第三百六十六話 チンピラ
いずれも人間状態ではあるが
神3人、天使2人だ。
ダメージこそ入っては来ないが
居心地の悪いったらない。
各々の質問に答え
指示を出し終えると
俺は早々に脱出した。
自宅から脱出だよ。
どうすっか
どこで寝るか。
そろそろ俺も人状態に戻って
睡眠その他を取らないとマズい
ガレージ裏から地下道に入り
直ぐ思いついた。
「寮に部屋があるじゃないか。」
俺は地下道を飛行して
星寮真下まで来た。
そのまま垂直に上昇して
俺の個室の扉を開けた。
何の障害も無く開く
塞ぐ行為、後付けの鍵その他
弄られた形跡は無かった。
部屋もそのままだ。
俺は人状態にチェンジすると
猛烈な満腹感に襲われた。
ヴィータと食事した
店自慢1人前は半魔化で摂った。
疑似胃袋に詰めたまま
消化その他が一切行われていない。
チンチクリンの胃袋だと
はち切れそうな量だ。
「ゲェップ!」
胃袋分の膨大な量
特大ゲップが即時発動した。
欧米人がいたら半殺しされるレベルの音量だった。
あまりの大きさに自分でも笑ってしまった。
「食ったら出るか。」
俺は薄暗い部屋から共用スペースに出た。
そこも暗かった。
もう遅いしアリアも寝ているのだろう。
ついこの間までは賑やかな部屋だった。
今はアリア1人にさせてしまっている。
「こんな静かな中一人ぼっちにさせてしまっているのか」
ウリハルはヒタイングで匿って貰っていて
ミカリンは「メタ・めた」だ。
俺はこの一か月、工作活動だった。
アリアに申し訳無い気持ちが
実感として沸いて来た。
「何か・・・埋め合わせをしないとな
今は〇ンコを出すが。」
俺はトイレで用を足し
そのまま風呂だ。
折角サッパリしたのに
脱いだ服
特に下着をもう一度着用したく無かった。
着替えは個室だ。
「いいか誰も居ないしな」
俺は全裸のまま共用スペースに出た。
「キャアアアアアアアアア!!」
俺がトイレと風呂を済ませている間に
自分の部屋から出たのか
外から帰ってきたのか
共用スペースにはアリアが居た。
椅子に座り、書類の作業中だった。
「アリア。」
まーた犯罪者だ。
もういいか
俺は両手を広げ優しく囁き
アリアに近づいた。
「嫌ぁ来ないでえ!!」
両手で顔面を覆うが
指の間からしっかり見ているアリア。
「会いたかったよ。」
俺は腰を左右に軽く振る
遅れて連動する息子。
風も無いのにブーラブラだ。
椅子から立ち上がれ無いのか
足をバタバタさせているアリアを
スルーして自分の部屋に戻り
体を拭いて寝間着に着替えた。
「スマンな、驚かせた。」
俺はアリアの横に椅子を3つ並べ
背中、尻、足を乗せ
頭は強引にアリアの太ももに乗せ
強制膝枕状態にした。
「いえ、あ、はいビックリしました。」
嫌がるかと思って
椅子から転げ散る準備をしていたのだが
アリアは拒否する事無く
むしろ、頭が丁度よい位置に来る様に
動いてさえくれた。
こうなると冗談ですとは言えない。
俺は膝枕してもらった。
「えーとな、色々あってな
まずはバングの話か・・・。」
俺はバング問題解決
ヒタイングのドタバタと
時系列順に話をしていった。
「あっミウラの奴、メロ・めろを
買い戻していたぞ。」
「あーやっぱりですか。」
どうも、そのつもりだった事は
話していたらしい
て事は合流前だから
かなり前からそうするつもりだったのだ。
「で、今はリカルドが仕切ってるそうだ。」
「はい。リカルドなら大丈夫だと思います。」
「信頼しているんだな。ちょっと妬けるな」
太ももの筋肉が収縮して固くなり
アリアは慌てて追加した。
「リディの事も同じくらい・・・
いえ、一番信じてます。」
「アリアだけだよ。そう言ってくれるのは」
自宅の神側軍団なんとかしてくれ。
その後、クリシアの変わりっぷりと
ベレンでの女神追加まで話したつもりだが
意識が途切れ途切れだった。
「あれ、もしかして寝てたか俺」
「はい。途中いびきが・・・
もうベッドに行きましょう。」
「いやだ、ここがいい」
俺は寝返りを打って
顔を腹の方に向けた。
「続きは明日にでも伺います。
さぁ頑張ってベッドまで行きましょう。」
「・・・・連れてって」
「赤ちゃんですか」
「うん。何にも出来ないの」
アリアは笑いながら
俺を起こし、肩まで貸そうとした
俺は好意に甘え
体重を掛けずに寄りかかる振りだけして
糸の切れた操り人形の様に
ブラブラだ。
「アリア。」
「はい。」
「起きろよ!みっちゃん汚ねーよ。って顔の
半分だけ使って喋ってみて」
「はぁ、はい」
アリアは疑問を感じながらも
チャレンジしてくれた
似て無かった。
こうして自室のベッドに転がされた。
「お布団掛けて・・・。」
「もう、はいはい。こうですか」
俺は布団を掛けてもらった。
あー楽ちんだ。
「アリア・・・。」
「はい。何ですか」
「ありがとう。」
「いいえ、こちらこそです。」
何がこちらこそなのか
分からなかったが
今の俺にはそれを思考する余力は無かった。
気持ちよく睡眠に移行した。
出展
みっちゃん汚ねーよ 映画「チンピラ」での柴田恭兵のセリフです。




