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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第三十二話 バング戦

後ろで歓声が上がり

三人が駆け寄って来る気配を感じた。


「まだだ!まだ終わっていない」


俺はオセロットばりに声を張り上げ

それを制止した。


串刺しになり宙ぶらりんになったバング

ダンゴなら次男の位置だ。


そこでまだ手足を稼働させようとしている。

この動きは

雪にタイヤを取られスタックした車が

賢明にタイヤをスリップしている状態を

連想させた。


生き物で無い事は間違い無い。


股間から頭頂部まで杭が貫通しているのに

絶命は愚か痛みすら感じていないのだ。


スパイクと接している部分から黒い煙状の

モノが漏れ出ている。

煙状と表現したのは

煙では無さそうだからだ。

燃焼による煙とは違うと

俺は見ていた。


煙なら上に登っていくものだが

バングの煙は放射状に広がり

離れる程、粒子が細かくなり

遂には視認出来なくなるのだ。


俺はゆっくりとバングに近づく

慎重にだ。

バングの動きに細心の注意を払う。

瞬間

バングの腕が鞭を振るうがごとく

予備動作を行った。

咄嗟に後ろに飛びのく

その直後、俺の居た場所に

バングの腕が叩きつけられる。


激しい音と

身の丈程に舞い上がる土煙から

相当の威力があると推測された。


危ねぇ

下手すれば人体程度

真っ二つじゃねいかコレ


「生きてる?!」


聞きなれない声だ。

声の主はボーシスだろう

普段の落ち着いた声と

違う緊迫した感じだ。


いや

生き物じゃないでしょ

まぁ

まだ動けるのか

そう言う意味ですよね。


およそ5m辺りから

腕の鞭の射程であろう。

もしそれ以上の射程の攻撃があるなら

飛び退いた俺の着地に合わせて

叩きこんでいるハズだ。


俺は鞭の跡にあと1m程度で

止まり、ストレージから弓矢を

取り出すと射る。


弓のレベルは上げていないので

実戦では使えないお粗末さだが

これだけデカイ的にこの距離

さらに動かないのだ

流石に命中した。


矢は弾かれ

あらぬ方向に回転して落ちた。


おかしい

強度が変だ。


矢の弾かれ方からすると

バングの体表は恐ろしく硬い

そんな硬い物が鞭の様にしなるものか

腕や足は別の素材だろうか


見た目には違う素材とは思えない。

それよりも

胴体にスパイクはあっさりと刺さった。

これが納得いかない。


あの強度なら

刺さらずに弾かれ転倒するハズだ

それがアッサリと刺さった。


「うーん」


俺は弓をストレージにしまい

再び簡錫を装備すると

暴走陣には戻らず

その場でスパイクを唱えた。


複数のスパイクがバングまで届き刺さる。

やはり雪だるまの様に簡単に刺さる。


そして痛がる様子は

やはり見受けられない。


俺は続けて投石の呪文と唱える。


俺の周囲の小石はヒュンヒュン音を

立てバングに向かって飛び

弾かれる石、砕ける石、

強度によって結果は様々だが

一つとして貫通もめり込みもしなかった。


「うーん」


もっと色々試したかったが

時間切れになった。

追加で刺さったスパイクのせいだろう

煙は刺さった箇所それぞれから吹き上げ

バングは見る見る小さくなって行った。


途中で千切れた腕は一瞬で煙化した

仮面のある本体から離れると

維持できない。

そんな推測が成り立つ。


とうとう仮面が剥がれ落ち

それ以外は煙になった。


聞いたことの無いファンファーレが

頭の中に響く

レベルアップ時の音楽の豪華版と

いった感じだった。


メニューを開いて見ると

レベルが21から30に

ジャンプアップしていた。


経験値おいしい奴だ。


単独討伐と判定されたようで

仲間には増加は見られなかった。

その分、俺に大漁に入ったようだ。


勝った。

俺は無警戒に近づき

仮面を拾い上げて観察した。


軽い。

見た目通り

骨・・・が一番的確な表現でいいと思う。

目の部分の穴はやはり穴だった。


俺は普通に仮面を被った。


「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛」


俺は両手で自らの肩を掻き毟る動作をし

苦しみ悶える。


もうお馴染みの藤原演技だ。


「キャーーーーーー」

「なんて事を」

「いやああああああ」


俺は良い感じに悲鳴を上げている

三人に振り返りバングの真似を

しながら歩き

ゆっくりと迫る。


極上の恐怖が流れ込んで来る。

ああ、いいなぁ


「ぐ゛あ゛、く゛そ゛何゛て゛こ゛と゛だ゛」


俺は自分を取り戻した演技をして

続けて叫ぶ。


「俺゛を゛こ゛ろ゛せ゛俺゛が゛俺゛で゛有゛る゛内゛に゛」


「出来ません!!」


泣き叫ぶアルコ


「嫌だよアモン。こんなの嫌だよ」


狼狽えるミカリン。

うん、お前の悪感情が一番美味しい。


「こんな、事になるなんて!!!」


槍を構えるボーシス。

やべ、本気だ。

殺される。


「なーんてな」


俺は仮面を外しおどけて見せた。


その瞬間

沈黙が訪れ

風の音と

遠くに流れる小川の音

滝かな、遠くて分からないや


悪感情が

火山の噴火の如く

長い沈黙を破って

悪感情が三人から溢れて来る。

この味は・・・怒りだ。


すんごい怖い形相になって

三人が俺を睨んでいる。


これは

やっちまったのか・・・。


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