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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第三百十一話 クリシア組への

残りの用事も片づけるか

俺はモナに会いに来た事を

ストレガに告げるが

モナは魔族の所に行っているそうだ。


「クリシア行きの打合せです。」


「副長も同行する事になっちゃたんすよねー」


クフィールが追加情報を入れて来た。

マリーも今、同じく魔族の所に

出向いているそうだ。

続いてストレガが残念そうに呟いた。


「本当は私が行くべきなのでしょうが」


「いや、お前はクリシアでは

恐怖の大魔王だろ・・・」


空より来るな

俺がそう言うと

頬を膨らませて反論するストレガ。


「頂いた鎧がありますもん。」


「いや、それじゃ誰だか分かんねーし」


もっとゆっくりしていけと

袖を引っ張るストレガ達に

夕方までに学園に戻らないと

謹慎中外出がバレると言い

放してもらった。


アモン2000を魔族の

迎賓館に向け走らせた。


近くなのでものの数分だ。

すっかり顔パスで迎えられた俺は

そのままモナ達の居る部屋に

案内された。

その部屋はルークスの執務室だった。


案内の人がノックをして俺が来た事を告げると

直ぐに扉が開いた。


中の様子にちょっとビックリだ。

人がびっしりと詰まっていたのだ。


部屋の中の面子は

ルークス、アンナ、モナ、マリーに

護衛のラングとロゥと遠征組の

主だった人達と

最近ルークスの助手をしている

シャーリーだった。


普段はルークス1人の部屋なので

こんだけ居ると異様だ。

他の部屋で集まればいいのに


「どうしたシャーリー。具合悪いんじゃないのか」


他の面子を差し置いても

俺は真っ先にそう言った。

シャーリーは隈がスゴイ上

眼力というか目つきがギラギラしていて

どう見ても普通じゃなかったのだ。


「いいえ、救世主様。むしろ絶好調です。

まだお見せ出来る段階ではありませんが

ご期待に添える成果をお約束します。」


一瞬、何言ってんだと思ったが

すぐ思い出した。

クリシア全集の暗号解読の事だ。


「程々にしろと言っておるのですがの」


ルークスも困った様子でそう言った。

どうやら熱中しているようだ

熱中すると言う事は

それなりに成果があり

手掛かりを掴んでいるのだろうが

これではぶっ倒れてしまう。


ここは強制的にも休ませよう。


俺はルークスにシャーリーに

休みを与える様に言った後

早速、調停者フィクサースキルを使用して

シャ-リーを睡眠させた。

MPを消費するスキル「誘導」だ。

それを使ってシャーリーを眠りに誘導して見た。

効果は絶大でシャーリーは抱えていた書類を

落とすと、その場で崩れ落ちた。

慌ててナイスキャッチする俺。


シャーリーを部屋に運ぶ為に

一旦退出した。


これは無理の無いスケジュールを

強制的に組ませた方が良いな。

読書家の集中力を甘く見ていた。

たまにネカフェで

死んだりするゲーマーがいるが

アレと同種の集中力を持った人種だ。


戻ろうとしていた案内人を呼び止め

シャーリーの部屋に先導してもらった。

こんなチンチクリンでも一応は男だ。

第三者の目が合った方がいいだろう。


一階まで下りて渡り廊下を通過

職員の住居は別棟だった。

迎賓館と比べるとすごく質素だ。


案内人が管理人を呼び

鍵を開けてもらった。

部屋にはいると

うわーっ

キッタネェ

散らかり放題だ。


本が床に散乱している有様だ。

仕舞えよと思ったが

本棚は既に満杯で空いたスペースには

積み上げられ崩れ

もういいかと放置している感じだ。


案内人と管理人が二人掛かりで

本タワーを再建していくと

やがて床が見えて来た。

ベッドもあった。

そこへシャリーを寝かしつけてやった。


服脱がせは同じ女子である二人に任せ

俺は1人退散しルークスの執務室に向かった。


戻るなり俺は

何故強制的にでも休ませなかったのか

怒ったのだが空回りだった。


どうも魔族の間では個人尊重が重視され

本人が腹くくったのなら

もう他人は口を出すのは

失礼に当たる風潮なようだ。


俺はルークスに解読を仕事と位置づけ

スケジュールに組み込む様言いつけた。


時間も差し迫っている。

俺は用事を済ます事にした。

出来上がった専用装備を配布してしまおう。


アンナとモナにはクフィールやリリアン師に

装着した自動防御機能ベルトだ。


クフィールと違って敵中に

居てもらわなくて良いのだ。


なので普段の負担軽減を優先し

軽量化と小型化に取り組んだ改良版だ。


アームは2本に減らした。

強度的にも過剰気味だったので

出来る限り細く作った。

副次作用で稼働時間も伸びてくれた。


流れ矢程度ならこれでも十分安心出来る。


俺は説明しながら

二人にサイズ合わせの振りをして

お触りを堪能・・・じゃない

サイズ合わせだ。


皆、説明を聞いても

半信半疑だったが

俺がテストで投げた訓練用木製ナイフを

ことごとく叩き落とした姿を見て

驚愕していた。


スイッチを切り忘れた二人が

互いに防御範囲に入ってしまい

同型同士の戦闘が始まるという

珍事も見る事が出来た。

二人ともキャーキャー言って

パニくっていた。

すぐにスイッチを切れば良いのに

ただただ戦闘の中心で悲鳴を上げていた。

うん非戦闘員だもんな


因みに

互角だった。

当たり前か。


「これがあるなら我々は必要無いのでは」


そう落胆するラングとロウに

機能の細かな説明をした。

あくまでも補助的な役割だ。

お前らの護衛としてもテストだとも

脅して置いた。


「はっ無用の長物だったと

言わせしめてご覧に入れます」


そうそう

その位の気概で居てもらわないと

護衛が要る前提での機能なので

マジで困る。

居なければ最悪の事態を

先延ばしするだけになるだろう。


「そんなお前らにコレを授けよう」


アンナとモナを護衛する騎士と言う意味を込めて

「アンモナイト」と名付けたシールドと剣セット

これを二人分2セットだ。


対バング用武器の技術を流用し

防御力と攻撃力を底上げしてくれる逸品だ。

なにより手間が掛かったのは

盾のアンモナイトのレリーフだ

同じ柄を鏡写しで左右反転し

並んで持った時に

女子の魔族の角の様にも見える

この工夫。


グリップ部にはさり気無く

ミスリルを使用し、万が一の際にも

俺が発見しやすい様にしておいた。


「お・・・・ぉおお」


ラングとロウはワナワナ震えていた。

すんごい感動っぷりだ。


「見抜かれていたとは・・・。」

「救世主様のご慧眼えげんには敵いませぬ」


見抜く?

外観はともかく内容的には普通の盾と剣だろ

兵士でこれを使えない奴はいないだろ

何を言っているのかと思ったら

ラングは盾を二つ

ロウは剣を二本恭しく享受し

雄々しく構えた。


「鉄壁のラング。守り抜いて見せましょう!」

「双頭のロウ。怨敵を切り刻んでご覧にいれましょう!」


二刀流はイイ、まだ分かるが

盾二つってどうやって使うんだ。

イメージが全く沸かない。

〇ンダムだってG〇ーマーから分離する時

重ねて一枚に戻していたぞ。


まぁ喜んでいるのでコレでいいか。


ふと見れば

期待値MAXなキラキラした目で

俺を見ているマリーに気が付いた。


無いよ。

お前が行く予定だって知らなかったし

でも、なんか待ってる姿が

おばさんにしてはカワイイ。

ほだされる。


何かあげよう

何かないか

おっかないおばさんにピッタリの武器


「マリーにはこれだ。」


俺はその場でイメージのまま生成した。


きやあああああ

自分でも悲鳴を上げそうになった。


首を斬り過ぎて

血で真っ赤に染まった鎌だ。

禍々しいぞ。


「「「おぉ!!」」」


「か・・鎌ですか。使えませんわ」


どよめく周囲と困惑するマリー。

俺は刃の部分を自分の腕に

数回当てて言った。


「刃は飾りだ。

鎌みたいに見えるが

これは杖だよ。」


ストレージから在庫の中でも

まぁまぁなクリスタルを刃の根元

柄の先端部にはめ込み

両側から蓋をする様に

2型の仮面で挟んで完成だ。


試しに魔力を込めると

バングの目の穴から

クリスタルの緑の光が漏れて

怖さ抜群だ。

なんか中ボスが持ってそう。

まぁそのイメージで作ったんだが


機能的には魔力の蓄積と譲渡

これも対バング装備の技術の流用だ。

だがグレードとしては数段上だ。


マリーの得意な魔法を知らないが

これなら無駄になる事はないだろう。


ただデザインが禍々しすぎた。

これは怒られるか。

戦々恐々とする俺の背後から

皆の声が聞こえた。


「なんと荘厳な。」

「見事な一品です」

「素晴らしい。」

「う・・・羨ましいです。」

「副院長、おめでとうございます」


賞賛の嵐だ。

カテゴリー魔としては

これでOKなのね。


その反応を見て

正直キモチワルイのだけれど

そんなにイイモノなら

という感じでマリーは受け取り

取り合えず構えてくれた。


沸き上がる歓声。


嬉しいケドこうじゃない

泣きそうなのを堪えて

プルプルしているおばさんに

俺はほっこりだ。


後に

「ブラッディ・マリー」と呼ばれる様にな

・・・・るといいなぁ


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