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ぞくデビ  作者: Tetra1031
303/524

第三百二話 世界最強のノア

教室は元の世界の教室の

形式で机と椅子が動かす事が可能で

床も平だ。


席は決められてしまっていた。


男女が市松模様状態にクロスし

俺は窓側、後ろがアリア、前がミカリン

隣がウリハルと、これまた意図的な配置だ。


担任も決まっていて

A組は教会の神父も務めている

まだ若い男性でスタインと名乗った。


初めての授業は自己紹介タイムだった。


あの顔のデカイ三白眼の名は

マウチだった。


イキっていた割には自己紹介では

緊張しまくりでハッキリ言って

挙動不審だった。


俺はと言えばやる気が出ず

ボーッっとしていた。


何故かと言うとこのクラス

美女が居ないのだ。


クラスのマドンナを決めるべく

男子で投票すれば

間違い無く俺の部屋の3人に

票が分かれるだろう。


同じ部屋な事が隠し通せるハズは無いので

知られた時のやっかみを考えると憂鬱だ。


こんな好物件は無いハズなのに

こうじゃないんだよな。


何となく前の席のミカリンの

後頭部を眺めた。

小さい。

ミカリン顔小さいからな

当然頭部も小さい

後頭部がなんかカワイイだよな。

肉体労働の時とか

ショートの金髪でも結ったりするだが

その時のうなじは絶品だ。


そんな事を思って居たら

後ろから突かれた。


「リストの人ですよ。」


「へっ?」


俺の変な妄想に対する突っ込みかと

思ったが、そうでは無い様だ。

リストの人、つまり

俺がアリアに要求した

学園内の要人、その内の1人が

同級生で同じクラスだと言うのだ。


1期生に居たっけか。


そう思いながら壇上に注目した。

魔族の少年、俺と似たような背恰好だ。


「我はノアと言う。御覧の通り魔族だ」


ノア

そう名乗った少年・・・リストに居たっけ

全く思い出せない。


「ドーマのチャンピオンです。

それはつまりエラシア大陸

いいえ

世界一と言っていいでしょう。」


背後からアリアがそう解説した。


「だね。僕も彼には

一度も勝てたコトないよ。」


俺達のやり取りに気が付いた

ミカリンも俺の方に振り返り話に参加してきた。


世界一だと?!

ミカリンですら勝てない相手だと!!


何でそんなスゴイ奴が

俺の記憶に一切入っていないんだ。


その疑問はノアの自己紹介中に解決した。


「第1回バングバトル大会で優勝した経験がある」


・・・遊びのチャンピオンね。

そらスルーするわ俺は


バングバトル

「メタ・めた」で販売した

玩具の超合金バング、それを使用しての対戦だ。

俺がヒタイング、クリシアで死線を彷徨う

戦いを繰り広げている間

平和なドーマでその第一回大会が開催され

ノアが優勝したそうだ。


「もう別次元の強さだよーアモンでも絶対

勝てないね。」


ミカリンと俺は五分五分の腕前だ

そのミカリンが勝てないのだから

その意見は真っ当だろう。


「そうなんですか。スゴイですね」


おい

おいおい

何だよそりゃ

絶対勝てない?

そんなワケないだろう。


ナニあんなガキにちやほやしてんの二人とも

リストにあって頭に入らなかった。

そりゃそうだよ。

遊びじゃねーか超合金バング対戦なんて

頭に来た。

久々に頭に来た。


大体、あの玩具は小学校高学年向けで

設定した玩具だ。

ノアっつたっけ

大人から見れば君は

子供って言われるかもしれないけど

バング遊びでみれば君は大きい

いや

大きすぎるお兄さんだよ。


何、子供の遊び荒らしてくれてんの?


俺の夢

よくも砕いてくれたな。


俺の脳内には

見ても居ないのに

ノアに負けて泣いている幼い男の子の

映像が浮かんできた。


子供泣かすやつは

俺は許さないよ。


「・・・・え?どうかしたんですか」


人化を解除していなにのに

気が付いたアリア。

すごい感知のうりょ・・・顔に出てるのか


「うわ、本気だよ。」


ミカリンも戦慄していた。

久々の表情だなって

俺のせいか。


「ミカリン。あいつをその・・・なんだ

バングばとるー?だっけ

何でもイイヤとにかくソレで粉砕するから

立ち直れなくなるまで破壊するから

精神的にも物理的にも木っ端みじんにするから

最短でバトルを手配してくれないか

まぁ断ったら命令使うけどさ。」


「・・・分かった。」


その後、俺達も自己紹介した。

俺は不機嫌になってしまったので

かなりぶっきらぼうになったと思うが

まぁこんなクラスどうでもいい。


ミカリンの自己紹介の反応も微妙だ。

美味しい感情を漏らした生徒を

見て見ると花寮と

そしてなんと月寮の生徒が主だった。

うーん、テーン先輩の反応は

決して大袈裟じゃなさそうだ。


アリアの場合は

不味い感情で満たされた。

異国の綺麗なお姉さんだ。

片目隠しキャラがまたミステリアスな

雰囲気を醸し出しているのがイイ

更にちょっと話すと

全然クールじゃないのが

分かるところも

またグッドだ。

これは人気が出そうだ。


そして

そして我らがお姫様の自己紹介だ。


これも味は大混乱だ。

前出の二人と違って

嵐の様に激しく賛美と忌みが渦巻いた。


うーん、ハンス

普通学級に通わせるのは

良く無いかも知れんぞ。


自己紹介の後は

担任から授業及び学校生活の

ルールなどの説明だ。

そしてそのままスタインが担当する

授業「聖道」の説明だ。


聖道

いわゆる僧侶系の呪文全般及び

教会の有難い教えの話だ。


「アモン・・・大丈夫。」


ミカリンが振り向いてそっと

そう尋ねて来た。


「うん、あの程度なら全く問題無いぞ

ダメージ行ってないだろ?」


流石に悪魔化していたら

冷静ではいられないが

悪魔化した俺を目の前に

スタインが冷静に授業出来るはずがない。


「なら、良かった。」


心配してくれたのか。


スタインのレベルは7だ。

一桁神父じゃどう頑張っても

俺にダメージは無理だ。


休み時間を挟んで

午前中は各教科の担当が

代わる代わる教室を回り

各科目の説明で終始した。


昼は寮に戻って食堂で頂く


「昼休みにデュエルの約束とりつけたよ。」


食いながらミカリンがそう言った。


「何だデュエルって??」


「自分が言ったんじゃないか。

ノアとバングバトルしたいって」


「そう言え、デュエルとか持って回った

言い方するから分からんのだ。」


いかんいかん

頼んで置いてすっかり忘れていた。

そう言えば休み時間にミカリンは

ノアに話しかけていたな。

あのやり取りだけで

約束を取り付けたのか

ミカリンの奴ああ見えて

交渉力が高・・・・じゃないな

カワイイ女子から何か頼まれたら

余程じゃない限り何でもOKだろ

思春期の男子の悲しい性だ。


「決闘をするのですか?」


ウリハルが真剣な面持ちでそう言った。


「いや、遊びだから」


絶対勘違いしている。

聞いて見れば案の定

超合金バングを知らなかった。


「そのような遊戯が流行っているとは

外の世界は興味が尽きませんね。」


一転して輝くような笑顔だ。

うん

カワイイぞ

声は変だが


「でもさぁ、何度も言うけど

アモンじゃ絶対勝てないよ。」


申し訳なさそうにミカリンが

再度、忠告してきた。

俺は不敵に笑い

答えた。


「ふふ、まぁ見ていろ」


絶対に負ける事は無いが

一応聞いておくか


「で、どんなルールなんだ。」


3人とも固まった。


ルールは俺達が身内でやっていた事をそのままだ。

異なるのというか明文化されたと言うか

大体でやっていた曖昧な事が

キッチリと決められた格好だ。

ステージの大きさとかだ。


ルール

先に転倒するかフィールド外に出ると負け

試合中にフィールド内に入ってはダメ

試合前の定位置に置く時と

終了後に回収する時以外

如何なるモノも一切フィールド内に侵入しては駄目。

犯した方の敗北、第三者だった場合は

無効試合、談合が発覚した場合は

実行犯含むお友達全員が

参加資格はく奪だそうだ。


「昔、負けそうになった子が

ダイレクトアタックで相手のバング

はたいた事件があってね。」


ミカリンの説明に思わず笑った。

気持ちは分かるが

駄目だろう。


「実力が拮抗して決着が着かない場合は

勝敗はどうするんですか」


超合金バングで遊んだ事の無い

アリアがそう言って来た。

流石は未経験者ならではの発想だ。


「うーん、まずあり得ないね」


ミカリンが即答した。

ぶっちゃけ相撲なのだ

1分以内に殆どの試合が決着するし

お互いがわざと長引かせようと

打合せしない限り有り得ないのだ。

仮に打ち合わせた場合でも

内蔵クリスタルの魔力

小さい粒なので保有量が少なくすぐ切れるので

その時点で膝を着いてしまうのだ。


「これは楽しみですね。」


ワクワクが止まらない様子のウリハルだ。

それを見て

凄く申し訳ない気持ちなる俺。


正々堂々と戦う気など

俺には最初から無いのだ。


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