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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第三十九話 ショートゴロはサードの見せ場

丁度良い

ウルのステータスが見たいので

俺は唐突に提案した。


「そうだ。ウルポンちょっとパーティ入ってよ」


「なんだパーティとは?」


俺はパーティと承認の説明した。


「お断りだ。人間風情の指揮下になど」


「入れぇ」


「不束者ですが宜しく御願い致します。クゥ」


断ろうとしたウルポンにすかさず

強制力を使用するミカリン。


ナイスだ。

どれどれ


天使で状態が下級天使

レベルは30固定か


「ミカリンも多分レベル30で天使化が

開放されると思うぞ」


「今いくつなの」


そうかメニュー見れないんだっけな。

今度から上がる度に教えよう


「今20だ。」


バングなら昼間のやつ一匹

呪いのせいで俺に半分入るから

二匹か。

アルコには悪いがトドメは

ミカリンに優先させよう。


ウルと俺のステータスを

比べてみると、ほぼ同じ性能だった。

違いは弱点の属性が

正反対なトコロぐらいだ。


ただ決定的に差があるのが

魔法レベルだ。

先程のスパイクでも分かる通り

こいつ全然鍛えて無い。


「ウルポン、魔法全然鍛えて無いね」


そう言ったのだが

ウルはちっとも物怖じしない

聞いて見れば本来の姿

大天使の時なら

数段上の魔法を無詠唱で

行使できるのだ。


練習などした事無いそうだ。


それもそうか

750ccのバイクに乗れるのに

三輪車の練習などしない


しかし甘い

今はその三輪車しか無いのだ。


ウルに提案して俺と二人で

スパイクの魔法を同時に詠唱した。


比べてみればウルも分かるであろう。


大きさ硬さ太さ

男の子には特に大事な問題だ。

どれも違いは歴然だった。


「同じでレベルで、こうも違うものなのか」


俺の作ったスパイクを触ったり叩いたり

しながら感嘆の声を上げるウル。


「本体のレベルとは別に魔法のレベルがあるのだ」


もの凄いマッチョメンに

使った事の無いヌンチャクを渡せば

最初の獲物は自分の後頭部だろう。


「今後も下級天使で行き来するなら

鍛えた方が良いぞ」


これっきりなら意味無いがな。


「ぬぅ、鍛え方がわからぬ」


鍛えたがっている

行き来する予定なのね。


俺はウルに一通りレクチャーした。


教える

これは自らの成長にも大事な事だ。


まずは覚える。

覚えていない事は出来ないのだ。


覚えたらやってみる。

そうして出来る様になるのだが

キチンと理解出来ているかどうかは

実は怪しかったりする。


キチンと理解出来ていないと

他人に上手に教える事が出来ないのだ。


職場でもたまに見かける。

「なんとなく出来るようになる」

「背中を見て覚えろ」

「教えてもらうのでは無く盗むモノだ」

と、言うような教え方をする先輩がいるが

これは本人がキチンと理解で来ていない

可能性が高い。


未経験の者に効率的に教えるには

順序を整理し

分かりやすい例えを持ち出したり

例え体感的な事でもだ。


ゴルフのグリップの仕方で

雑巾を絞る様に

などは秀逸な変換だ。


そして教えながら

どこまで理解出来ているのかを

推し量ってやらねばならない。


「教えたよね?」

「言ったよね。メモとってたでしょ」


などとイキる輩は

コレをしていない。


言っただけで相手が理解出来たか

確認していない。

客観的に判断すると

教える気が無いのだ

育てる気が無いのだ

なぜするのか

対上司用の既成事実だ。


「私は教えました。あいつが無能なんです」


いざと言う時上司に

そう言う為だけに行っているのだ。


2が理解出来ていないのに

3をさっさと言って、

自分の役目は終わり

という寸法だ。


そして教える才能と

プレイする才能は別なのが残念な所だ。


名選手は必ず名コーチになれる。


そうでは無いのだ。


逆もしかりだ。

選手時代はパッっとしなかった

名監督や名コーチ

むしろそっちの方が多い位だ。


Mrジャイアンツ

長嶋茂雄は名選手だ。

異論は無いだろう。

だが

いざ教える側に回ってみれば


「ハッと来たボールをパーッと打つ!!

いい?ハッと来たボールをパーッと打つ!!」


分かるかっての

これだからB型は困るのだ。


「やれば出来るモノなのだな」


しばらくウルのコーチをして

最初とは格段に進歩したスパイクが

出来る様になっていた。


いやいや

ウルポン、筋がいいぞ。

まぁ俺と同じ土属性だしな。


「礼を言おう。しかし何故、

俺を強化するのだ」


教えるスキル

それをアップさせる

自分の為だけです

丁度良い実験台です。


とは、流石に言えない。

何て言おうか


迷っていると

ニヤリと笑みを浮かべるウルは

こう言った。


「まぁ貴様の事だ。いずれこの意味も

分かるのだろう。」


なんか勝手に納得してくれたので

取り合えず俺も

ニヤリとだけしておいた。


魔法の訓練が終了したのを

見計らってミカリンが

言って来た。


「そうだ。ウルはバングって知っている」


「・・・バングとは何だ」


俺は知り得る限りの情報を話したが

ウルは首を傾げるばかりだ。


「南の方に多く居るならば

今回のラハが何か掴むかも知れん」


場所を分けて捜索と言っていた。

ドルワルド方面はラハが受け持ったのだ。


「人間界では異常といえる事態だ。

これが界記録の異常と

関係するかは分からないけど」


俺はウルにそう言っておいた。

今はともかく

将来的に天界もバングを放置出来なくなる

俺はなんとなくそう予感しているのだ。




サブタイも長嶋茂雄の名言です。

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