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ぞくデビ  作者: Tetra1031
420/524

第四百十九話 先輩は誰

一つの空間が在り

その中で神々と悪魔達が壮絶な戦いを繰り広げた。

両者とも甚大なダメージを負いながら休戦。

その壮絶だった戦い。

両者の亡骸から第3の世界

神と悪魔の両方の特性を微弱ながら有する生命

人間が誕生した。


こうしてこの空間は

神々の住まう天界

悪魔達の住む魔界

間に挟まれた格好の人間界


この空間は三層の世界に分かたれた。


神が魔界に攻め入ろうとも

間に挟んだ人間界で弱体してしまい分が悪い

これは悪魔側も同様。


なので有利な自陣で迎え撃つのが得策だが

どちらの陣営もそんな愚策は打たなかった。


それを覆すべく

圧倒的な戦力差を得るべく

両者の戦いは

第三の世界の住人

人間をいかに自陣に取り込むか

その戦いにシフトしていった。


その節目になるのが

互いの陣から1人づつ地上に出張って

地方営業するのが今までの「降臨」だ。


「地方営業の例えが分からんが

概ねその通りじゃの。」


俺の説明に腕を組み、目を閉じ

頷いてビルジバイツは同意した。

他の悪魔も同様だった。


「これが嘘、と言うか間違いだ。」


一番最初にヴィータから教わった世界の構造だ。

神側は勘違いをしていたのだ。

そして今のビルジバイツ達の反応を見る限り

悪魔側もその勘違いは同様だったようだ。


「ハァ?何も間違っておらんじゃろ」

「ですじゃ。世界は間違いなく三層構造ですぞ。」

「力関係も疑いを持たれるような

不自然な所は見受けられないでござる。」

「おい馬鹿だからってバカな事言うな。」


俺はナナイの胸を鷲掴みにして

話を続けた。

ペッタンコだったせいで

あばら骨に指がゴリッとか滑った。


「現状、結果的には合っているんだが

最初、成り立ちが違うんだ。」


「板たたた・・・アアン」


変な声を聞いたので

俺はナナイをたちまち放り捨てた。


「最初というと神々と悪魔の戦争かや?」


首を傾げるビルジバイツ

うんカワイイぞ。


「そうだ。そんな戦争は無かったんだ。」


「では、如何にして人間界は産まれたというのですじゃ

神と悪魔、その両方の特性を持ち得る手段など」


首を傾げるフクロウ

これはこれでカワイイのだが

中身を知っているので撫でる気にはならない。


「逆なんだ。」


一つの空間

そこに一つの世界があり人間が居た。

脆弱な肉体に反して高度な知能を持った

その哀れな支配種ドミネーター

支配種で有るにも関わらず

他の野生動物

大自然の災害

極小の細菌やウィルスなどの病気

これ等に命を奪われながら

怯え、恐怖し生き永らえた。


その怯えや恐怖は

無意識化で共通の概念となり

この支配種ドミネーターは自分達も気が付いていない権能で

別の世界を構築してしまったのだ。


畏怖・感謝・喜びをくべた世界、天界

恐怖・恨み・増悪をくべた世界、魔界


それぞれの世界に自分達の姿を基本に

憧れの翼や恐怖の象徴だった角などをトッピングして

天界の住人・神々

魔界の住人・悪魔達


これらを想像し

それぞれに役職や物語などの

バックボーンを補強し

強力な存在の力を与えたのだ。


神も悪魔も

人間の産物だったのだ。


「ば・・バカな脆弱な人間風情が」


そう脆弱だ。

支配種ドミネーターとして不自然極まる位に弱い。

ただ人間の真の力は肉体の能力や攻撃力などでは無いのだ。


存在の力

この世界の理を根本から揺する事が出来る。

ソウゾウの力だ。


人は想像し創造し

本来あるべきはずの無い

世界に無かったモノを作っていってしまう。

これはもしかしたら恐ろしい事かも知れない。


存在の力

その総量が有限だった場合

人が新たに誕生させて得てしまった存在の力

その分、世界は欠ける事に繋がるのだ。


個人的な考えだが

このせいで

この世界には穴がアチコチに開いてしまい

それで、バングやらメタボやら

次々と他の空間の世界から

攻められやすくなっているような気がしていた。

穴だらけなので引っ掛かりやすいのだ。


「仮説として、不敬極まりない上

それを立証するモノも無いですじゃ。

地上のアモン殿は我らを侮辱して何をお求めかな。」


ショックを受けるビルジバイツを気遣ったのか

ドスの効いた声で俺を脅す様に

フクロウはそう言った。


「証拠と思えるかは任せるが

界外の連中が神にも悪魔にも目もくれず

ただひたすら

人間を目指して襲い掛かっている。

支配種ドミネーターと呼んでな。

この世界の主人が神

或いは悪魔なら

なんで無視するんだ?」


雰囲気が一変した。

何?

これはヤバい事を言ってしまったか

早目に理論の補強もいれてしまおう。


「それに祈ってくれる人間が居なくなれば

神は無力になるだろうし

同様に誘惑する人間

悪感情を振りまく人間が世界から居なくなれば

悪魔はそのエネルギーをどうやって手に入れるんだ。」


上手い具合に固まっている。

このまま言い切ってしまおう。


「神も悪魔も人間無しでは存在出来ない。

だから誕生した順番は人の方が先だと思ったんだ。

これが俺の理論の出発点だ。」



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