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ぞくデビ  作者: Tetra1031
302/524

第三百一話 クラス分け

不審者騒ぎのせいで一日遅れで

再開し、クラス分けの発表だ。


クラスは寮別でなく混合で

1期生およそ200人を

まぁ1クラス大体25人程度だな

8クラスに分けられた。


寮の部屋も関係無く

全員がランダムで別れるハズなのだが

俺達4人は同じA組になった。


「すごい偶然ですね。

奇跡を感じます。」


ウリハルは感動してそう言った。

が、そんなワケないだろう。

国家的超法規的忖度発動に決まってるが


「そだねー。」

「ビックリですね。」


と俺達の間にも忖度が機能しててしまっていた。

俺は密かに、この現象をウリハルシフトと名付けた。


「何もかもが新鮮で

心躍るのだけれども

1人も知り合いが居ないのは

ちょっと不安だわーって思って居たら

あら、もしかしてアレはリディ君じゃ

ないかしら。」


A組、教室の入り口

俺達の背後で誰か・・・いいか

ビビビの声がした。


「よう、同じクラスだな。」


俺は振り向きざまそう言った。


「リディ君、背はちょっと低めなのだけれど

抜群の身体能力を誇り、あの伝説の

スーパー生徒会長ともお知り合いの

謎の新入生。」


俺は上げようとした手を

途中で止めた。


「・・・は話しかけてOKになったら言ってくれ」


セリフの途中だったか

俺はそう言ってビビビの解説が終わるのを待った。


「おはよう。これからよろしくね」


終わったのか。


「おう、よろしくな」


「あ、噴水の」

「独特のペースをお持ちの方ですね」


ミカリンもアリアも直ぐに

思い出した様だ。


「あっあの時、リディ君の手続きを

代わりにやっていた・・・・・。」


ともあれ、どうした

バグったのか。


ビビビの視線は俺達の後ろに注がれていて

その人物を確認した事で固まっていた。


「リディ君・・・後ろ後ろ」


ああ

重要人物が後ろにいる事に

俺が気が付いていないと思って居るのか


「ああ、紹介・・・しておくか」


しないとまた傷ついてしまわれるからな。

俺は笑顔でウリハルを紹介した。

すんごい高速で俺とウリハルを

見比べるビビビ。

現状を理解しようと一生懸命なのか。

うーん

早く慣れてくれ。


俺はウリハルにビビビの紹介もしておいた。


「宜しくおねがいしますね。」


ウリハルは上品に挨拶をし

ビビビは処理落ちしたように

ガクガクで挨拶を返した。


「おい、邪魔だ!入れないだろ

他人の迷惑も少しは考えろよ!」


ビビビの後ろから男子の怒号が聞こえた。

入り口で固まってしまったビビビ

塞ぐ恰好になってしまっていたのだ。


「きゃっ!いっけない、心の準備無く

お姫様を目の前にしたせいで緊張して」


マズい

今は解説は逆効果だ。

喧嘩売ってるのと同じだ。

俺は話し続けるビビビを強引に

お姫様抱っこしてどけた。

ビビビは解説しながらきゃーとか言っていた。

器用なのか不器用なのか

判断に迷う人だ。


「すまない。これでいいか」


俺は怒号を発したであろう男子に謝罪した。


「調子こいてんじゃねーぞ。」


不機嫌極まりない表情でそいつは

俺をジロジロ見ながら入って来て

追加の悪態をついた。


背は俺と同じくらいだが

顔がデカいな

三白眼でやたらこった髪型

意識して恰好つけているようだが

ちっとも恰好良くなっていなかった。


でも俺は評価するぞ。

目指す努力が大事だ。


俺は例の気持ち悪い笑顔で

愛想を振りまいておく


そいつは、まだ邪魔だと言わんばかりに

わざと肩をぶつける様に進んで来た。

俺は2ミリ位の感覚を空けて避けた。


傍目にはぶつかった様に見えるだろう

しかし本人は躱された事を理解している。

さぁ、どうする

俺はワクワクしながらリアクションを待った。


「ケッ」


躱されたと回りに悟られたく無いようだな。

そいつはそう言って、進み

ウリハルを見て凝固した。


いかん

ウリハルの立ち位置が悪いんだ。

奥に退けないと渋滞の原因になるな。


俺のそんな考えなど

露知らずウリハルはそいつに謝罪した。


「ビビビさんが入り口を塞いでしまった

原因は私にあります。謝罪いたしますわ。」


と言って笑顔だが

頭を下げないウリハル。


「ひひひ姫だか何だかし知らねーが

ここじゃ関係ねーからな。」


おお

頑張ってるじゃないか

ただ俺から見てもワナワナ震えているのが分かった。


「おおお同じ1っ期生なんだしよ

特別扱いされるとか思ってじゃねーよ」


「はい。私もそう希望しています」


そいつは汗を拭き出しながら更に強がった。

ウリハルは何も感じていない様子で

笑顔のままだ。


だから逆に怖いんだって

お前の笑顔は怖い。

俺のは気持ち悪い。


そのやり取りの隙をついて

ミカリンがそーっとそいつの背後に立ち

普段とは声色を変え、喉太い声で吠えた。


「おい、邪魔だ!入れないだろ!!」


「わあ!!」


そいつは撥ねた。

沸き起こる爆笑。


ミカリンは

素早く立ち位置を移動し

そいつが慌てて振り返った時には

誰が発した声なのか

そいつには分からない様子で

キョロキョロしていた。


「ウリハル、俺達の立ち位置が悪い。

奥に移動しよう。」


「分かりました。」


俺はウリハルを促し奥に移動しようと

したのだがウリハルは振り返って

まだ声の主を探しているそいつに

声を掛けた。


「あの、お名前を教えてください。」


そいつは振り返り答えた。


「どどどうせ自己紹介とかやるだろ。」


名前を言いたくない。

出来れば匿名でやり過ごしたい。

だが同じクラスだ。

そうもいかないのにそいつは

何か焦りまくりで

正常な判断が出来ないのか

反って印象が悪くなる返事だった。


「そうですね。ではその時を

楽しみにしています」


なんだろう

ウリハルは普通に話しているつもりなんだろうが

逃がさないと言っている様にしか

聞こえてこない。


その時、俺の腕の中で

何か小さな声が聞こえた。


「・・・・。」


見れば

ビビビが真っ赤な顔で

か細い声を発していた。


「何だ?」


聞こえないので問い返すと

やっと聞こえるレベルの声で

ビビビは言って来た。


「下ろしてください。」


どうした

解説しないのか

それにそのセリフは

女子→男子

ではなく、土下座しながら

男子→女子に言うセリフだ。


そんなバカな発想を頭から振り払い

俺はビビビを解放した。


「ああ、済まない」


「・・・いいえ、こちらこそ」


解説しろよ。

キャラが変わったみたいだぞ。


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