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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百九十三話 大体、妹の方が強い

馬鹿な。

死ぬほどの一撃は

俺もミカリンも入れていないぞ。


すんごいビックリした顔で固まっているブラバムを

無視して俺は眼鏡の子に話しかけた。


「どいつだ。見してみろ」


と言いつつこっそり半魔化し

デビルイアイで倒れている連中を診断した。


死亡した者は

眼鏡の子が今、介抱している者だった。

外傷らしい外傷は無い

心臓が止まっているだけだ。

・・・・俺が死ねって言った奴だった。

なんて素直な奴だ。

少しは抵抗しろよ。

そう思ったがそれも酷な話だ。

殺意を込めた悪魔オーラをレベル2や3の者が

抵抗レシスト仕切れるハズもない。


ミカリンが診断する俺の後ろで呟いた。


「人には殺すなって言ったクセに」


ドッと美味しい恐怖で部屋が満たされる。

俺より脅しが上手な大天使って一体。


「りょ寮長に・・いや先生を・・・」


なんかかなり狼狽えているブラバム先輩

先ほどまでの威厳は微塵も見られなかった。


「このぐらい平気ですよ。」


俺はさも

懐から取り出した様な仕草で

ストレージから短杖を取り出して

人化してから装備し

蘇生の魔法を使った。


「ぶはぁ!死ぬぅううう」


死んでたんだよ。

俺は無視して残りの怪我人を

重傷者の順番で治療していった。


ミカリン担当チームはいずれも

治療の必要ない者ばかりだ。

軽い打ち身や脳震盪程度。

怪我人レベルは皆、俺を担当した連中だ。

剣を払う目的の攻撃だったが

大体が手、及び手首を骨折していた。


こう言う所でも技術の差が出た。

ミカリンは上手に手加減しているのだ。


やる事は終わった。

早々に撤収しよう

そう思って片づけを始めた俺に

ブラバム先輩が礼を言って来た。


「何から何まで申し分けない。

助かったよ。ありがとう

何か協力出来る事があったら遠慮無く言ってくれ」


不味い感情漏れまくりだ。

本気で感謝している。

あの狼狽えっぷりから想像するに

流石にまだ死体には馴れていない様だ。


「そうか、ではお願いしたい事が」


「お、おう、何でも言ってくれ」


俺は片づけ途中で立ち上がり

ブラバム先輩にだけ聞こえる様に

ヒソヒソ声で話した。


「今日、俺ともう一人がやった事を

頼んでもイイか」


「えっと、それはつまり」


実際に模擬戦すると思って居る様だ。

そんな面倒くさい事は言わないよ。


「1期生が息巻いても説得力が無い

3期生、学園でも1,2を争う強者が

勇者姫に挑みたければまず俺に勝てと

周囲に吹聴してくれれば

余計な面倒を回避出来る。」


ブラバム先輩なら

言うだけで効果は抜群だろう。


「ああ、お安い御用だ。

というか言われなくても

手を出すなと言うつもりだった。

先入観無く戦力を見極めているつもりだったが

全然出来ていなかった事を思い知ったよ。

大反省だ。

強さは地位や年齢、性別も種族も

関係の無いモノなんだって

分かっていたつもりになっていただけだった。」


いい意味でもプライドが無いようだ。

こんなチンチクリンの俺に

ブラバム先輩は正直にそう打ち明けてくれた。


「ただインターンで学園を

空ける事も俺は多いからなぁ」


「妹さんは?」


「ん?ファーかい、あいつは

その強く無い、いやハッキリいって弱い。」


全然、見極められてないなブラバム先輩。

何らかの理由で強さを隠しているのか

これ以上ブラバム先輩に

聞いても何も分からなさそうだ。


俺は滞在中に出来る限りで構わないと

お願いして訓練場を後にした。


部屋に戻ると女子二人は入浴だ。

すっかり汗だくだったからな


自分の部屋で資料を見なおすと

ブラバム・ホーネットは記載されていたが

妹の眼鏡っ娘、ファー・ホーネットの事は

一切書いていない。


工作員エージェントであるアリアの捜査からも

逃れたと言う事だ。

これは目だった成績を残していないと言う事でもある。


「まぁ動かないのであれば、気にしなくてもイイのか」


今、早急にどうこうすべき事柄では無い

俺は頭の中から一旦ファーの事は外した。


「アレ?そもそも雪寮じゃ無いじゃん」


ついでに剣士の項目を見直していると

学園最強剣士とされている。

テーン・シキは花寮の所属だった。


貴族や金持ちを集めた花寮だが

実力者が皆無というワケでは無いのだ。

実力のある貴族も居て当然だ。


「ブットバスも強かったもんな」


女子組が風呂から上がったようなので

俺も軽く汗を流す程度で身を整えた。

アリアは戻って来ないまま

昼の時間になってしまったので

3人で一回に下りた。


食堂で昼飯をしていると

誰かを探す仕草でウロついていたアリアを発見

椅子から立ち上がり手を振って気が付いてもらった。

アリアとも合流だ。


「既に噂になっていますよ。」


午前中の雪寮との稽古は

別行動をしていたアリアの耳にも入っていた。

随分と速いな

流石、学園というのは狭い世界なのだ。


「ちなみにどんな風に吹聴されてるの」


ミカリンも興味があったようで

俺より先にアリアにそう尋ねた。


勇者への挑戦権獲得の為に

ブラバムチームが多対一で挑むも

一太刀も入れられず敗退、死者まで出た。

だそうだ。


「意外とそのままだな。噂って

普通もっと尾ひれ背びれが付いて

大袈裟になるモンだが。」


俺がそう言うとアリアが青い顔になった。


「尾ひれ無しって・・・殺したんですか?!」


「殺すつもりじゃなかったんだが

その・・・死んじゃったんだ。」


俺の返事にミカリンがすかさず突っ込んで来た。


「えー死ねって言ってたじゃん。」


「実際にやった事は刃の付いてない訓練用の剣で

喉を斬る仕草だけだっただろう。

殺傷力は無い、気分を盛り上げる効果しか無いだろ」


死んだ方が悪いで通そう。


「防具貫通もやりすぎだと思うよ」


「か体には当ててない。あれも

相手の戦意を削ぐ為の演出だよ。」


聞こえているのだろう。

周囲から恐怖が漏れていた。


「お見事でしたよ。」


気合の入っていない変な声で

俺を賞賛するウリハル。

それがトドメとなり

近くのテーブルの者達が

こぞって席を立ち始めた。

事務系には恐ろし過ぎる話題だ。

まぁこれで変に絡んで来る連中を

上手く牽制出来るのではないかな。


「そうだ、アリアひとつ頼みが」


思い出した。

ブラバム先輩より強い妹は

何ゆえその強さを隠しているのか

気になっていたのだ。

俺はファー・ホーネットの

調査をアリアに依頼した。


「も申し訳ありません。漏れが

あったようですね。」


恐縮するアリア。

あー責めてるんじゃないだ。

誤解を解いておこう。


「いや、これは漏れじゃない。

公式に目立つ記録は恐らく無い

会って見ないと気が付かない事だ。

アリアは良くやってくれている

だからこうして頼っているんだ。」


午後は各自バラバラの行動になった。


アリアは調査続行。

ウリハルはミカリンに頼んで剣の修行

主に防御を重点に置いてもらう事にした。

俺はちょっと月寮に行く。


「月寮に何か気になる事でも」


アリアの問いに俺は答えた。


「いや、暇潰しに見学してこようかと」


月寮に限らず散歩がてら色々見て回ろう。

ハンスの様子も俺は気になっていた。


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