表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
350/524

第三百四十九話 夕暮れベレン

メニュー画面から居なくなっていない。

ステータスが戦闘不能で。

HPその他は数字表記でなくなっていた。


ナナイは召喚状態のまま

ノックアウトされたと言う事だろうか


MAP画面を開いて静かに低空飛行した。

工作員スキルを使用して見たが

効果の程は疑問だ。

まぁ堂々飛ぶよりはましだろう。


早くナナイをこの場から退避させたい。


ミネバは酷く疲れたとのことで

ミカリンが戻るまで少し休むと言い

ベッドに横になり寝てしまった。

今がチャンスとばかりに

俺はナナイの捜索と

避難に取り掛かったのだ。


人状態で睡眠とは言え相手は女神だ。

起こしたくないので

半魔化チンチクリン翼だけ悪魔状態で

最小限の悪魔力で

恐る恐る飛行しているという訳だ。


俺の用事が終わる前に

ミカリンが戻り女神が起きたなら

先に「メタ・めた」に行ってもらうように

ユークリッドに頼んで置いた。


ナナイは戦闘があった場所に居た。

なんか、非常口のマークみたいな

ポーズで地面にうつ伏せで埋まっていた。


踏んづけられたな。


俺はナナイを地面から掘り起こして

その辺に転がした。

見た感じ問題は無さそうで

意識が無いだけの様に思われた。


召喚した悪魔のMPは自動供給で

勝手に俺から天引きされるハズだが

今現在、停止している様子だ。

本人の意識が無いと止まる仕組みなのか

巨大ロボからのダメージのせいなのかは

分からない。

悪魔力も枯渇している様子だ。


蚊みたいなモンだったが

コイツはコイツなりに

死力を尽くしたのだ。


俺は指を延長してナナイに

突き刺し、悪魔力その他を

補給してやった。


ナナイの意識は直ぐ回復し

ステータスも数字が表示され始めた。


「う・・・。」


「大丈夫か、ナナイ。」


「あ・・・アモンか

ヒドイ夢を見た。

巨大なハリボテ天使に

ボコボコにされる夢だ。」


俺はナナイを優しく抱きしめて言った。


「ナナイ、それは夢だ。全部夢だよ。」


ナナイはそのまま

俺に体を預けて来た。


ふざけんな


「おい、嫌がれよ。調子狂うだろうが」


「何故、私にはヒドいのだお前は!」


「活性化するんじゃねぇ

ミネバはまだ健在なんだぞ。

見つかるだろうが」


「え・・・・夢じゃないのか・・・。」


夢じゃなかったら

どうして地面に埋まってるんだよ。


「時間が無い。

ビルジバイツと合流するぞ。」


俺はそう言ってナナイの襟首を掴むと

低消費低空飛行でミガウィン族地方に飛んだ。


作りかけだったビルジバイツ宮殿は

外から見た感じ母屋は完成していた。

何か国会議事堂っぽい

石造りで高さはそこまで高くない建築物だ。

今は左右に連なる部分や

正面の石畳に工事が広がっていた。


一番目を引いたのは外壁だ。

結構な高さの外壁が

かなり広い範囲で集落を囲っていた。

もう集落と呼ぶには失礼なレベルだ。


「あっ・・・姉御?!」


「司令官と呼べと言っているだろう」


司令官って呼ばせてんのか。


飛来した物体

それにぶら下がっているのがナナイだと

分かった見張りのモヒカンは

ボウガンを下ろして敬礼した。


「総司令はお戻りか?」


ビルジバイツは総司令って呼ばせてんのか


気が付かずに追い越していなければ

とっくに到着しているはずだ。


「へい、大姉御も先程

戻られ、何か厳重警戒だと」


「分かった警戒を続けろ。」


「姉御・・・なんだか捕まった猫みたいですぜ」


「うるさい!」


扉を開けると言ったモヒカンに

俺は大丈夫だと言って

上昇して外壁を越えた。


ビルジバイツが母屋正面入り口から

飛び出して来るのが見えた


「アモン!ナナイ!無事かや」


ナナイを下ろすと

俺も着地し翼を収納した。


「ご心配をお掛け致しました。」


丁寧に挨拶をするナナイ。

俺が詳細を説明すると言うと

中でという事になり

そのまま宮殿に入った。


中央になる母屋は五階建て位の

高さがありそうだったが

各階の天井が高いせいで

3階建て構造だ。

連なる建物より頭一つ高く

ドーム状になっている3階部分が

ビルジバイツの部屋だった。


そこに案内された。

ダークもオーベルも

その部屋にいた。


俺は戦闘の結果を話した。


「ひとまずは安心なのか」


安堵のため息を漏らすビルジバイツ。


ミネバは目を覚ましても

悪魔の追撃を再開する様子もなく

寝てしまった。

最初の襲撃自体が嘘だったかの様だ。

ここまでの飛行でも

追って来る気配は無かった。


「とにかく情報を聞き出すつもりだ。

降臨で無いとしたら

あの神器とかどうやって持ち出したのか

そもそも何しに来たのか

分からない事が多すぎる。」


俺はそう告げた。


「不本意ではござるが

人化出来、宗教家の人間達とも

パイプを持つアモン殿が

最も適任でござる。」


ババァルさえも気が付かなかった

ダークの隠密なら大丈夫かも知れないが

万が一察知されれば大騒ぎ必至だ。

あえて危険を冒す事は無い。

ダークにはビルジバイツの警護を頼んだ。


「御意にござる」


「後、確認なんだがオーベル

降臨ならば必ず予知出来るんだよな。」


「如何にもですじゃ・・・と

言いたいのですが、この体だと

もしかしたら・・・いやいや

予知に影響は無い・・・ハズ」


オーベルも自信が揺らいでいる様だ。

俺も助言しておくか


「多分、降臨じゃない

人間にも降臨だと神託と言って

日時場所を事前に知る者が出て来るんだが

それも居なかった。」


「ふむ、魔王も降りて来ておらんしな」


ビルジバイツもそう言った。

降臨は神側、悪魔側ほぼ同時スタートだ。

降臨ならば魔王も出てこないといけない

それが無い。


「細かい事が分かったら、また来るよ。

念のため派手な活動は控えて置いてくれ。」


悪魔だけでゆっくりしたいが

時間が無い

俺はビルジバイツ宮殿を後にした。


MAP画面に表示されるミカリンの位置は

ユークリッドやミネバの居る場所で

そこから動く様子が無い

まだ寝てるって事かな

低燃費飛行で戻る最中

念のため1キロ手前で地上に降り

ストレージから

アモンキャリア偽馬付きを出して

そこからは人状態で接近した。


「お帰りなさい。」


ユークリッドが迎えてくれた。


「すごく良く眠ってらっしゃるので

起こすのが悪くて・・・。」


ミカリンは心配そうに

ベッドで寝息を立てるミネバを

気にしてそう言った。


「起こせ、そろそろ陽が落ちる。

屋外で寝かすと風邪引くぞ。」


女神が風邪をひくのか

人状態ならありそうな気もする。


「ハイ・・・ハイ」


ミカリンに起こされたはいいが

目が開いて無いミネバは

やけに素直に言う事聞いて

何の疑問も持たずキャリアに乗り

即ソファで横になった。


これ後で聞いても覚えてないパターンだ。


俺はゆっくりとキャリアをベレンに向け走らせた。

しばらく進むと客室から御者席に

ユークリッドが出て来て

俺の隣に座って言った。


「これからどうしますか。」


「取り合えずメタ・めたに行こうと

思うが・・・教会が引き取るかい」


俺がそう言うとユークリッドは

腕を組んで唸った後言った。


「他の司教と話をしてからになりますが

大聖堂の方にお迎えと言う事

になりますでしょうねぇ」


「その時はよろしくな。」


俺のあっさりした返事が

意外だったのかユークリッドは

少し拍子抜けしたように答えた。


「あ・・・はい。」


俺が女神を囲うとでも

思っていたのだろうか

まぁ大天使をそうしているから

そう思ったのかな。


ミカリンは呪いのせいで

こうなったんであって

ソレさえ無ければ多分、一緒には居ない。

当然、女神もそうだ。

つか、居ない方がやりやすい。

教会が引き受けてくれるなら

万々歳だ。


「今まで降臨でないのに

神が降りて来た事はあるのか。」


俺の質問にユークリッドは

片眉だけ上げるリアクショだ。


「神・・・が降りれば

それは降臨なのでは?」


そうか降臨対決システムは

ゲームの設定か

まぁそのままこの世界でも

当てはまっているのだが

人の間ではその裏事情を知る術は無いか


「言い方が悪かった。

神が降りたのに魔王が

降りてこなかった事はあるか。

または神託を誰も受けていないのに

神が降りて来た事はあるか?だな。」


上がった眉が元の位置に戻る。


「パウルに確認して頂きたいトコロですが

私の知り得る限りどちらも無いですねぇ。

過去の記録で

神と同時期に魔王も降りていましたし

9大司教のいずれかが必ず神託を受け

その度に予言の場所に聖騎士を

派遣していたと記憶しています。」


「まず、誰か神託を受けて

黙っていなかったかを調べる。

ユーさんにはそれをお願いしたいが

良いですか。」


すんなり了承するユークリッド。

彼自身もソコははっきりさせたい項目の様だ。


「ええ、ですねぇ。ギャバン辺りだと

言い出せなかった、なんて有りそうですよ。」


愛ってなんだ。


「それにしても・・・」


ユークリッドはそう言って

そこで一つでっかい欠伸をしてから続けた。


「今日は疲れましたねぇ。」


同感だ。


街道に出てからはスピードを上げ

キャリアは夕暮の中をベレン目指して走った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ