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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第三百五十九話 乱入バイス

ハンス達と話した後は

対メタボ用の装備作りを行うべく

チャ・ウンカイの元に訪れたのだが

メッキ、この言葉が日本語のまま発音され

チャ・ウンカイもポカーンだった。


よくよく考えればメッキには

電気を使用するので

この世界で普及しているハズは無かった。


チャ・ウンカイの話によると

これから銅製の武具をかき集める予定には

なっているとの事で、それならば

無理してメッキ加工に挑む事も無い。

素直に退散した。


割り当てられた自分の部屋に戻る時

入り口が慌ただしくなっている事に気が付いた。


覗いてみれば

何とバイス君が騎士団を連れて乗り込んで来ていた。

「お待ちください」と止めるブットバスの制止も

振り切る勢いだ。


ただ事では無い。


ヒタイングに不義でもあったのか

でなければ

この押し込み強盗具合は異常だ。


「おい色男!ご婦人は丁重に扱え」


俺は半魔化して

その場に乗り込んだ。


「?!リディ殿・・・おのれ

あのお方まで人質にする気だったか」


俺に気が付いたバイスは

大人しくなるどころか

余計、逆上した。


怪我人が出る前に強制的に止めるか

屈強な野郎ばかりだ。

多少手荒でも良いだろう。


俺は静電気セーター(強)をバイス以外の

面々に片っ端から叩き込んだ。

気絶し次々と倒れていく騎士達。


その様子にバイスは叫んだ。


「なんと言う事だ。既に洗脳されておられるか」


「いや、洗うべきはお前の顔だ。

俺は正気だし異常な行動を取っているのは

お前達の方だろ。」


残りの騎士を気絶させつつ

俺は答えた。


「何事ですか?!」


騒ぎにハンスも武装して現れた。

うわ

こじれそうだと思ったが

一気に収束した。


「ハンス様ご無事ですか!!」


「だから無事だと申し上げているではないですか」


キラキラした目で安堵するバイスに

切れ気味のブットバス。


「えーっと、どういう事ですか?」


俺の方を向いて聞いて来るハンス。


「知らん。俺も今来た」


そしてハンスの後ろから

ガシャガシャと音を立て

2mの鎧も姿を現した。


おいおい、その他の人は引っ込んでてくれよ。

ウリハルやアンドリューまで出てきたら厄介だ。

しかし、それらは杞憂だった。


大人しくなったバイスは

ようやっと要件を話した。


クリシアの首都で任務中だったバイスに

サポート役の司教、恐らくパウルの影から

「ハンスが殺されたかもしれない」と

知らせが入り、急ぎヒタイングに向け出立

途中、クリシアの教会とヒタイング港町の教会から

出せるだけ騎士を引き連れて

馳せ参じたそうだ。


「ご無事っで何よりでございます。」


もう色男が台無しだ。

泣く泣く

まぁハンスはバイスにとって

憧れの人だからな。

それが殺されたとあっては

こうなるのか。


「そもそも何でハンスが死んだなどと」


俺がそう尋ねるとバイスは

聞いたまま答えてくれた。


秘術の通信に使う宝珠ごと

族にやられたそうだ。


「成程な。確かにあそこで

話を切られれば死んだ思うわ」


俺はそう言って頷いた。

ふと振り返ると2mの鎧が消えていた。

くそ

魔法で身を隠しやがったな。


その後は気絶した騎士を介抱し

ハンスとバイスはブットバスに

平謝りだった。


「チャッキーに問題無い事を

伝えてきます。」


ハンスは俺とすれ違いざまにそう囁くと

退出していった。

場合によってはアンドリューだけ連れて

脱出するつもりだったのだろう。


「しかし困ったぞ。これだけの人数を

宿泊の対応は・・・・。」


ブットバスは泊めるつもりなのか

押し込み集団強盗みたいなものなのに

善人過ぎだろ、それは。


「いえ、我々は引き上げます。」


そう言うバイスを俺は引き留めた。

バイスは単騎だったので

彼だけ残り騎士軍団は馬車で

引き上げてもらった。


1人の騎士がぼそっと

「何だったんだ一体・・・。」と

呟いていたのを耳して

ちょっと笑った。


だよな。


俺はバイスをエントランスの

テーブルに着かせた。


「いい訳になりますが、ハンス様の危機

加えて消息不明と伺っていたリディ様を

匿ってしたヒタイングに不義有りと

勇み足になってしましました。」


イケメンは落ち込んでもカッコ良いな。


「消息不明は俺の計画だ。

ヒタイングには世話になっている立場だ。

9大司教に疑惑を感じているバイス君なら

分かってもらえると思うが実はな。」


俺はバング事件の顛末をバイスに

話して聞かせた。


「そんな・・・ユークリッド様が・・・。」


チャッキーよりショックを受けてしまった。

若いから感受性が敏感だ

更にどうもユーはむしろ不正を正す

自分の味方になってくれると期待していたようだ。

椅子に座らせて良かった。

ぶっ倒れてもおかしくない顔色だ。


俺はバイスの回復を待った。

話して終わりではない。

話す方は受ける相手の状態を

良く観察して理解、消化出来るように

相手のペースで話して聞かせないといけない。


これが中々

ちゃんと出来る人が少ない。


回復を待っていると

ハンスが姿を現した。


「・・・何を話したのですか。」


バイスの様子からハンスは

そう聞いて来た。

色々あり過ぎて特定が難しいよな。


「ユークリッド関連だ。

メタボも伝えたいんだがな。」


「まだ、他にも何かあると言うのですか?」


顔を上げ、バイスは驚いてそう言った。


「ああ、仮面の次は肉塊だ。そして

それで終わると言うワケでも無くてな。」


ハンスも交えメタボの説明をした。


「そう言えば、その様なモンスターの

報告が最近クリシアでも上がって来ています。」


気候的にはヒタイングと同じだ。

クリシアでも同様の大量発生が予想される。

俺は上記と対処方を話した。


「そんなんで残って貰ったワケだ。」


聖騎士の装備は鉄製が主だ。

悪い事にクリシアには教会は

一つしかなく回復の使い手は少ない

早目に予防してもらいたかったのだ。


俺はストレージから紙とペンを出し

総理とベルタ宛てに追加の書状を書いた。

勿論、メタボの脅威とその対処方

それに関わるバイスへの協力要請だ。


「私にも一通書かせて頂いてもよろしいでしょうか」


俺の様子を見たハンスが

そう言って来た。

俺は快諾し新しい紙とペンを渡した。

ハンスは教会宛ての書状を

即興で書いた。


合計二通を渡しながら俺は言った。


「準備が遅れれば、それだけ死者が出ると思えよ。」


脅しで無く、実際にそうだろう。


「はい。全力を尽くします。

あれこれ悩んでいる場合では無いですね。」


若い

立ち直りも速いな。

まぁ急ぎの大事な用事がある時って

悩む余裕も無いよな。


「こうしては居られません。

直ぐにでも・・・・・

おっとご挨拶だけして行きます。」


茶をワゴンで運んでくるブットバスが

現れ、それを目にしたバイスは

小走りで近づくと深々を頭を下げ

恐縮しまくるブットバスに

最後はカッコよく敬礼して

王城を去った。


それを見送るブットバスの後ろ姿は

哀れみを誘う程に未練タラタラだ。


「折角、お入れしたのに・・・。」


「大丈夫、俺がもらう」


そう言って茶を横取りしたのだが

お前じゃねぇよと表情が語っていた。


もう少し隠そうよ。

可哀想だろ俺が


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