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ぞくデビ  作者: Tetra1031
279/524

第二百七十八話 部屋割り

取り合えずリビングで

自己紹介タイムになった。


席に着くウリハルを観察した。

登場の時に遠目で見た感想そのままだが

近くで見ると幼さが更に浮き立つ。


「俺は部屋を別にしてもらった方がイイんじゃないか」


そうなれば自己紹介も無駄になる気がしたので

開始前、開口一番にそう言ったのだが

ウリハルは首を傾げた。


「あのハンス様・・・学園長の

お知り合いと相部屋と聞いていたのですが」


「そうだけど・・・俺だけ男性だよ」


「いけないのですか。」


うーん

純粋培養すぎる

世間知らずの匂いがプンプンした。


「僕は平気だよー。」


ミカリンはそう言った。

ああ

お前は俺も平気だ。


「あ・・・私もだ大丈夫です。」


アリアは先程とは意見が反対になった。

ヒソヒソとミカリンと何を話したのやら。

俺は平気じゃないが

そう言うなら

どうなっても知らんぞ。


「まぁ個別の部屋もあるしな・・・。」


部屋の構造は4LDK

いやキッチンは無いな。

寝室に当たる個人部屋が4

リビングとトイレ、風呂が共用だ。


シェアハウスみたいな感じで

これならいいのか。


まず俺から行くか

自己紹介でハンス、パウル、ユークリッドなどと

仕事上で知り合った事にしておく

まぁ先程のビビビに説明したのと同じだ。


「宜しくお願い致します。リック様」


「さまは要らん。後、リディで頼むウリハル様」


すっかりリディ呼びに馴れていたので

リックと言われると反応が遅れるのだ。


「分かりました。私の方も様は無しで

お願いいたします。」


そう言ってウリハルは手を差し出して来た。


握手・・・縦向きだから

握手でいいだよね。

水平だと手の甲に口づけとか

どうせなら足が

いややや無何考えているだ。


俺は握手に応えた。

手の感触は一般的な女子のそれでは無かった。

剣の稽古を長い期間継続していないと

こう言う皮膚にはならない。

弱い、レベルは低いのかも知れないが

基礎はしっかり仕込まれているようだ。


「じゃあ次は僕ね。」


勢いよくミカリンが自己紹介を始めた

あろう事か自分の事を俺の奴隷と

しかも明るく言い放った。


固まるウリハル。


「バカ、奴隷とか言うな。」


慌てて制止する俺。

前もってその辺の設定を詰めておくべきだった。

丁度いいここで決めてしまえ。


「えーでも本当だし。」


「全然違うだろ。家臣だ。家臣!」


目で訴える俺。


「あっそう言う事ですか。ビックリしました」


フリーズから復帰するウリハル。

その反応を見てミカリンは

何となく察してくれた様子だ。


「あーそう言えばイイのね。うん家臣だよ」


俺は釘を刺して置く事にした。


「打合せが色々足りなくてスマンが

ここでは家臣で通せ、奴隷とか言うと

正義マンから要らん勝負でも挑まれそうだ。」


「今は規制されていませんが

将来的には廃止される方向です。

特に教会関係は奴隷を快く思っておりません。

本当に奴隷では無いのですよね」


ウリハルも再確認してきた。

この流れだと本当は奴隷だけど

家臣で誤魔化そうって分かりそうなモノだが

初っ端から悪い印象を待たれたくないな

俺は堂々と言った。


「ああ、俺は嘘は言わない」


たまにしかな


「えっと次は私の番ですよね・・・。

あの・・・ちょっとすいません」


アリアはそう言って席を立ち

手近な個室へと向かう

扉を閉める際に体半分だけ出して

俺を手招きした。


俺は人差し指で自分を差し確認すると

アリアはブンブン首を縦に振った。


「なんだろう」


そう言って俺も席を立ち

アリアと個室に入った。


「私はどうしますか。

正直には言えないですよね。」


そうだ。

言えるわけがない

クリシア・マフィアのレイベルニ・ファミリーの

一員で魔導院でもスパイ活動してましたテヘ


アリアの設定も考えないといけない

よく考えたら、素性のヤバいのばっかりが

学園に入り込んだ格好だ。


凝る必要は無いが

スパイ、マフィアこの二つは隠さないとな

俺は適当な設定をアリアと打ち合わせた。


「私はアリア・レイベルニ。クリシアの

片田舎から上京しました。」


人種的にクリシアと言った方が不自然が無い

レイベルニ姓もクリシアでは珍しく無いとの事で

レイベルニ=マフィアという感じでは無いそうだ。

元の世界で例えるなら

山口だから山口組と思う人は居ない感じだ。


「クリシアにある教会経由で

紹介して頂き、ドーマのデアスさんの

所に下宿して受験に臨みました。」


これならハンスと繋がっても不思議では

なかろう、俺やミカリンとつるんでいるもの

これで納得だ。


「自分に何が向いているのか

ここで見つけたいと思って居ます。

宜しくお願いします。」


さすが工作員エージェントだ。

実に自然だ。


「宜しくお願い致します。」


そう言って握手をするアリアとウリハル。

手を握った瞬間、アリアの瞳に

走る警戒の色を俺は見逃さなかった。

俺と同じように手の感触から

ウリハルがどれだけ鍛錬を積んでいるのか

察した様子だ。


「では・・・最後は私ですよね。

隠していてもいずれは知れてしまうので

ここで言ってしまいます。」


何か覚悟を決めた様子で

ウリハルはゆっくりハッキリと続けた。


「私はウリハル・ヒリング・バルバリス。

父は次期皇帝セドリック・バルバリス。

母は前勇者ガバガバ・ヒリング・バルバリスです。」


「「「・・・・。」」」


それはみんな知ってる事だ。

俺達は続きを待った。


「あれ?!驚かないんですか??」


終わりかーい。

言った本人の方が

俺達のノーリアクションに驚いていた。


「いや、それは知らない奴はいないんじゃ無いか」

「派手な登校でしたのもね」

「制服も一人だけ白くて羨ましい。あたしも

それ着たーい。」


ミカリンがガルド学園制服白バージョンに

突っ込みを入れていた。

ミカリンが服装に拘るなんて珍しいと思ったが

この制服に金属プレートを追加すると

天使状態のミカリンの恰好に似るかも知れない。


因みに白は皇族以外はダメらしい。

専用色って事か

まぁ守る方としては大勢の中から

見つけやすくて楽だろうし

一般生徒も教師もうっかり粗相そそう

防止しやすいだろう。


悔しがるミカリンに

ウリハルはこの部屋の中だけでなら

自分の予備を貸してくれると言ってくれた。

体型も近いので大丈夫だ。


その後は生徒の初仕事というか初課題

【室長の選出】だ。

待機中に決めて置けだそうだが

いつまで待機なのか知らん。


「わ・・・私で宜しいのでしょうか。」


アリアは遠慮してそう言った。

嫌がっているというより

偉さ的に下な自分が長なのは

といった感じだ。


「まぁ年長者って事で、頼むよ」


室長といっても

偉いと言うよりは連絡、報告などの雑務が主だ。

この四人の中で一番の肉体年齢の年長者が

アリアなので絵的には適任だ。


「それとも家訓か何かで

全てのおさをやらねばならないとか

あるのか?」


念の為聞いておこう

皇室ルールなんて知らんもんな。

ウリハルは普通に答えた。


「バルバリス家の家訓は正義・友情・勝利なので

特に長に拘ったりはありません」


何その黄金期のジャンプみたいな家訓。

一見ハッキリしているようで

どれも定義があやふやなんだけど

大丈夫か。


その後は個室の割り当て

ココだけは俺は我儘を言って窓のある部屋

二部屋有る内の一個を確保させてもらった。


「私は、何故か駄目だと言われておりますので」


ウリハルは窓無しの部屋を指定されているそうだ。

何故かって多分、防犯上の理由じゃないかな。


残り一つの窓有り部屋だが

意外な事にアリアが辞退し

特に希望の無かったミカリンに決まった。


この二人が窓際がベストだ。

そう思ってどう仕向けようか

考えていたが

希望通りになり空振りで終わった。


無いとは思うが有事の際

飛行出来る二人が窓際の方が

少しでも対応が速くなる。


部屋が決まったので

解いた荷物で共用スペース以外に

置く私物を各自部屋に仕舞い始めた。


しかし、広い

この一部屋だけでも4人寝られるぞ。

ベッドなんか柱立ってるし

天井も高いので槍の練習も

冗談では無く出来そうだと思われた。


「アモーン!!」


ミカリンの声だ。

遮蔽物を考えると

壁一つ

共用スペースで叫んでいるっぽい


すかさず半魔化し

・・・やっぱ抵抗が大きいな。

完全膝カックン耐性を起動させるが

俺達だけだ。

すぐ人化に戻して俺は自室から出た。


「何事だ?!」


共用スペース、トイレの扉が開いていて

ミカリンが便器を指さして言った。


「ここ尻シャワーじゃないよ!!」


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