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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四十話 天界の現状

「ふむ、いずれにしろ貴重な情報だ。」


なんとなく帰る流れになっている

様な気がしたので

そうなる前に

俺はウルに尋ねた。


「ヴィータはどうなったか知っているか

罰とかヒドイ目に遭わされてはいないか」


いかん

さり気無くクールに聞くつもりだったが

ちょっと熱が入った感じになった。

気にし過ぎかな。


ウルはなんとも言えない表情で黙り

しばらく沈黙していたが

ようやく口を開いた。


「ミカ。強制しないのか」


俺への答えでは無く

答えないウルになぜ強制力を

ミカリンが発動しないのか

その問いだった。


「主様の望みだからね。答えないようなら

もちろん使うよ。けど、僕もウルの

反応が見たいな。」


ミカリンはそう言った。

ウルはフッと笑う。


「結果は同じなら言ってしまおう」


なんの様式美なのかは理解しかねるが

ウル的には協力者の立場に

なれない、なりたくない理由が

あるのだろうか。


「その前に聞かせろ。なぜお前が

ヴィータ様の無事を心配するのだ

恨みなら逆に罰を期待するだろうに」


ウルの解釈では

あくまで俺は聖刻によって

強制的に支配されていたようだ。


「あいつはイイ奴だよ。

イイ奴が理不尽な酷い目に

遭わされてやしないか。

単純に心配だ。

今は何も助けてやれないが

今後の行動方針に関わる事だ。」


一瞬嬉しそうな表情になったウルだが

それが見間違いかと思える程

今度は暗く沈む。


おいおい

やめてくれ

まさか


「ふむ、今回の降臨でヴィータ様は

なんら罰を科されてはいない。」


それは良かったが

ウルの暗い表情は別に

理由があるハズだ。

俺は続く言葉を待つ

心臓がうるさい

受肉は不便だな。


「健康状態にも異常は無い

そういう意味では無事と言える」


まだ暗い表情だ。

罰無し

健康

これはOK

何がマズいんだ。


「お前が降臨の際、ヴィータ様と

どんなやり取りをしたのか

俺は知らないが・・・・・

ここからはちょっと覚悟して

聞いてくれ」


そんな関白宣言みたいな

前フリいいから

早く言ってよウルポン。


俺は返事の変わりに頷く。


「ヴィータ様は降臨の際の

出来事を全て覚えておられない」


重力系の魔法か

足元が揺らぐ

違う

眩暈ってやつか


「アモン!」


すかさずミカリンが俺を支える。

そんな大げさなと思ったが

それでも二人してオラオラ状態だ。

マジ倒れる寸前だったのか俺。


「ひとまず、座ろう」


「そだね。アモンほら」


ウルとミカリンに助けられながら

俺は岩に腰掛けさせられた。


「大袈裟だよ」


俺はそう言ったつもりだったんだが

声になっていなかった。


「・・・アモン」


ミカリンが本気で心配している。

今の俺はそんなにダメなのか


『大丈夫ですわ』


幻聴のババァルまで心配している。

久しぶりに聞こえた。


やっぱりヤバいですね俺。


俺はストレージから竹筒を

3つ取り出して目の前に置くと

1つを一気に飲み干す。


「ふーっ」


肺の中で引きこもりになっていた

空気を一気に外に出す。

横隔膜その他の呼吸・発声系

仕事しろ


「飲み物・・・という奴か」


既に1つはミカリンが飲み始め

残った1つを手に取り

観察するウルはそう言った。


上位天使だった太郎こと

カルエルは食事は不要だが

可能であった。

味が分かるかどうかしらんが

下級天使も飲める・・・と思う。


ちょっとおっかなびっくりな様子で

ウルは竹筒に口を当て

ゆっくりと飲み始めた。


「受肉ならば、喜びに感じるのだろうな」


全く感動無しだ。


「記憶が無い理由は分かるか」


俺は続きを聞いた。

ウルは安心した様子で

返事をした。


「落ち着いたようだな。では」


ウルの話は少し長かった。

記憶を無くす理由が

今、天界でいくつもの派閥の抗争と

無関係では無かったせいだ。


「降臨でヴィータ様は自らの命令では

無かったが結果的に大量の死者が

出る事になってしまった」


俺が反論を言うタイミングに

合わせて人差し指を唇に縦に当てるウル。


まぁ聞け


という意味だ。

俺は文句を飲み込む。


「これは豊穣を冠に抱く神にとって

致命的なダメージになる。」


そりゃ・・・そうだ。

豊穣って言いながら大虐殺した。


俺は血の気が引いて行くのが分かった。

座っていて良かった。


「神格そのものが破壊消失しても

おかしくない、これはユノ様の弁だ。

記憶を全て放棄することで崩壊を

免れた。これはイクスファス様の見立てだ」


「お医者様の神ね」


ミカリンが横から補足してくれた。


「体は無事・・・精神異常とかは

起こしていないか」


「あくまでイクスファス様の見解だが

記憶が無い以外に異常は見受けられない

そうだ。」


思わずため息が出る。

焦らせんなよ

最初に無事って言えや

・・・言ってたかゴメン。


「そうか。それなら良かった」


良かった。


「そんな理由で記憶を戻す方法

それ自体、考察するのも禁忌だ。」


どことなく申し訳なさそうなウルは

そう言った。

俺が記憶を戻す事を要求してくるかもと

予想したのだろう。


そんな事はイイ


「せっかく無事なんだ。

休養させてやってくれないか」


「言われるまでも無い

連日ユノ様とお茶会を

楽しんでおられる」


そこで顎に手を当て

厳しい表情に変わるウル。


「ここからはミカに話す内容だ」


頷くミカ。


「神々が派閥に分かれて抗争中だ」


今回の降臨大虐殺


エグサスを代表とする肯定派


ユノを代表とする否定派


戦略神ミネバを代表とする作戦自体は

良いが豊穣神にやらせたのは悪手派


イクスファスを代表とする

終わった事より界記録異常に注力してくれ派


「滅茶苦茶だね」


ガックリ頷くウル。

これが宮仕えの苦労という奴だろうか


「誰の言う事が最優先なのか

ハッキリしてほしいものだ」


天使も愚痴るんだな。

サラリーマン川柳が頭に浮かぶ。


「早くしろ、そう言う事は 早く言え」


「それだ」

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