表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
346/524

第三百四十五話 悪魔会議中断

人や神などと違って

魔王は誰も助けない。


ここにいる面子だけが頼りだ。


前回の降臨から魔界に戻っておらず

地上にも、勿論天界にも居ない。


そこでバング世界

別世界に捕らわれているとの予想だった。

ミカリンが一緒だったので

言葉にはしなかったが

バング世界への侵入には

ババァル救出の目的もあった。


まぁ入って直ぐに

居ないのは分かった。

あの世界の残りの魔力全部合わせても

ババァルの爪にも満たない

哀れな程に魔力の無い世界だった。


ただそれは軟禁されていればという仮定なので


「まさか、既にバングの材料になって

消えちまったとか・・・。」


ずっと抱えていた不安

やっと口に出す事が出来た。

相談出来る相手が居る。

これは凄く有難い事なのだと痛感した。


「どうじゃ?爺」


体だけでなく顔も大分大人びて来た

ビルジバイツがそう言った。

うーん、やっぱりババァルを思い出す。

似てるわ。

ビルジバイツが大人になって

馬鹿になって顔のしまりが緩くなれば

かなり似るかも知れない。


『ひどいですわ!』


まぁそこが好きなんだけどね。


『・・・。』


分かりやすい奴だ。

はぁ幻聴じゃなく本物に会いたいぞ。


ビルジバイツは水の入った皿を

強制的に移動させ返答を促した。


飲むのを中断されてしまったオーベルは

咳払いを一つすると答えた。


「消滅はありませんぞ。これは断言出来ますじゃ」


説明によるとババァルの時間軸という奴が

まだ続いている事は感知出来るそうだ。

オーベルの特有能力「予知」は

ランダムでそれを見る事が出来る能力だ。

問題なのは使用者の希望通りの時間軸を

見たい時に見られず、唐突なトコロだ。


「単純に他の世界にいらっしゃると言う事じゃの」


そう言ってトコトコとテーブルの

上を移動すると再度水飲み鳥になるオーベル。


「何だ。アモンが馬鹿なだけか

ビックリさせるな。」


「肝が冷えたでござるよ。」


俺は怒りに身を任せ

ナナイに躍りかかると

椅子ごと押し倒し


優しく撫で繰り回した。


本気で嫌がりやがった。

殴られる方が良いそうだ。

ナナイを解放し俺は呟いた。


「別の世界ねぇ・・・。」


確かにこの世界に干渉している

他の世界はバングの世界だけでは無い

この俺自身がその証明だ。


そして最近、また別世界由来の候補が誕生した。


俺はブンドンを襲撃した謎の生物「メタボ」の

顛末を話して見た。


「なんじゃソレは気持ち悪いのぅ。」


ビルジバイツは

自身の体を抱きしめる様にドン引きした。


「フン。剣が刺されば死ぬ相手なのだろう」


余裕の様子のナナイにダークが突っ込んだ。


「得物が溶解するやも知れぬでござるよ。

使い捨ての武器を推奨するでござる。」


「フム、魔界の生き物に該当する奴は

おりませぬな。地上のアモン殿の

予想通り別世界干渉と見て良いかと」


俺の知りたかった情報を

オーベルは答えてくれた。


「こっちでは見かけてないか?」


無いそうだ。

更にオーベルの予想では

乾燥を嫌う生物である可能性が

非常に高いので

この乾燥した荒野地帯には

現れないだろうとの事だ。


確かに、ここにメタボを放置したら

砂まみれになって干物になりそうな気がした。


「では、引き続き姫様の捜索を

続行するのじゃ。期待しておるぞや」


席から立ち上がり

偉そうに命ずるビルジバイツ。

純粋な悪魔でない俺には

何の強制力も働かないが

少女の頼みを無下に断れない

日本男児変態紳士魂が

俺に了承させてしまった。


「ところで先程から気になって

おるのだが、この人間は何じゃ」


組んだ腕を解いて片手は腰に

残った片手で寝ているユークリッドを

指さしてビルジバイツは言った。


「ああ、その人は・・・。」


「ぬぉおおおおおおおっ!!」


俺の説明を遮るように

オーベルが吠えた。

何だよ。


「ゆゆゆゆ」


ゆっくりしていってね。


「ユークリッドではないかぁ!!

ここで会ったが百年目

今こそ復讐じゃああああ」


セントボージ事件で

お前らひと悶着あったんだっけな。


俺は飛び掛かろうとしている

オーベルを空中でキャッチした。

羽ばたきながら

食い下がって来るオーベル。


「放して下され地上のアモン殿!!」


「駄目だ。やめとけ」


俺の意見にビルジバイツも同意した。


「止めよ爺。終わった事じゃ

あの事件に関して如何なる禍根も

残さぬ約束じゃろう。」


ジジィより少女の方が

懐が深いという。

まぁ主だからな。


「あーさっきの俺のダメージ

コイツの蹴りだからな。

襲い掛かっても良いがオススメしないぞ」


俺は笑顔でそう言った。


「何だと?!」

「事実でござる。変身するでござるよ」


ナナイの方が驚いていた。

影の中から見ていたダークが

そう補足してくれた。


「禍根は残さぬ約束じゃ

命拾いしたな人間よ。」


大人しくなっったオーベルは

そう言ってテーブルにちょこんと下りた。


「「「「ぬ?」」」」


俺以外の悪魔全員が

そう言って上空を見上げた。


何かを感知したな。

俺も慌てて半魔化し

センサー系を起動させた。


上空から急速降下して

接近してくる物体。

この反応は天使だ。


成程、悪魔達が警戒するはずだ。

誰だか分かっている俺は

余裕で皆に告げた。


「案ずるな。俺の手下にした天使だ。」


ユークリッドと殺し合いに

なるかも知れない可能性もあった。

仲の良さそうなミカリンには

遠慮して欲しかったので

「来るな」と呪いで命令しておいたのだが

「来てない」と言える距離の

ギリギリの直上空域で望遠天使アイで

見てやがったな。


しかし

何で今降下してくるんだ。

もうユークリッドは安全なのは

見ていれば分かりそうなモノだ。

悪魔軍団をどうこうしようにも

呪いを受けた状態では

何も出来ないだろうに

いや、そのつもりなら

もっと早く降りてきているか


何しに降りてきているのか

想像が付かないまま俺は

席を立ちミカリンが下りて来るであろう

空域を見上げた。


痛みが入らない距離で

停止、滞空すると何とミカリンは

金切り声を上げた。


「アモーーン!!逃げてーー!!」


「はぁ?」


何から?

何処へ?

何処まで?


一生懸命なのは伝わるが

大事な事が何一つ

伝わってこないですよそれじゃ


やっぱりアリアと一緒に

ミカリンは学園に残すべきだったか


「ぐぁ!」


痛みに近い感覚が俺を貫いた。

時空系である事は直ぐに分かったが

これは1型とかの比じゃない

何だコレ?!


「あれは・・・?」


叫ぶミカリンの背後に

光のカーテン

オローラ状の光が展開を始めると

その物体は突如現れた。


デビルアイで見たデーターでは

身長50mの天使みたいな・・・

ロボットか?


そんなモノが現れ

カメラのピント合わせの様に

輪郭が徐々にハッキリしていき

完全にピントが合うと

物理法則が適用された様に

落下し着地した。


舞い上がる砂塵。


ユークリッドを後ろに庇うように

俺は前に出つつ悪魔男爵バロンになり

デビルバリアを展開

テーン風盾も構えた。


これは衝撃波が来る。


「全員俺の後ろに!!」


意味が分かったのだろう

素早く3人と一匹が

ユークリッドを中心に

記念写真でも撮るかのような位置に移動した。


岩混じり土砂が津波の如く俺達を襲った。

音というより激震に全ての物体が揺れた。

まるで液体の様に地面も波打った。


バリアごと持っていかれそうな抵抗だった。

俺は大気操作と重力操作も併用し

その場に無事に留まった。


衝撃波が去り

安全になると

俺は球状に守られたバリアごと

すっかり変わった地形の地面まで

下りて解除した。


その土砂津波の元凶は

片膝を着いた状態から

起動音をミンミン言わせながら

ゆっくと上体を起こし

大地に立った。


何だありゃ


俺の疑問をビルジバイツが叫んで言ってくれた。


「何とぉ?!ミネバでは無いかぁああ!!」


誰?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ