表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
278/524

第二百七十七話 学園寮入り

講堂で入学式が行われた。

新入生代表の挨拶はウリハルだ。

まぁ当然だな。


声を聞いて思わず爆笑しそうになった。

必死に堪える俺。

すんごい変な声だ。

人によっては「ふざけないで」と

真顔で注意しそうな程だ。

頭頂部から喋ってんのかって位

甲高い。

もう人では聞き取れない高さの

高周波も出ているに違いない。

また、その変な声なのに

真面目に話している辺りが壺だ。


会場に薄っすら漂う恐怖も

俺の笑いを加速させた。

何で恐怖なの


・・・笑ったら首刎ねられるのか。


在校生代表の歓迎の言葉。

見たことある奴が壇上に上がった。

何とベレンの飯屋でミカリンに

水を掛けたあの女だ。

現生徒会長だと言う。


終わってんな

あんな差別主義者が生徒会長とか


話の途中で

俺は席を立ちあがり

大きく手を振ってやる。


当然、生徒会長は視線を

俺に向け怪訝な表情を浮かべるが

俺が誰だか認識すると

誰が見ても分かる程狼狽し

声も震えまくりだ。


結構、美味しい恐怖を漏らす

良いエネルギー源を確保した。

頻繁に生徒会室を訪れてやる。

・・・ああ

アイツ用の水着は買ってないか

自由時間が出来たら

マッハ(本当)でヒタイングまで

買いに行こう。

その前に解析しないとな

結構そそるナイズバディだ。

大きいのに重力に逆らい

突き出した胸

内臓入ってんのか

間引いてんじゃないのって位

くびれたウエスト

尻も垂れておらず

キュっってアゲアゲな尻だ。



俺はワクワクしながら

デビルアイを起動させ

そして

嫌な抵抗を感じた。

やはり聖都内だと半魔化でも

それなりに障害が来る。

注意深く慎重にやらねば

ダメージが入りそうだ。


負けるもんか

あの魅惑のボディを

なんとしても数値化するのだ。


俺は生徒会長のサイズ測定を

開始して即、噴き出し

慌てて口を押さえ、下を向いて

プルプル震えながら

無音爆笑でなんとかやり過ごした。


「どうしたの?」


ミカリンが小声で聞いて来た。

俺はミカリンに耳打ちして答えた。


「あいつの胸、偽物だ。」


パットが入っている。

胸だけじゃない

かなり高圧でウエストも締め上げられている

もう下着というより拘束具だ。


苦しいハズなのに

涼しい顔をしている辺り

プライドの高さは相当なレベルだ。


しかしこれは困った。

ここまで矯正された状態だと

本来の体型の正しい数値が取れない。

下着補正が無ければ

あの体型にならないのだから

今の状態に合わせた水着では

意味が無いのだ。


どうするか

ええい

取り合えず測定は中断だ。


この私の測定を中止させるとは

やるじゃあないか

名門ガルド学園の生徒会長

伊達では無いと言う事か

あのナイスバディは伊達だ。


またタイミングよくスピーチが

「嘘偽り無く誠実に~」とか

言いやがって

また笑いを堪えるのに必死になる俺。

お前の体型が既に嘘偽りの塊じゃねーか。


駄目だ。

1人で苦しむのは嫌だ。

アリアとミカリンも巻き込もう。


俺は解析した内容を

二人に話したが

笑って居るのは俺だけだった。


「涙ぐましい努力だね。」

「見事な変装ですね。参考になります。」


笑うの止めた。

変な注目を集めてやしないかと

周囲の様子を見回してみるが

俺のクスクスより

壇上の生徒会長のガクブルの方が

注目度が高く

更に俺よりもざわめきの方が

うるさく注目は俺には集まっていなかった。


それにしても色んな人種が居る。

魔族、ダークエルフ、ドワーフ

ただミガウィン族は見かけない。

ミカリンが変な風に目立ってしまいそうで

ちょっと心配だ。

一番多い人族だが半分程で

これは町で見かける比率でみれば

一番低い感じだ。


映画館の二階席に当たる部分は

父兄スペースになっていて

まぁどいつもこいつも金持ちっぽそうだ。

そんな中でもセドリックとガバガバは

別格扱いで入り口も別なんじゃないのか

他の席と交流が出来ないっぽく

区切られていた。

聖騎士のガードも厳重だ。


ともあれ

入学式は無事終了し

新入生は退出、その後は寮に

赴き施設の説明、部屋割

荷物整理で待機の流れになるそうだ。


書類受理と引き換えに渡された名札

ざっと見回すと色が4種類だった。

座る席も色別にまとまっていたのだが

これがどうやら寮別でもあったようだ。


どこの寮に行くのか

帽子を被って判定してもらえるのかと

ワクワクしていたのだが

ちょっとがっかりだ

あの帽子・・・判定する以外

普段何してるんだろう。


席もまとまっていたので

混乱する事無く

誘導されていく新入生達。

行先の説明が無い

もしかしたら調べ済みかもしれない

ミカリンに聞いて見た。


「俺達、何寮なんだ。」


俺も、ミカリンもアリアも

同じ色の名札だ。

これは司教軍団の配慮だろう。


「星だよ。」


へっ?


もっと詳しく聞くと

星、花、雪、月と別れていて

宝塚かよ。宙は無いの?

寮ごとに特徴があるそうだ。


星=事務&政治的に重要人物

花=いわゆる貴族、上流階級用

雪=実力本位、冒険者、戦士団に入る者

月=教会


だそうだ。


まぁ俺らは重要視されているだろうな。


「重要人物と一般事務が一緒なのか」


こう言ってはヒドイかもだが

大事さの格差がデカい気がするのだ。


「重要人物自体が数が少ないし

他の寮の影響を考えると

一般事務と一緒が一番無難じゃないかな」


損得が働き難いのか。

どうもこれは

運営してからのトラブルで

自然に分かれるべくして分かれた寮分けの

様な気がした。


先導している腕章を付けた上級生は

実にテキパキして手馴れた様子だ。

声もハッキリして良く通る声だ。

流石は一般事務と言ったところか

話方のイントネーションが独特で

俺はネルネルドのお茶係りを思い出した。

彼女も卒業生だと言っていたが

間違い無く星寮出身だろう。


寮内は学年で別れてはおらず

結構バラバラに案内された。

各、四人部屋だ。


俺は寮の最上階まで連れていかれ

明らかに今までの部屋と異なる

豪華な部屋に放り込まれた。

重要人物は最上階なのね。


「わーっ広い部屋だねー。」

「豪華だな。」

「って男子と一緒の部屋なんですかー」


アリアだけ混乱していた。

俺、ミカリン、アリアと同部屋だった。


・・・だよな。

リスタートからこっち

ずっとミカリンと一緒だったから

麻痺していたが

この年の頃の男女が同じ部屋って

マズいだろう。


間違いが起きたら・・・・

利用する気なんだろうな司教軍団としては

ミカリンはともかく

アリアとは過ちが起きそうで怖い。

おのれユークリッドここまで図ったか。


「4人部屋だよね。後1人誰か来るのかな」


ミカリンが荷物を解きながら

そう言った。

アリアがヒソヒソ声でミカリンに

何やら訴えている様子だが

ミカリンは声のトーンを落とさず返事した。


「は?同じ部屋の方がアリアの目的にも

良いでしょうに。」


「キャー、言わないで下さい」


聞こえない振りでいいな。

アリアにも何やら目的があるようだが

俺を排除して話し合った時点で

俺に知られたくない内容って事だ。


とは言え

同室は容認できない。

後でハンスに俺だけ別室にする様に

頼むか。

居心地悪くてしょうがない

鼻くそほじるとか

おならとか

お互いやりづらそうだ。


そんな事を思って居ると

扉が開かれ

最後の一人が入って来た。


「宜しくお願い致しまーす!」


人には聞き取れない高周波の混じった

甲高い声が部屋に響いた。


おいおいおいおいおいおいおい

ユー!!マズイだろいくら何でも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ