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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百十一話 アキュラ姉妹

ワイバーン

優れた飛行能力を有し

硬い鱗は鋼の鎧以上の防御を誇り

更に魔力抵抗値も抜群で魔法も効きにくい。

鋭い足の爪という近距離武器

炎のブレスと言う遠距離攻撃まで持っている。

およそ戦闘に置いて理想的な能力を有していた。


が俺には何一つ脅威にならなかった。

如何に優れた飛行能力と言っても

空力に依存している以上

翼で羽ばたいている限り音速には届かない。

重力操作で飛行している俺には

旋回性能も最高速度も

空中に置いて全ての運動性能で比較にならなかった。


ワイバーンは俺に追いつけないし

俺から逃げる事も出来ない。


攻撃の全てを躱す事が可能だが

戦って見て理解した。


避ける必要も無い。


俺のボディ強度の方が遥かに勝っている為

噛みつけばワイバーンの牙が折れ

引っ掻けばワウバーンの爪が折れた。

炎のブレスも1000度に届かない。

一時間連続で浴びても俺の肉体には

何の問題も発生しないだろう。


ワイバーンのあらゆる攻撃は

俺に効果が無かった。


ワイバーンの防御はもっと悲惨だった。

創業祭は冷蔵庫に仕舞い忘れたバターの様に

いとも簡単にワイバーンの体を切り裂き

悪魔光線は数体貫通しても

エネルギーの消費が終わらず

彼方の空を貫いた。


初めの方は面白がって創業祭で

切り刻んでいたが

途中で飽き

移動を止め滞空しながら専ら

悪魔光線で処理を続けた。

二十を超える軍団だったが

ものの数分で片が付いた。


「つまらん。雑魚だ。」


俺はそう言って足元のネルネルドを見た。

ワイバーンが雑魚なのは

俺から見た時であって

地を這う人間から見れば

かつてない脅威の魔物だ。

要塞だったネルドですら墜ちた。

養成所兼野戦病院は考えるまでも無い。


壊滅状態だった。


破壊された建造物を見ると

主要な建物が襲われていた。

司令部は言うに及ばず

一番痛いのは

食料や医薬品などを備蓄していた倉庫が

やられていた事だろう。

ただ厩舎なども攻撃されていた事から

ワイバーンに戦略があったのではなく

ただ単純に大きい建物から順番に攻撃したように見えた。

一番に攻撃をして来た箇所への反撃

二番に大きい建物といった感じだ。


俺は身に覚えのある不快感を感じたので

地上に下りる事にした。

これは知り合いが居る様だ。


「かつて遭遇した事の無い新種の飛行型モンスターに

襲撃されてネルネルドは壊滅状態だわーっ」


「火の玉が飛んで行って、これは流石の司令部も

ただ事では済まないわよ。」


外に用事でもあったのか

ネルネルドに向け滑るソリが見えた。

シスターが二人乗っている。

アキュラ姉妹だ。


「でもガガガお姉さま。これは一体どう言う事なのかしら

巨大な悪魔があの恐ろしい化け物を一掃してしまったわ。」


「ビビビ。今は生き残っている人の救助が最優先よ。

今も燃え盛る炎のなかで助けを求めているかも知れない。

大丈夫、私たちには神のご加護があるわ。

邪悪な存在からきっと私達を守って下さる。

祈りましょう!」


ご加護があったネルネルドがこの有様だし

痛ててて

お前達を守っているのは

お前達自身の力なんだが


相変わらず良い祈祷だ。

ワイバーンの攻撃より

よっぽど堪えるぞ。


いつだったか

ファーの報告でビビビはネルネルドの姉の補佐に

行く事になったと言っていたっけな。


俺はネルネルドの敷地内に着陸すると

即座に人化した。

開門を担当する者が見当たらない。

どうせ門ももう意味が無い無いだろう。

俺は遠慮無く火球ファイアーボールで門を吹き飛ばした。

煙が治まる頃に二人の乗ったソリが

滑り込んで来た。


「よう、元気そうだな。」


俺はそう声を掛けた。

ビビビはガガガと顔を見合わせていた。

お互いに相手の知り合いだと思って居る様だ。


ああ

もうチンチクリンにはなれないんだっけな

どうするか

初対面で行こうにも、そうなると

最初の「元気そうだな」のセリフがおかしい。

良いアイデアを思いつかずに

考えあぐねていると

ビビビが返事をして来た。


「もしかしてリディ?」


「・・・よく分かったな。」


この年齢のはずが無い

常識フィルターで別人だと認識するのが普通だ。

こいつはもしかして普通じゃない人なのかも知れない。


「の親類の方ですか?」


普通の人だった。


「いや、リディ本人だ。」


もう学園に潜入する事は無い

というか学園が運営していない。

三半機関関係者には俺が大人な事は

言ってあったがビビビは

その組織の該当者では無かった。

隠しておく理由も無い

情報交換をスムーズにする為にも

言って置いた方が良いだろう。


俺はそう思ったので

子供の姿は学園に潜り込む為の

偽りの姿だったと説明した。


どんな魔法なのか

もう一回やってみろ


そう言われたらどうしようと

内心ヒヤヒヤだったが

以外にもすんなりとビビビは納得してしまった。


「大人びているとは思っていたけれども

そう言う事だったのね。」


子供っぽく無かったか。

俺とビビビのやり取りの内容を理解したガガガも

驚きの声を上げた。


「ええ!じゃあ、あの時の救世主は?!」


以前ヨハンがなまはげになった時か

あの時はガガガに案内してもらったんだっけな。


「神の御導きだわ。あの時の様に

また私達をお救い下さるのね。

さぁ生存者の救助を始めましょう!!」


いや

その神側に殺されかけたんですけど

俺の宣戦布告の情報はネルネルドに届いていないのか

それともリディ=アモンのカラクリを

知らないのかガガガは希望に満ち溢れた声で鼓舞した。


まぁ助けますけどね。


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