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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第三百八十二話 相談しよう

やりたい事

やりたくない事

やらなければいけない事

してはいけない事


何かをするに当たって

行動を決定する要因

大きいのはこの四つだ。


中間に細かくボリュームゾーンがあるな

出来れば~とか


悩むのはそれぞれのメリットデメリットが

噛み合わない時だ。

今の俺が丁度ソレだ。


ゆっくり考えたかったので

今日の瓦礫撤去作業は休む事にした。

みんなも休むかと思ったのだが

俺抜きでやると出かけて行った。

なので俺は自室でゴロンだ。


今後の方針を今から決めて置かなければならない。


神側に着いたとしての仮定

無理だ。

肩を並べて戦闘なんて出来る訳無い。

ゲッペの教会ですら不快なのに

降ろされた天界なんて

灰になるんじゃねぇか俺。

そして何より

ビルジバイツに攻撃なんて出来ない。

ナナイを血祭で許してもらえないだろうか。

それにババァルの捜索と保護に

どう考えても有利に働くはずは無い。


では魔界側か

これも無理だ。

カシオやヴィータ

ミカリンやブリッペにヒドイ事は出来ない。

ミネバを血祭で許してもらえないだろうか

ただババァルに関しては

絶対にこっちだ。


うーん

俺が騎士とかなら

自分の希望よりも

課せられた責務で行動が決まる。

何にせよ組織に居る者は

自分がやりたい事ではなく

やらなければいけない事で

行動が決まるのだ。

自由は無いかも知れないが

行動選択で迷う事は無い。


こうなると

自由とは不自由なのかもしれないな。


組織か

組織で考えてみよう。

俺の組織、金物屋「メタ・めた」

・・・・経済活動どころじゃないな

これは除外だな。

三半機関、全ての種族の共存

この賛同者の味方であり

反対者全ての敵だ。

・・・・でも、これは神や悪魔ではない

人、亜人種に限っての話だ。

神と悪魔の共存は不可能だ。

体感的に分かっている。


どっちかしかないのだ。


こういう局面に来ると

三半機関のスローガンなんて

お花畑の幼稚な思考に思えて来る。

そういう状態の者には

さぞバカらしく響いた事だろう

今になって少し恥ずかしくなった。


ええい

こんがらがって来た。

最初の四つに絞ってみるか


やりたい事

ハーレム作りとババァルの捜索


やりたくない事

知り合いの邪魔


やらなければいけない事

特に無し


やってはいけない事

特に無し


後半二つがフリー過ぎるんだ。

そして前半二つが噛み合っていない。


くそう

悩むのは苦手だ。

どっかの弟子にも

考えない方が正解とか言われたが

その通りなのか俺は


「みんなはどうするんだろう。」


やりたい事を実行するにあたっても

出来れば他の人の障害にならない方が好ましい。

避けられる衝突は避けた方が良いに決まっている。


「聞いてみるか。」


それによっては俺の行動も左右されるしな

思いもつかなかった選択肢も

思いつくかも知れない。


1人で悩んでも結論が出ないなら

他の人に相談する。

これは悪い事では無いはずだ。


「こっちが聞きてぇよ」


取り合えずヨハンを探し出した。

聖壁は消えたが内壁付近は

酸が薄く建物は無事な様子だ。

ヨハンは学園長室からコレクションの

持ち出しの最中だった。

この一か月で大半は運び出し

残っているのは細かい物ばかりで

それを箱詰めしているトコロだった。

俺は手伝いながら相談したのだが

逆に責められてしまった。


「兄貴がどっちに着くかで

勝敗が決まるんじゃねーの」


「いや、俺よりもスゴイのが

神側にも悪魔側にもいるぞ。」


責任回避の為に適当に言ってしまったが

シンアモンさんは間違い無くそうだ。

そう思ってから思い出した

いつだったか、相見あいまみえるとか言ってたな

この事だったのか。


「そうだとしても無視出来る戦力じゃねーぞ。」


「ヨハンはどうするって・・・愚問か」


仮にも9大司教の最高指導者だった。

相談相手を初手から誤ったか。


「だな・・・兄貴には悪いが

腐っても俺は司教だ。

例え兄貴が向こう側に行っても

俺は変わらないぜ。」


「そうか。」


すごいな。

そんな覚悟をしっかり決められるとは


「俺とも戦う覚悟は出来ているんだな。」


尊敬する。


「いや、兄貴相手なら逃げの一手だ。

冗談じゃねーよ。勝てる訳ねーじゃん」


尊敬取り消し。


「俺はどうしたら良いと思う」


聞く相手を間違えているかも知れないが

俺は素直にそう聞いて見た。


「俺に聞くか・・・そりゃこっちに

着いて欲しいが、体的にそれはキツいだろう。

兄貴のしたい様にすれば良いさ。

その決定を責める奴は誰も居ねーよ。

ただ・・・。」


「ただ?」


何を言うか予想が出来ない。

俺は促した。


「面白がってかき回すのだけは

勘弁してほしい所だ。」


したい様にすればい良い。

俺のしたい事はおふざけだと思って居る様だな。


「・・・それはしないよ。」


「即答して欲しかったが、まぁ安心したぜ。」


収穫無しだ。

使えない弟だ。

俺はエルフ里へと飛んだ。


「アモンの敵に対して挙兵するよ。」


素敵な笑顔で即答したプラプリだ。

ヨハンの言葉がのしかかる。

俺がどっちに着くかで勝敗が左右される。

それは俺単体の戦力を考慮しての事では無かったのか

今気が付いた。

馬鹿で使えないのは兄貴の俺の方だ。


「んー俺抜きだと、どうする?」


「えええええ、困ったなぁ。」


バルバリスとは一応は平和だが

エルフに教会の教えが浸透しているとは

お世辞にも言い難い状況だ。

増してや神に対しては

以前の里を滅ぼした相手になる。

生き残り組、転生組はきっと一矢報いたいトコロだ。

逆に新生組、エルフ族で無い住民は

教会に含むトコロは無いだろう。


「それを纏めるにもアモンの意志が必要なるね。」


救世主のご意向となれば

右へ倣えだそうだ。


「取り合えず考えさせてくれ

決まったら必ず知らせに来るから。」


俺は逃げる様にエルフの里を後にした。

参ったぞ。

相談すればするほど悩みが増えていくぞ。


俺はヒタイングに飛んだ。


「救世主様の敵こそ我らヒタイングの怨敵に御座います。」


素敵な笑顔でオコルデはそう答えた。

おい、ブットバス、たしなめろ。


「流石は陛下、家臣や民の気持ちを良く理解しておられる。」


ここもダメだ。

俺は逃げる様に港町に逃げた。


「からかっていないと仮定して

一応真面目に返事するとだよ。」


あからさまに信じていない様子のミウラは

そう前置きして答えてくれた。


「クリシアは悪魔側に着くだろうねぇ。

そりゃ考えるまでも無い。

裏で動かしているのが悪魔なんだから。

問題は西側の教会派だけど

いざ事が起こればここになだれ込んで来るんだろうね。

国内に残って粛清の対象になるよりは

難民として逃げるでしょう。

救済を看板にしている教会は

無下に出来ないだろうしね。」


だろうな。


「そんな事よりさぁ。」


神と悪魔の総力戦が

そんな事ですか。


「アリアはどうなるのかな

切り捨てるならウチに戻してくんないかな

手に余る壮大な話よりも

家族の身の安全が何より大事でね。」


ファミリー

マフィアが一番に考えるのはそれだ。


「切り捨てるなんて事はしない。

まぁまだ本人の希望を聞いて無いんだが」


そこでミウラはボソっと

「聞くまでも無いんだけどね」と呟いていた。


アリアの立場も微妙だな。

言われて気が付いた。

自分の事ばっかりで頭から抜けていたが

「メタ・めた」の面々も

俺に連られて微妙な立場になるか。

まぁ

何が何でも安全だけは確保するけどね。


「うーん大変だねぇ。飲む?」


ミウラはそう言って

特性ドリンクを出してくれた。


「味わいたいので姿を変えるよ。」


冒険者ゼータからチンチクリンに戻った。

疲労が襲って来た。

睡眠が足りて無い感じだ。


後半は慰めモードで

ミウラは対応してくれた。

自身は隠居万歳と喜んでいた。

他人に対する責任が無い

これはすごく羨ましい事だ。


俺は「メロ・めろ」を後にすると

クリシアの黒い教会に飛んだ。


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