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ぞくデビ  作者: Tetra1031
276/524

第二百七十五話 祝福バイス

「知っているのかビビビ」


俺も知っている人物だが

こいつが何て解説するのか

興味があったので聞いて見た。

ビビビは期待以上に答えてくれた。


「知っているも何も

ガルド学園関係者でなくても

このベレンに知らない人はいないわ。

あのお方こそ伝説のスーパー生徒会長!!」


報告します!

伝説のスーパー生徒会長が現れました!

だにぃ?!


「最も優秀な成績で卒業後

若干、22歳にして

9大司教に近い者。

神聖のサラブレッド

バイス・ヒルテン様よ。

わーっどうしよう

生で見ちゃった~。」


ビビビは決して大袈裟ではなく

同じ様な状態になった女子が

アイドル歌手のロケを

遠巻きから眺めるかのように

包囲網が形成されつつあった。

その結果、内側にいるのは

旧知の間柄なのであろう

教師とか聖騎士とかが

挨拶・・・というよりは

お伺いを立てているといった様子だ。

ほーっ偉いんだなバイス君。


爽やか金髪イケメン

背も高く足も長い

少女マンガの基本的な王子様タイプだ。

やっかみで捻くれた男子以外

彼を嫌う者はいないだろうし

また、そうやって近づく者を

嫌悪するより上手に利用する生き方を

してきたと本人も言っていたしな。

聞いた時は面倒くさくないのかと

思ったが、こうして目の当たりにすると

降りかかる火の粉の対処法だ

何か対処しない方が面倒くさい事になるだろう。


もう観衆に向けて手を振るだけで

黄色い悲鳴が上がっている。

ファンサービスかと思ったが

それはついでで

誰かを探している様だ。

そつなくこなすなぁ


そしてこっちを見て動きが止まった。


「え?ええ?!やだバイス様私を見てる??」


ビビビは前フリも上手いな。

突っ込まないで流そう。


「良かったな」


「こっちに来るわ!どうしよう。えーっ!」


別にどうもせんでいいだろうに

パニくるビビビを放置している間にも

バイスはずんずんとこっち向かって

歩いて来た。


「キャー!!キャーー!!」


いいなぁイケメンは

近づくだけでキャーキャー言ってるぞ。

俺みたいなブサメンでも言われる時があるが

ベクトルが反対向きのキャーだからな


「ア・・・リディさん、探しましたよ。」


ビビビがすんごい表情で俺を見て

固ま・・・もう石化だな

石化した。

俺は放置してバイスに話しかけた。


「何で居るんだ。ヒタイングに行ったんじゃ無かったのか」


日時的にそろそろそっちいる予定だった気がした。


「これから出立です。その前にご入学のお祝いを

言いに寄りました。ご入学おめでとうざいます」


「伝説の生徒会長様にお言葉を頂けて光栄だぜ」


俺の嫌味も爽やかに流すバイス。


「アハハ、卒業して数年程度で伝説ですか」


「槍を作った要領でお前の銅像も作ってやろうか

もう伝説のスーパー生徒会長!!ってでっかく書いてさ」


「そ・・・それは遠慮します。

というか止めてください。お願いです。」


真顔で言って来た。

冗談に聞こえていないのか

俺はそう言う事やりそうだと思っていやがるな

する訳無いだろう

失礼な奴だ。


「そうだ・・・コイツを持っていけ」


バイスで思い出した。

親書とでも言えば良いのか

クリシアを担当するならと

書いておいたのだ

首相、ミウラ、ベルタに名指しで


「こいつは俺の代理 by三半機関のイー」


とだけ書いた文だが

効果あるはずだ。


さも懐から出す様に

手を入れてストレージから

親書を出し、バイスに渡した。


「封されてませんが・・・。」


「効果のある相手の名前も書いてある

お前も見て置け」


その場で開き中身を確認するバイス。

小さく頷くと言った。


「ありがとうございます。

出来る限り頑張ってきます!」


おぉ目が燃えている。


「がんばれよーじゃあな」


気合十分で旅立っていくバイス。

うーん、大きな仕事に向かって

燃えている若者の姿はいいなぁ。


バイスを見送った後に

周囲の異変に気が付いた。

俺を遠巻きに観察して

何やらヒソヒソ、ヒソヒソなんだが

これだけ人数がいると音がスゴイ

遠くで聞く波の音みたいだ。


内容が気になったので悪魔耳を起動させて

音を拾って見ると「あのガキ何者なの?」だ。


ここで俺のさっき立てた

俺TUEEE計画が早くも頓挫した事に気が付いた。

伝説のスーパー生徒会長相手に

ぞんざいな態度で偉そうに振舞った。

俺にしてみれば普通の対応だったんだが

周囲の評価は総じてそうだった。

すんごい注目だ。

バイスが現れた噂とセットで言いふらされる事

間違い無しだろう。


しまった目立ってはいけないんだった。

どうする

ここからモブに挽回する方法は無いか

そう思っていると

バイスと入れ替わりで聖騎士が

俺の方に駆けて来た。


なんだなんだ

バイスと話したら犯罪なのか

俺、逮捕なのか


「これは気が付きませんで、失礼いたしました。」


聖騎士はそう言って

俺の前に跪いた。

若い声だ。

バイスの同級生かなんかか


聖騎士はそう言った後に

兜を脱いだ。

声の通りで顔も若い。


「誰だ」


聖騎士は少しずっこけながら

俺と会った時の事を話し出した。


「おーっ元気そうだな。

血まみれの顔しか覚えてなくて

分からなかったわ。スマン」


バイスの罠に付き合って

運悪くバングにぶっ飛ばされ

死にかけていた聖騎士だった。

凹んだ鎧の修理費はどうなったんだろう。


「動揺していたとはいえキチンと

お礼も言えず、ずっと恥じておりました。

あの時、救って頂いた命

無駄にせぬよう精進して参ります。」


すんごい大声で聖騎士はそう言った。


「なぁ俺の役に立つ気はあるか」


聖騎士の顔は輝く

恩を返す時来たれりって感じだ。


「何なりと!!!」


「・・・目立ちたく無かったんだが」


バイスに続いて周囲のざわつきが

一段と大きさ増していた。

バイス登場の噂を聞いて駆けつけて来た

野次馬も増員されている有様だ。


「お任せください。」


嫌味だったんだが

聖騎士はめげるどころか

目が光っていた。


「蹴散らして参ります!」


「やめろバカ」


俺は聖騎士に

立ち止まっていると通行の妨げになるからと

言って人だかりを解除する様に言った。

腰の剣に掛けた手を離し聖騎士は拝命し

・・・そんな大げさじゃないんだが

ともかく言う事聞いてくれて

コミケスタッフ並みの誘導で

見事、人だかりを解いた。


俺を通り過ぎていく連中の

視線で俺の計画は速くも頓挫したと

思い知らされる。「何者なんだ」と

口々に呟いていた。


まだ

入学出来ていないのに

俺の学園生活は終わった気がする。


「お待たせー。」


後ろから声が掛かった。

ミカリンの声だ。

振り向くとアリアと一緒に

こっちに向かって来る最中だった。


いい

制服姿っていいわ


俺は気を取り直して

学園生活を続行する気になった。


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