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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百七十九話 外人が土産に買って帰る程

ウォシュレット


最初はこう言ったのだが

元の世界の言葉で口から出てしまって

「メタ・めた」のみんなが

ポカーンってなったものだ。


それもその筈でウォシュレットは

名詞では無く商品名だったのだ。

なので機能をアレコレ説明したトコロ

「尻シャワー」と呼ばれるようになった。


「尻シャワーとは何ですか??」


当然ウリハルは知らない。

言葉の響きで分かりそうなモノだが

ウリハルは目を丸くしてミカリンの

言葉に割って入った。


「アリア、せ説明して差し上げなさい。」


ちょっと噛んだ。

アリアはウリハルの元まで

駆け寄ると耳打ちして「尻シャワー」の

説明を耳打ちした。


聞きたかったのに・・・。


折角アリアがヒソヒソで教えたのに

ウリハルはでっかい声で復唱した。


「お尻の穴を洗浄する器具ですか?!」


お前の甲高い変な声で聞きたかったんじゃないんだが


「え~それは、どうなんでしょう??」


反射的に尻を押さえて

そう言うウリハル。


「あたし達も最初はそう思ったんだけどね。」

「ええ。一度味わったが最後

もう抜きでは生きていけません。」


自分達の初体験を思い出しているのか

ミカリンとアリアが腕を組んで目を閉じ

感慨深げにしみじみと言った。


説明は二人任せ

俺はその間も

トイレの寸法やら構造を確認した。


この世界の建物では珍しく

この寮は水道が通っていた。

外れる壁を外して配管を確認すると

水は上から落ちるタイプだ。

恐らく風車で組み上げ

最上階に貯め、そこから落とす仕組みだ。


飲み水用の水差しが備品で

置いてある所から浄水は

行っていない工業用水と言ったところか。


「ちょっと待ってろ。直ぐ作るから」


そう言って俺は便座を取り外す。

マホガニーの削り出しだ。

便座まで豪華なんだな。


これはこのまま流用してしまおう

金属製の便座だと冬場死ぬからな。


「お願いねー。」


声を掛けるミカリンに

手を上げて応えた俺は自室に入り

ストレージから作業台及び工具一式を出した。


尻シャワーのパーツは登録済みなので

生成に時間は掛からない

組み立てるだけだ。

家のと多少サイズが異なっていたので

関係するパーツは生成時に調整した。


電気が無いので全て手動だ。

水はタンクからもらい

水鉄砲の要領でノズルから吹き付ける構造だ。

便座横のレバーを倒すと

ノズルが伸び

レバーを井戸のポンプみたいに

押し込む事で水が噴射される。

グリップの傾きで左右

ダイアルでノズルの前後移動だ。

この機能が女子軍団からバージョン1では

前方向の伸びが足り無いと言われ

改良型のバージョン2ではもっと

前方に伸びる様に改良された。


男子には関係無いが

担うのは

ケツの穴だけでは無いのだ。


さて出来たが


これでイイのか


アモンよ。


お前はコレで


満足なのか


こんな所が


ゴールなのか


腕を組んで考える。

ゴールはもっと先にあるのだ。


あの時は無かったが

今は有るモノが増えているじゃないか。


電気は無いがクリスタルがある。

この魔力で何か出来るはずだ。


「来た!」


閃きは天から降って来る。

俺は雷に打たれた様に

アイデアを思いつき

早速、取り掛かった。


「何か、時間かかってない?」


完成した便座を持って共用スペースに

戻って来た俺にミカリンがそう言った。


「済まない。改良に時間が掛かった。」


改良の一言で俄然、興味津々になる

アリアとミカリン。


俺は便座を設置し

タンクから配管を通し水を呼び込んだ。


「使い方は今まで通りだが・・・。」


改良点の説明に入る。

モーターが作成出来ていないので

手動ポンプ式なのは今まで通りだ。


だが、クリスタルの魔力

それを通過させる際に抵抗が大きく

熱を発する触媒をタンクからの

流動パイプ及び便座内に配管した。


「水と便座が暖かいんだ。

寒い日も快適だぞ。」


狂喜乱舞するアリアとミカリン。

二人からこんなに褒められたのは初めてだ。

バング倒したより感謝された。


ウリハルは眉間にシワが寄っている。

まぁ体感するまでは

仕方が無いよな。


「ふふ、まだあるんだ」


「何何!!」

「まだあるのですか?!」


喜ぶ二人に最大の新機能を説明した。


このバージョン3は喋るのだ。

アモン2000の音声機能を小型化し

便座の各操作に連動して

俺の声(櫻井君のものまねコレに時間くった)で喋ってくれるのだ。


便座に座ると「するのかい?」


一分経過で「大きい方だね」


一定時間経過すると「ずっとこうしていたいよ」


レバーを倒すと「洗うよ」


ポンプ動作の度にはランダムで喘ぎ


レバーを戻すと「キレイだよ」


便座から立ち上がると「素敵な時間をありがとう」


だ。

どうだースッゲエだろう

自信満々で解説しきった俺は

鼻高々だ。


喝采せよ!!


・・・・ん

何で静かなの



(文章に出来ない程の騒ぎになった)



「あんなに怒らなくてもイイじゃないか・・・。」


俺は泣きながら音声装置を取り外す作業に入った。

ウリハルだけはクスクス笑いながら

俺の作業を手伝ってくれた。


「スゴイ技術だとは思いますよ。

しかし、心を持たぬ技術は人を不幸にしてしまいます。」


「俺なりのおもてなしの気持ちだったんだがなぁ」


人の心のつもりでいたのだが

どうやら俺はいつの間にか

完全に悪魔になってしまっていたのか

あのトキメキはもう戻らないのか。


音声機能をカットしたバージョン3の設置が終わり

ミカリンがテストしてくれた。


「バッチリだね」


満面の笑みだ。

さっきまでの鬼の表情とは違う人みたいだ。


続いてウリハルだ。


「うひょぉぉぉぉぉぉ!!

おぉぅ?!コレはぁああ」


トイレから響く勇者の雄たけび

ミカリンとアリアは暖かい眼差しだ。


「最初なるなる」

「くすぐったいんですよね初めは」


俺はコメントを控えた。


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