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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第三百七話 戦わないバルス

バルス先輩に聞いて見ると

何ともタイムリーで

これから「集金」とやらで

そのイジメグループに

会いに行かなければならないそうだ。


「渡りに船だ。ついてるな」


俺は笑顔でそう言ったのだが

バルス先輩は微妙な表情だ。


「集金が何なのか、聞かないのかよ。」


「あ、訳の分からん理屈で

金巻き上げられているんだろ。

断ればもっとヒドイ暴力だ。」


「良く分かるな。」


いや、イジメなんていつの時代も

どこの学校でもそんな変わらん。

もっと言えば強者が弱者に求めるモノだ。


弱い者から何を奪えるか


喧嘩の強い奴は護衛

体の頑丈な奴には労働

頭のいいやつには作戦を立てさせ

金がある奴からは貢がせる

何も無いのはいたぶって玩具にする。

これは他の者に対する見せしめにもなるな。


「俺も昔イジメにあった経験があってだな」


俺がそう言うと

バルス先輩から美味しい感情が溢れた。

同情してくれるかと思ったが違った。


「ざまあみろ」そんな快楽の感情。


自分以下を見つけた優越感。


そんなんで俺を助けられるのかという不安感。


バルス先輩イイ感じにクズだ。

やっぱり自分の事しか考えていない。

本人は隠しているつもりかも知れないが

薄っすら伝わるモノだ。

だから誰も助けないんじゃないの


イジメる側も相手を選んでいるのだ。

味方の多い奴に手を出せば

逆に自分達が危ういからな。


ボッチは狙われやすい。

良く年寄が若者が群れる事に嫌悪しているが

イワシとかと一緒で大勢の中に居る安心感。

生きる本能に基づいた行動の様な気もする。


まぁお陰で活動がしやすいので

悪魔的には歓迎なんだが

人的には土壇場でイジメ側に

寝返ってやろうかとも思った。


信頼だけは取っておくか

言う事を聞いてくれないと面倒だ。

俺はおもむろに屋根に引っかかていた石を

拾い上げるとバルス先輩に

見せる様に顔の前まで持っていき

ビスケットのようにゆっくりと粉々に砕いて見せた。


「そんなんで、ひたすら鍛えてさ

全員、鼻とか耳とか掴んだ場所は

こうした。」


信じられないモノを見て

バルス先輩はまた恐怖に震えた。

もう感情のジェットコースターやー。


俺が強い事を納得してくれたバルス先輩は

待ち合わせ場所を教えてくれた。

俺は先回りして身を潜めると提案すると


「一緒に行ってくれないのかよ」


「そうしたらイジメ始めないかもだ。

なんで人目の無い場所だと思って居る」


「・・・絶対、来てくれよ」


これは、押すなよとは違って

反対の行動を取ってはいけないパターンだ。

俺は何度も信じろと言って置いた。


バルス先輩は自分の部屋に

一度、金を取りに行くと言った。


必要無いと言おうと思ったが

万が一俺が返り討ちされた時に

「こんな奴知らない。はい俺の用事ね」と

それを渡せば保身は出来ると

思っているようなので

言わないであげた。

無くした時は知らんぞ。


そんなこんなで先回りだ。

工作員スキルを使用して現場に到着した。


場所は月寮の裏手、倉庫代わりの

小屋が立ち並んでいる場所だ。

月寮の非常階段側で部屋の窓が

一切無い、目撃されにくい良い場所だ。


バルス先輩と離れたので

半魔化はちょっとしたく無い

人状態のまま小屋の屋根伝いに

移動していくと

既に4人程、現場に来ている事が窺える。


なんか勝手に刺青入れてたり

ピアスしまくりの連中を想像していたのだが

そこに居るのは普通の月寮生だった。


「もしかして彼等も被害者か」


その位普通だった。

悪い事をする用には見えないぞ。


ただ司教から感じるプレッシャー

学生でもレベルこそ低いが

同種のモノを放つ者が何人もいるのだが

今居る4人からは全く感じない。

彼等がイジメグループで間違いなさそうだ。


しばらく時間が経ち

そいつらは周囲を見回し始めた。

約束の時間を過ぎているのだろう。

何やってんだバルス先輩。


「おい何やってんだリディ。

何で隠れているんだよ。」


背後からヒソヒソ声でバルス先輩がそう言って来た。


「はやく行って、あいつらをやっつけてくれよ」


取り合えず彼等がイジメグループで合っていたようだ。


「先輩・・・それだと俺

ただの暴漢になっちゃうんですけど」


打合せ通り動いてくれよ。

イジメの現場を押さえて相手を実行犯にしないと

いくらでもトボけられて終わりだってばよ。


バルス先輩は俺が本当に来ているか

不安に駆られ探しまくった様だ。


作戦通りにしろと言う俺に対し

「怖いからヤダ」そう正直に言えばまだカワイイが

それを認めるのは嫌みたいで

バルス先輩は異次元の理論でゴネて

行こうとしない。


俺はまだグダグダ何か言ってる

バルス先輩の頭を鷲掴みにして脅した。


「うるせぇなぁ。いう事聞かないなら

お前から潰すぞ。」


あんなに素早く動けるのか

俺は直ちに作戦を実行しに行った

バルス先輩の早送りのような動作に

ちょっと感動した。


現場に直行したバルス先輩は

機嫌がすっかり悪くなった4人に

あっという間に取り囲まれ

小突かれてヘラヘラ笑っていた。


目撃されても「遊んでいただけです。」

そう言う為に笑っていろとでも脅されているのか

その対応が一番ダメージが少ない様に

誘導されて自発的そうなったのかは分からないが

ヘラヘラ笑って居た。

そして俺の隠れている場所を

不自然な程、何度も見た。


そして封筒をあっさり渡してしまった。


「・・・。」


一応、打合せでは

「お前らに金を渡すのはもう嫌だ」と

そう宣言する事を約束していたのだ。

そうなれば「教育の必要があるな」と

暴力行為が行われる。

そこを実行犯として捕まえる予定だったのだ。


嫌だと言っている者に対し

暴力で言う事を聞かせる

その現場。


だが「嫌だ」この一言すら

バルス先輩は言えない。

その勇気が元々無いのか

当の昔に暴力でへし折られてしまったのか

まぁ言えていれば

こうはなっていないか。


バルス先輩は

自分は何もせず

正義の味方が勝手に助けてくれる事を

願っているだけだった。


俺は正義の味方じゃない

むしろその敵なんだが

仕方が無い。

行くか。


俺は屋根から跳躍して

バルス先輩の後方に下りると

正面のリーダーっぽい奴

金を受け取った奴だな

そいつ以外を静電気セーターで攻撃した。

度重なる実験のお陰で

威力の調節は匠の域に達していた。

意識を奪わず、体の自由を奪うレベルで

電気を浴びた3人は崩れ落ち

「あっ!・・・・がっ!!」などと

苦悶の表情を浮かべビックンビックンしていた。


「おい、その金はどうする気だ」


突然の出来事にしばし呆然となるイジメリーダー。

直ぐに凄い怒りの形相でバルス先輩を睨んだ。

バルス先輩は激しく首を横に振った。

「テメェ助っ人雇ったのか」「イイエ僕は知りません」

そんなトコロか。


「俺は無視されるのが嫌いだ。」


静電気セーターをイジメリーダーの左手の甲に当てた。


「いっ痛ってぇえ!!」


咄嗟に右手で庇いピョンピョンと跳ねるイジメリーダー。

跳ねても痛みが引くワケでは無いのに

何故か跳ねるよね。


そして痛みの割に怪我が一切無い事に気が付き

激しく動揺していた。


電気の馴染みが薄いこの世界では

あれ程の激痛なのに外傷が無い

これは理解の範疇を超えた出来事の様だ。


「えっ何?君バルスの知り合い?

えっ何か勘違いしてない?」


出た。

こういう卑怯な手合いは絶対すっとぼけようとする。

話すだけ無駄なのだ。


「聞いてるのは俺だ!!」


今度は左肘に静電気セーターを打ち込む

再びジャンプを繰り返すイジメリーダーに

対して俺は釘を刺して置いた。


「俺の質問に答える以外の発言を禁ずる。」


「いってぇ、何だこの痛み」


はい、言ったソバからもうやだぁ

それ返事じゃないですよね。


俺は追加攻撃のアクションを取ろるべく

手を動かすと激しく反応した。


「分かった!!分かったから止めろ

会費!会費だよ。会費を集めていただけなんだ」


チラリとバルス先輩を睨むイジメリーダー。

同意しろ

そんな脅しだ。


バルス先輩がヘタれる前に畳みかけるか。


「何の会費だ。その資金で何してるんだ」


「・・・・。」


言える訳無いのだ。

商売でも無いのに金を受け取る

正当っぽい理由を咄嗟に言っただけだ。

こういう言い訳の素早さは

チンピラほど早いよね。


答えないので

俺は攻撃のアクションをした。


「使い道は知らない!

集めろって言われているだけなんだ!!」


「資金で何をしているのかの返事として認めよう。

次は何の会なのか答えろ。」


「・・・・。」


ガルド学園イジメ部なんて言えないよね。

俺は左足の指先、それも小指限定で

静電気セーターを打ち込んだ。


これはタンスの次くらいに痛いハズだ。


悲鳴を上げて体の左側を俺から

庇う様に斜めになるイジメリーダー。


早ければそろそろ復帰するので

倒れた3人に追加の静電気セーターを入れて置く


「・・・会の名前は無い、活動も知らない

俺達だけじゃ足りないんだよ。

だからこうして協力してもらっているんだ。」


俺らも被害者なんだアッピール

そして

イジメじゃなく協力ですか。

俺は思わず笑ってしまった。


どこまでも見苦しい。


「もう面倒くさいので全部言ってやろう。

俺はその会を乗っ取りに来たんだよ。

その金を渡す相手、それもその中で

一番偉い奴の所に今から俺を連れていけ」


イジメリーダー以外を静電気セーターで気絶させた。

勢いでバルス先輩まで

ま、いいか


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