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ぞくデビ  作者: Tetra1031
277/524

第二百七十六話 ウリハル登場

「ど・・・どうしたの隣の人。」


ミカリンが驚いて

そう言っていた。

ふと見ればビビビは

まだ石化したままになっていた。

俺は今しがた起きた出来事

ビビビとの出会い

そして

特にバイスの立場について

細かく説明した。


「あいつが~」


ミカリンは信じられないと言った様子だ。

レベル100の大天使からみれば

ゴミのようなモノかもしれないが

人、学生レベルで言えば

あれでも伝説級なんだ。


俺は改めて釘を刺して置いた。


工作員スキル。

俺とアリアは問題無くレベルの偽装が出来た。

アリアにはメニュー画面及び

頭上のレベル表示は見えていないが

「回りの連中と合わせろ」と言う

指示だけで一度でレベル1に偽装成功した。

流石である。


問題はミカリンだった。

いくら教えても工作員エージェントを習得しなかった。

これは恐らく偽装、嘘をつく事への抵抗が

天使の属性で無理なんではないかと予想した。

習得させる事は早々に諦め

俺の偽装と同期させる。

これを呪いで行使したところ

あっさりとミカリンの表示もレベル1になった。

念の為に苦痛が無いかどうか確認した。

特に無いそうだが「弱くなった感じで不安」だそうだ。


感じでは無く実際に弱いのだが

あくまで偽装なので

お互いに魔法及びスキルなどを行使すると

そのレベルに合わせて

強制的に偽装が解除されてしまう。


俺の場合でいえば下等悪魔レッサーデーモン化すれば

レベルの偽装は強制的に30まで上がってしまう

ミカリンが下級天使化を試みた時は

呪いの強制力が働き苦痛で中断された

メニューに例の許可項目が出たので

常に許可にしておく

俺の居ない場合や突然の対応など

これは自発的に出来ないと危険だ。

そうして下級天使化し再び人化した場合は

レベルは30のままだった。

再びレベルを1にするには

もう一度俺と同期させないといけない。

うーん、面倒だ。


以上のテストを学園に来る途中で行った。

天使化、悪魔化は人目を忍ぶ必要があるので

アリアを先に行かせて俺達は

例の地面とデスラーホールを

使ったエレベーターで地下通路に入って

偽装を済ませて置いた。


「お弟子さん鼻高々でしたものね。」


アリアはクフィールのバイス自慢を

帰りの道中で散々聞いていたので

素直に納得してくれた。


「はっ憧れのバイス様が目の前に来たという

緊張のせいで意識が数分飛んでしまっていたようだわ

いけないいけない。」


ビビビも再起動したようだ。


「もう行っちまったぞ残念だったな。」


「リディ君、もしかしてバイス様と

お知り合いなの?あなたに向かって来ていた様に

私には見えたのだけれども」


どうせ隠してももう無駄だろ

目撃者は100人に迫る

そしてそいつらはもう噂を

広め始めているに違いない。


俺は隠す事を諦めて言った。


「ああ、奴の親父共々ちょっとした

仕事の関係でな、仕事に関しては

詳しく話せないので聞かないでくれ。」


「バイス様の父君といえば

教会・・・いいえバルバリスの基幹

9大司教のパウル様ね。

当然、極秘の任務なども充分あり得るわ。

事件などの目撃者、重要参考人とかかしら

あっいけない、詮索も駄目よね。

極秘の任務の場合リディ君の

身が危険に晒されてしまうものね。」


「アモン。何かコイツ腹立つんだけど」


ミカリンが辛抱たまらず

声を張り上げた。

おい

ここではリディと呼べ。


「ある一定のポイントを通過すると

逆に面白くなってくるから

もうちょっと我慢してみてくれ。」


俺はそう言ってミカリンをなだめた。


「あっこちらの二人がリディ君の

お連れの方ね。私はビビビ

ひょんな事からリディ君と知り合ったの

リディ君、私の姉ともお知り合いなのよ」


何か警戒しながら挨拶をするミカリンと

アリアの反応が面白い。

そりゃ怪しいよな。


そこで再び正門前が騒がしくなった。

どこからか聖騎士が一斉に集まり

正門から伸びる通路に整列し始めた。


俺達の立っている場所も

どうみても邪魔になる位置だ。

排除される前に気を利かせて退避した。


近づいて来た聖騎士の一人は

俺達の行動に一礼をした。

やっぱりどけって言うつもりだったのだ。


「なんだなんだ?!」


散らしたハズの野次馬も

どこに隠れていたのか

誰か号令でも掛けているのか

一斉に集まり始めた。


大袈裟かと思った警備だが

これでも足りないんじゃないかと思える程の

野次馬の数だ。


「何?パレードでも通るの」


ミカリンも周囲に圧倒されていた。

ネズミの国じゃないけど

そんな状況だ。

人混みに揉まれながらも

ビビビが解説してくれた。


「あっ、あの左に剣、右に錫杖、

中央に獅子が描かれたバルバリスの紋章

あれは王族専用の馬車

という事はアレにお乗りになられている方は

当然、王族ということになるわ。

今日、学園に用事がある王族。

もう言うまでも無いわね。

お付きなられたわ。

勇者姫ウリハル・ヒリング・バルバリス様よ」


ウリハルじゃね?

で済むモノを

素晴らしい解説だ。

うーん、もう一周まわって

イライラしてきた。


校舎の入り口を見ると

式典用の偉そうな司教服を着た

ハンス君が楽団を引き連れ

ゾロゾロと出て来るトコロだった。


各、立ち位置が決まったトコロで

楽団の演奏がスタートし

聖騎士が馬車の扉を開く


「おい、おっさんが出て来たぞ。」


禿げて無ければイケメン系の顔の作りだ。

なんかセドリックに似てる・・・えっ

もしかして


俺の一言にビビビが真剣マジモードで

突っ込みを入れて来た。


「首をねられたいの?控えなさい」


似てるも何も

セドリック本人ってことか

あちゃーハゲちゃったか。


周囲が一斉に跪いた。

目立ちたくない

こう思って居た事が功を奏した。

俺もほぼ遅れる事無く

跪く事に成功した。

瞬間的に呪いの同期を強めた。

ミカリンは人に敬意を平等に持っていない。

立ちっぱなしで絶対目立ってしまう

そう考えたのだ。


「イタタタ。」


小声で痛がるミカリンのボヤきが聞こえた。

抵抗があったと言う事は

やっぱり跪く発想が無かったか


「アレこそが皇太子セドリック殿下

そして今出て来られたお方が御妃の」


おお久しぶりのガバガバ・・・なのか

妙な違和感を感じた。

顔は同じだが、あの緑の髪は

大分黒っぽくなっていた。

何よりかつてのあいつから

感じたプレッシャーみたいなものが皆無だ。

これは俺が人化しているせいか

レベル偽装をしているせいか

それともやはり

勇者の力とやらを次世代に

受け継いで、今あいつの中には

それが無いからなのか

何だろう

俺は悔しさみたいなモノを感じていた。


そんな俺の胸中など

知る由も無いビビビは

ヒソヒソ声で解説を続けた。


「ガナガバ様、そして連れ立って

現れたお方こそ勇者姫ウリハル様。

あぁ一切の穢れを退ける純白の制服

とてもお似合いだわ。

勇者姫と同級生なんて

この世代に生まれて超ラッキーよ」


感極まっているビビビ。


「え・・・あれが今代の勇者なの」


ミカリンが拍子抜けしたように呟いた。


「コラコラ。首刎ねられるぞ」


そう言ってミカリンを諫めるが

内心は俺も同意だった。

アイツは強くない。

勇者のプレッシャーを全く持っていない。

出涸らしのガバガバの方が

数段上だ。


まぁまだ子供だし

実戦経験も無いのだろう


体躯は細い

年齢も今の俺より下っぽい

青く美しい瞳

服に迫る肌の白さ

これ以上ない金髪は親父譲りなんだな

顔もキレイなんだが

確かに美人なんだが

なんというか

その

首を刎ねられる覚悟で

一言で言わせてもらうと


バカっぽい


馬鹿では無い

バカなのだ

きっと賢いし

本人も至って真面目なんだろうが

バカっぽさがどうしても鼻についた。


上手く表現出来なくて申し訳ないが

ババァルに通じるモノを感じる。


気に入ったぞ。


ハンスの前まで皇太子家族が進むと

楽団は演奏を止め

ハンスが仰々しく歓迎の言葉を述べた。

何やら儀式的なやり取りも

その後続き

いつまで控えてればいいの?

と痺れを切らしそうになる頃終了し

ウリハルはハンスに連れられ

校舎内に消えて行った。


涙ぐみながら見送る

セドリックとガバガバ

あーこいつら絶対バカ親だよな

どっちも


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