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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第三百八十 話 たまに入れ替えよう

「落ち着くんじゃーっ

おおおおちつくんじゃーっ!!」


カシオ

それは自分に言い聞かせているのか。


「馬鹿な!!回覧板はどうした?!

各部隊長からも何も無いとは!!」


地上までは回ってこないだろう。


「冷静に第三者の目から見ると

先ほどの私はこんなにみっともなかったのね。」


内容を知っているヴィータはそう言った。


「いや、ここまでじゃなかったぞ。」


二人だけ祭から取り残されていた。


「ねぇ・・・ホントなの?」


ブリッペの言葉に騒ぎは一瞬で収まった。

俺の悪い冗談に乗せられた。

騒いでいた連中は

そんな表情で固まった。

信頼無いなぁ俺。


「ビルジバイツから聞いた

覚えているかミガウィン族地方を

任せている魔王だ。」


ブリッペは一度連れて行った事がある。


「「ビルジバイツ!!」」


輪を掛けてパニックになった。

特にミネバの狼狽えっぷりは尋常では無かった。

口の周りに泡が見える程激昂して喚いていた。


「どうしたんだミネバは・・・。」


俺は呆気に取られてミカリンに聞いたトコロ

以前、降臨で対戦した経験があり

手痛い敗北を喫した相手だそうだ。


「精鋭の天使軍団も人間の聖騎士達も

みんな毒でやられちゃってね。

腐るわ溶けるわ狂っちゃうわ

地獄だったよ」


12柱3位のミネバと

下位のビルジバイツ

下馬評を覆した一番だったそうだ。

戦力が戦力として正しく機能しない。

戦略が全く通用しなかったそうだ。

将棋で例えれば襲い掛かった方の駒が

負けて相手に取られるような戦いだったそうだ。

トラウマになっているらしい。


腐敗の力

思っていたより遥かに恐ろしい能力だ。


ちなみにセントボージの封印は

別の降臨時で相手はイクスファスだ。

流石、医療の神

薬って使い方で毒だからな。

毒を持って毒を制した格好だ。


場が落ち着くまでは時間が掛かった。

それも落ち着いたと言うより

騒ぐ体力が尽きたような恰好だ。


神3人は頭を抱えて

テーブルに肘を着き

それぞれブツブツと呟いていた。


ビルジバイツの件は

一度は落ち着いたヴィータまでも錯乱させた。


「ああ、一から説明しようか・・・。」


静かにはなったものの

話が出来る状態かなコレ

取り合えず俺はビルジバイツの件から話した。


「ん?降臨で来たのでは無いと言う事か」


ああ

降臨、魔界側の選出魔王と勘違いしていたのか

俺は「そうだ。」とミネバに言うと

あからさまに安堵するミネバ。

よっぽど嫌なんだな。


「では、降臨の魔王は誰なんじゃ。」


カシオがそう聞いて来た。


「・・・聞いて無いや。今度聞いておく」


そういえば始まるというだけで

いつからなのか誰が来るのか

聞いて無かったな。


ビルジバイツはどうやってその情報を入手したのか


騙されている可能性は低い

すぐバレるだろうし

何より本人が司教に確認してみろと

言っていた位だ。

情報の裏の取り方をレクチャーする嘘つきが居る訳無いのだ。


「そうだ。司教に確認してみろって言ってたぞ。」


俺は思いついたまま口にした。

そのままパウルに向かって続けた。


「神託とか受けていないのか?」


確か前回は夢枕でそれを受け

日時場所を事前に知っていた。

当時「武」を受け持っていた壮年ヨハンが

聖騎士団を率いてその場所まで赴いていたのだ。

前回の俺のスタート地点だ。

懐かしいな。


「だ・・・大至急確認を!暫し失礼致します。」


そう言ってパウルは慌てて飛び出して行った。

通信の秘術を行うつもりなのだろう。


「ここに居る3人の内の誰かだったらどうなるんだ」


既に現地に居るのに

搭乗バスの案内が届くような事になるのか


「どうなるんじゃろ?」


カシオがそう言う位だ。

誰も分からないんだろうな。

天界の12柱が巻き込まれる様な崩壊

石板にそんな記録は無かったと言う事だ。


「誰であろうと今はマズいですね。」


やっと普段の調子に戻ったミネバ。

自分が居た時までの天界の状態を

カシオに語って聞かせた。

カシオも目を閉じ顎髭を撫でながら

所々、相槌替わりに頷いて聞き入っていた。


一緒に聞いてしまったが良いのだろうか


天界の普通を知らない俺だが

ミネバの話はそれでも

思わしくない状態なのは分かった。

大体、最強戦力たる四大天使

その内の半分がこの有様なのだ。


いくさなどやっている場合では無いのぅ」


柱が落ちる位だ。

今の天界は余裕など無い。

カシオはそう唸った。


「言い方は悪いですが、半ば強盗の様に

強引に力を取り戻す賭けとも思えますが・・・。」


ミネバは戦略神らしく

強行の利点を挙げるが

自身では決断しない判断である事が

声の調子から分かった。


「か重ね重ね申し訳なく思う次第なのだわ。」


縮こまってヴィータはそう言った。

針のむしろ状態になっている。

俺は反論は認めない語気の強さで言い切った。


「いや、前回の審判を実行していても

今の状況に変化があったとは思えないぞ。

何度も言うがヴィータに責任は無い。」


責めるようなら悪魔光線を叩き込むつもりだったが

その心配は無用だった。


「アモン君の言う通りじゃ

注ぐ水の量の問題でなく

天界という鍋の底に誰も知らない

穴が空いていると言う問題じゃ」


カシオもゆっくりと

それでいて強くしっかりとそう言った。


「そうだ。柱が落ちるという事態とは

そう言う事だ・・・まさか」


自分で言ったセリフをヒントに

話している最中に何か気が付いたようなミネバだ。


「そうじゃな・・・誰かでは無いのであろう」


カシオは既に気が付いていた様子だ。

俺は分からないので素直に聞いた。


「どういう事だ?」


カシオは俺の方に体を向けると

神の威厳たっぷりに言った。


「世界の崩壊前に存在の力を

より大きくより確実にするための

総力戦、天界そのものを地上に降ろす

全降臨じゃ!!!」


「前の車輪と後ろの車輪・・・。」


「それは前後輪じゃ!!!」


突っ込みも覚えたカシオだ。


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