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ぞくデビ  作者: Tetra1031
336/524

第三百三十五話 食えるのか

ストレージは使用を封印という

前置きだったが非常事態だ。


ここは解禁、と言うか

既に使ってしまっていたな。


俺はヒタイングの浜辺で使った

簡易ベッドを出して

まだ気絶から醒めぬさ3期生を

寝かせてあげた。


泡も拭きとる。

白目で泡噴きだと

どんな美人も台無しだ。


その間にビビビはウリハルの診断

アリアは包帯などで

ウリハルパーツを固定していた。


袋から出す際に紐が解け

大パニックになったのだ。


「お手数をお掛けします。」


その衝撃のせいか

ウリハルは意識を取り戻し

心配されていた発狂状態は

正常に戻っていた。

この状況に慣れたようだ。

大した肝っ玉だ。


肝っ玉と言えば


「ビビビとアリアも良く平気だな。」


俺がウリハルを仮組し

アリアが包帯で固定する。

その作業中に二人に言った。


「学生とはいえ上級生の騎士が

泡噴いて倒れているのによ。」


「私の方からは良く見えませんでしたので

流石に正面で袋から出されたら・・・。」


アリアは上手に包帯で固定しながら

そう言った。

まぁ何でも前情報ってのは大事だな。


「じ人体の構成などは接する機会も

多いから私は他の人よりは抵抗が無いと言えるけど

それよりも、どうしてこの状態で生きているの?」


診断の魔法でウリハルの状態を確認しながら

ビビビはそう言った。

大丈夫だと言ったのだが

そうですかと言える状況じゃない

自分で確認してもらった方がイイと思い

好きにさせた。


「どうしてなのでしょう?ってきゃあ」


首を傾げる仕草をしたせいで

ウリハルの首はテーブルの上から転がって

落下した。


「バカ。動くなって言っただろう」


落ちた先がベッドで横たわる

テーンの腹の上だ。

良かったな頭だけじゃ

受け身が取れない・・・・

身が無いか。


「グフッ」


腹への衝撃で意識を取り戻したテーン。


「ごめんあそばせ。テーン」


「いやあああああああああ!!」


大パニック2だ。

もうホラー映画状態だ。


「すいませんね先輩。落ちるから

動くなって言っておいたんですけれど」


俺は椅子から立ち上がり

テーン先輩のベッドまで言った。


「アレ?左側は・・・。」


「ベッドの下に転がりました。」


受け取ったウリハルの頭は

右半分だけだった。

その右半分は目を瞑っている。

残る半分の視覚情報を

より鮮明にする為に閉じたのだろう。

左側の視覚から落ちた場所を教えてくれた。


「どれどれ、お あったあった。」


俺はテーン先輩のお尻の下あたりに

転がったウリハルの頭部左半分を

拾い上げると、着いた砂を掃い

丁寧にハンカチで拭いた。


「外側は触られているのが分かるのですが

内側は感触が無いようですね。」


「あーソレなんだがな、説明を・・・

その前にビビビ、鎮静頼めるか」


テーン先輩が発狂寸前だ。

まぁ殿下がこんな妖怪状態じゃ

無理も無いか。


ビビビに鎮静の魔法を掛けてもらった

3期生二人はようやく席に着いた。


服や鎧の上から包帯という変わった格好で

椅子に座ったウリハルボディ

包帯同士を連結して結んだ事で

ようやく人型になったのだが

頭部のドッキングは良いアイデアが無かった。


強く首に巻き付ければ窒息してしまう。


「私の膝の上にお願いできますか。」


言われた通りにするとウリハルは

顔をボディの方に向け

器用に・・・いや自分の体だよな

とにかく頭を掻きむしりだした。


「失礼。ずっと痒いのガマンしていたので」


一通り掻くと

ヘルメットでも被るかのように

自分の頭部を首の上まで

持ち上げるが、頭部の重さの負荷でも

包帯はズレ始めている。


俺は止める様に言った。


「抱える方が負荷が少なさそうですね。」


ウリハルはそう言って

小脇に頭部を抱えた。


悪の組織にこんな幹部いたよな。


ここでビビビにまた鎮静を頼む羽目になった。

殿下のこの姿に3期生のリミッターが

再び飛びそうになったのだ。


俺は渦巻の先で何が起きたのかを説明した。

バング自体が伏せられていたので

かなり長い説明しなったが

イライザ襲撃事件の事もあり

上層部が何か隠している事は

3期生もある程度は予想出来ていたようで

理解はすんなりいった様だ。


「命の危険に及ぶ状態で無いのは

理解し、ひとまず安心たが殿下の

このお姿は見るに堪えない。

何とか元に戻せないものか」


懇願するような瞳で

俺に訴えて来るテーン。


「私は平気ですよ。」


あっさり言うウリハル。


「周りがたまらんのだ。

・・・はい先輩。」


ウリハルは多分

気を使って言ったのだが

そういう問題では無いのだ。

俺は金属操作で修復したシキ家の盾を

テーンに渡しながらそう言った。


「スゴイ・・・元通りだ。」


受け取るテーン、盾はすんごい重量だ。

俺は重力操作が出来るから

問題ないがテーンはどうやっているのか

重さを感じさせない仕草で

取り扱った。

色々角度を変えてチェックして

修復出来た事に驚いていた。


「これは何とお礼を言えば良いか」


嬉しそうな表情だ。

普段は強面のテーンだが

この時は可愛らしく見えた。


「いえ、0型との戦闘で

先輩の戦法を活用させてもらったので

修理がお礼って事で」


これは本音だ。

盾が無ければ粘り強い交渉は無理だった。

悪魔光線乱射で早々に決着していただろう。

結局、話し合い叶わず

倒してしまったが

可能性を残したままと

やるだけやってからでは

例え結果は同じでも

違うものだ。


少なくとも後悔はない。


「俺には無理ですが、魔導院なら

ウリハルに掛かった魔法を

解除出来ると思います。」


こういうダメージに関係しない魔法

それも時空系となれば

ストレガは頼りになる。

まぁストレガでも駄目だった場合は

いよいよ手段が無いが

それはその時また考えよう。


「うーん、魔導院か・・・。」


クワンが苦虫を噛み潰した様な顔で

そう言った。


「先に教会へ、9大司教なら

何とかしてくれるかもしれません。」


ビビビもそう言った。

どうも魔導院はあんまり好かれていないようだ。


「あの、院長とリディは懇意な間柄ですので

ご心配は要らないかと」


チンチクリンだと兄弟設定は

説明しにくいよな。

アリアが不満そうにしている

3期生とビビビに気を使ってそう言ったが

余計な混乱を招いた。


「9大司教のハンス学園長の

関係者が魔導院と懇意って

えーっそれはスパイって事なのかしら!」


ビビビは思いっきりビックリだ。

表向き反目しあっている事に

なっているからなぁ。


「やはり殿下を魔導院に預ける事は避けたい

リディ殿には悪いが教会を頼らせてもらおう。」


貴族の間でも魔導院の印象は悪い様だ。

まぁ教会の悪の部分

それに掛かる疑いの目を受け持つ意味合いも

あったからしょうがない。

こうして世間の悪評をあからさまに

目にすると改めてストレガが不憫だ。


「魔導院ですよね。私はそちらに参ります。」


周囲の思惑など

どこ吹く風でウリハルはあっさりと

そう言った。


「怖れながら殿下、危険を看過出来ません。」


テーンの言葉に普通に返すウリハル。


「ストレガ様ですよね。

お美しく、優しく、お料理が上手な

リディの妹君です。

何も問題は有りませんよ。」


魔法も触れてやってくれ


「なっ・・・既にお会いになられた事が?!」


「妹?!おいおい坊やは一体いくつなんだ」


混乱する3期生。

うーん、面倒くさくなって来た。

俺は冒険者ゼータにチェンジした。


「リディは変身の魔法による

学園に入り込む為の偽りの姿だ。

謝る必要も義理も無いが

騙していた事には変わりない

済まなかったな。」


「キャー!イーさん!!

そうです、これが真の姿です。」


アリアはこの姿の方が馴染みが深いよな。

はしゃぐはしゃぐ


「クワンちゃん・・・済まない

私にはもう理解出来そうもない。」


「テーン、もう彼に付いて推理するのは止めよう。

我々程度の知識で当たるワケが無い

殿下の護衛なのだ

国でも最高の実力者が付くのも不思議では無い。

下手に先輩風を吹かせても

裏で親父達に良い笑い者にされるだけだ。」


そう言って3期生は「仰せのままに」とかしずいた。


「大事な事を幾つか言っておく」


他言無用

学園では先輩風を吹かせる事


「後、俺に傅くな。殿下の剣と盾

そう言う意味で俺達は同じだ。

上も下も無いんだ。

お前達は構う必要は無いが

俺は勝手に仲間だと思って居る。

さっき、必要も無いのに

謝罪したのは、そういう理由だ。」


「恐れ多い。」


テーンの視線も

カワイイ後輩を見る目から

組織の上位者に対する視線に変化していた。

うーん

やっぱり見た目って重要だな。


「お話しの途中すみません。」


ウリハルが緊張感の無い

変な声で割り込んで来た。


空腹だそうだ。


「・・・お食事は可能なのか?」


テーンが本気で心配した。


理論的には可能だ。

今こうしている間も

ウリハルの鼻は空気を吸い込んで

肺に送り込み

戻る排気で言葉を発しているのだ。

食物も口から喉を通過し

胃袋に何の問題も無く届くはずだ。

俺はそう説明したが

皆、微妙な表情だ。


早速やってみよう。


「故郷の茶菓子で」


俺はストレージから大福を取り出した。


「アモン!!それは!!」


ミカリンが絶叫した。

そうか

この面子で知っているのは

お前だけか


昨日のサブタイ後に松本零士がイタリアで倒れたニュースを聞きました。心配でたまりません。


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