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ぞくデビ  作者: Tetra1031
289/524

第二百八十八話 星寮の風呂

絹を引き裂く様な悲鳴が響いた。


オペレーション フェアリィ 失敗。


「変態ですわーーーーーー!!」

『変態ですわーーーーーー!!』


何故分かった。

ええい幻聴ババァルもシンクロするなって


「フォオオオオオ静電気セーター!」


騒がれた。

急いで脱出に移らないといけない

俺は雷魔法を併用した当身で

イライザを気絶させる。


崩れ落ちるイライザを

優しく受け止め

床に寝かせた。


「済まないな。」


床に転がすのは忍びないが

ベッドまで運んでいる時間の余裕は無い。

イライザは風呂上りで

バスローブ姿だ。


これは絶好のチャンスだ。


俺は手早く当初の目的

身体データを入手した。

今穿いているパンツも持っていきたいが

一日に入手できるのは一枚。

この俺ルールを破るワケにはいかない

剥ぎ取るのを潔く諦めると

素早くニットの覆面を被り

窓へと移動した。


半魔化状態なので変形が可能だ。

小指を窓の内側の鍵に引っ掛けたまま

外に出て窓を閉め

施錠してから1mm以下の薄さにして

指を脱出させる。


密室の完成だ。


廊下を駆けて来る足音が聞こえた。

長居は無用だ。


俺は仕掛けて置いた脱出装置で

一気に地上までダイブした。

音も無く伸びるワイヤーが

設定した長さで止まる設計だ。


迫る地面

急ブレーキ

草の匂いが分かる程ギリギリで俺は停止

振り子の原理で

足側から建物の側面に振られる。

壁に軟着陸の要領で停止

仰向けになってから

脱出装置の解除を起動させた。

屋上付近に設置した金具のロックがハズレ

ワイヤーと一緒に落下してきた。

俺は立ち上がると

ワイヤー収納、あの掃除機のコードを

巻き取るのと同じ構造だ。

それを起動させつつ

ロック部をナイスキャッチした。


工作員スキルを使用しつつ

中間地点の林まで素早く移動した。


林の中に身を潜め

振り返り双眼鏡で事件現場を見た。

何人かの人影が慌ただしく動いている。

犯人が外に居るとは判断出来ていない様子だ。


今の内だ。


俺は星寮の壁面まで走り

そのままにしてあったロープの

片側を体に固定すると

腕と足の力で壁を走って登った。

その最中も目撃されていないか

周囲を注意深く見回すが

来た時同様静かなモノだった。


自分の部屋に帰還し

直ぐに覆面を脱ぐが

脱いだのにまだ被っている違和感

ああ

お宝も被りっぱなしだったな。


俺はお宝を脱ぐと

ストレージの大事な物フォルダに収納した。


それから外のロープを

慎重に音を立てない様に

かつ急いで回収すると

やっと一息つける状態になった。


「ふぅーミッションコンプリートだ」


この短時間でまた汗だくだ。

俺は黒装束と装備を解除してストレージに

放り込むと、タオルを首に掛け

バスローブを羽織り共用スペースへと出た。


「んー風呂は空いたか?」


共用スペースではアリアだけが

テーブル座り何か作業中だった。

彼女も風呂上りなのだろう

髪が乾ききっていない。


うん

とても

イイです。


俺の声に気が付いたアリアは

作業する手を止め

俺の方を見てから言った。


「今は、まだ二人が・・・

もう直ぐ上がると思いますが」


二人?


「一緒に入っているのか」


うらや・・・でもないか。


「はい。何でも自分で体を洗った事が無いとか」


「スゲェな・・・流石お姫さまだ。」


寮に入れるのに

何で仕込んで置かないんだ。


その時、後ろで扉が開く音がした。


「プハー疲れたよー。」

「上がりましたー。」


瞬間、アリアが真っ赤になり

俺の顔を両手でガッチリホールドし叫んだ。


「ふふ服を来てから出てきてください!!

振りむいちゃダメですからね。」


ミカリンとウリハル真っ裸か

大丈夫

向かないよ。

振り向いても、無いんだから

振り向く意味が無い。

絶対言えないけど

君ら三人「メタ・めた」のフラットスリーって

内心そう思って居るから


「えー何で、まだ熱いよ。」

「私もです。いけないのですか」


「と殿方の前なんですから!!」


どうでもいいが、顔痛い。

すんごい力が籠っていた。

ちょっとイタズラするか


「そうだ、いけないのですか」


俺はそう言って

バスローブをストンと落として

真っ裸になった。


どうだ

これで裸が多数派だ。


「きゃあああああああ!!!」


取っ散らかったアリアは

俺の目を塞いだ。


・・・・何の意味があるんだ。


ドタバタの中

二人にはバスローブを羽織って貰った。

俺は全裸のまま終始アリアに目隠しされたままだった。

女子に触られているのは

全く苦痛でない

むしろ嬉しいので

いつまでも平気だ。

舌を伸ばせば

なんとか舐められそうな気がしたが

アリア相手には絶対やってはいけない気が

したので堪えた。

着替えの最中ウリハルの呟きで

「父様と違う」という発言があったが

一体何の事だろう。


やっと解放され風呂だ。


風呂場に入って軽いめまいを覚える程

ショックだった。


風呂桶が無いのだ。


ガッカリだ。

元の世界で言うモロッコ式とでも言おうか

排水の整ったタイルの床

壁際にお湯を溜めて置ける

洗面台の様な小さな桶があり

そこからお湯を掬って被るのだ。


洗面台の下部分が窯になっていて

たまにトングで石炭を放り込む作りだ。


蛇口からはトイレと同様の水源で

水がでるだけだ。


「・・・・今やるか。」


窯はそのまま流用

貯水桶の上部

お湯漏れ対策の孔から

直結でお湯をもらう配管を設置

足を伸ばせるサイズの風呂桶を

増設した。

重さや錆を考慮し

ちょっと貴重だがアルミで作成した。


ウォータシュートで一気に水を溜めると

風呂桶の中に椅子替わりの鉄塊を置き

ヒートアローをそれに打ち込んで

一気に温度を上げた。


上がり過ぎた。

室内はすんごい水蒸気で

お湯はぐつぐつと煮えたぎってしまった。


ウォーターシュートで水を

適当に追加し適温にする。

湯船から溢れた熱湯が

排水性能を上回り

風呂場全体が熱湯水たまりになった。

許容値を超えるようなら

風呂場から溢れ

共用スペースが偉い事になってしまう

ちょっと焦ったが

排水口のゴミを除けると

決壊前に排水が勝つる勢いになってくれた。


「俺は何をしてるんだ。」


やれやれ

やっとこさ風呂に浸かれる。


「ういいいいいいいいいい」


謎の掛け声を発しながら浸かった。

やっぱりこうでないとな。

ストレージからトレイを取り出し

浮かべると、続いて

飲み物の入った竹筒を出し乗せた。


イイ感じで浮いてくれた。

俺はのんびりと風呂を満喫した。


突然扉が開き

ミカリンが堂々と覗いて来た。

ミカリンの後ろではアリアの

制止する声が聞こえていた。


「あーっやっぱり!!

うぃいいいいって聞こえたから

おかしいって思った!!」


あの謎の掛け声は湯船に浸かる時

限定だと言う事を理解しているのだな。


「きゃーノゾキよー。」


竹筒から口を離し

棒読みで俺は言った。

ミカリンは何か文句を言っているが

自分で作ったのだ。

ズルくは無いだろ

適当に聞き流した。


丁度、排水口から

溜まっていた残りのお湯が出ていく

今日の色んな疲れと一緒に

流れていってくれ。


俺は適当にハイハイいいながら

ボンヤリとそう思った。


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