


うーん。

足が重い。

いや、翼で飛んでるんだけどね

行きたくないと言う意味合いでね。


今まで行く用事が無かったと言うのも

嘘では無いのだが

避けていたというのも正直ある。


どうしても思い出す。

あの海に浮かんだ死屍累々の

回収作業だ。

一人一人丁寧に弔ってやりたかったが

数が数だ。

次第に作業的になり

最後はダンボールかなにかの

物の様に扱ってしまっていた。

あの時の自分は好きじゃないのだ。

しかし、紛れもなく自分自身の本質だった。

否定のしようがない。


引きずってても仕方が無い。

気持ちを切り替えて行くか。


俺は西へと飛行した。


超音速だと小一時間程度で

アリシア大陸の西端まで到達出来た。

待機操作を解除すると

空気の壁が速度を消費して

俺の体表を熱する。


「なんじゃこりゃあ。」


減速しながら見た新生バリエアの街並み

その様子に俺は思わず声を出してしまった。


あの廃墟の面影は見る影も無い程

キレイで見事で巨大だった。

場所を間違えたのかと思う程だ。


まぁ復興なんだから

そう言うモノなんだろうが

それにしてもドワーフ本気出しすぎだろ。

ベレンよりスゴイ

間違いなく、この世界で一番の都市だ。


呆けている俺の脳内にアラームが響いた。

時空系、時の歯車が切り替わる様な感覚を覚えた。

これはババァル・・・のに近い

と言うより上だ。

より洗練されている事が俺にも分かった。


重力操作を再開し

切り替わる歯車を避ける様に回避

得体が知れない攻撃なので

念のためデビルバリアを展開した。


何も起きない。


回避が成功した証拠だ。

恐らく攻撃だったのだろうが

時空系は特殊だ。

ハズレの際は何も起きないので

傍目にはシャドウボクサーの様に


1人で何してるの状態だ。


更に厄介な特徴で

攻撃者の場所も分かりにくい。

矢や魔法の様に攻撃者の手から

放たれ目標に飛んで行くモノなら

居場所が分かるのだが

コレだとどこから攻撃を仕掛けたのか

分からないのだ。


「何だ?今のはドコからだ。」


俺は誰も聞いていないと言うのに

ファンネルの攻撃を初めて受けたア〇ロの

真似を独り言で呟きながら

完全膝カックン耐性のレンジを広げた。


脳内アラームが鳴ると言う事は

同格かそれ以上だ。

動いていなくても

レベル表示されない解析不能な相手が敵だ。


居た。

真下だ。


悪魔光線を叩き込むべく

俺は内圧を上げならデビルアイで

対象を補足して・・・止めた。


攻撃出来ない。

幼女だ。


「行かなければ。」


俺はなるべく威嚇しないように

ゆっくりと降下して

幼女の元に降り立った。


幼女は無表情のまま

視線は俺を追い

首はゆっくりと上向きから水平に戻った。


俺は歩いて近づいた。

警戒はMAXだ。

見た目は幼女だがデビルアイで解析出来なかった。

悪魔男爵バロン姿の俺を見ても

怖がる様子も無い。


やっぱり普通じゃ無い。


服装からもそれが窺えた。

こんな郊外の丘だというのに

フリフリのゴスロリ衣装にも

ブーツにも汚れが一切無い。

手荷物も無し

付近に馬車も見えない。

こいつは何処からどうやってココに

つか何してんだ。


「お嬢さん。こんなトコロで何をしてるのかな」


俺の口から出た言葉はバルバリスの公用語では無かった。

悪魔連中が使う言語だ。


「真っ先に疑いを向けるのね。

でも何の信用も無い私が

どんな説明をしても何の疑いが晴れる事は無いのよ。

何を知ろうというのかしら」


えーっと?

何だって


「・・・俺はアモン。お嬢さんのお名前は?」


「先ほどの質問の答えは良いのかしら?」


「いや、教えて欲しいけど

打ち解けないとダメかなっと思ってさ。」


「心を通わせても人は嘘をつくわ

いいえむしろ通わせれば通わせるる程

偽りを演じるモノよ。」


うーん

どうしたらイイんだコレ


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