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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百六十二話 水着会議

グレアの話によると

店の在庫が尽きたのは一昨日だそうだ。

行き渡ったようで一時の整理券などは

もう必要無い客足だ。

そこへベレンの冒険者協会から

呼び出しを食って

案の定俺がブンドンで納品した武具の

代金、その価格及び支払い方法の相談だったそうだ。


「ビックリしました。」


だよね。

ごめんね。

俺はグレアを労うと話の続きを聞いた。

まず問題になったのが価格だ。

魔力を充填して攻撃力を上げる武器など

前例が無いため相応しい値段が決められない。

仮にオークション形式で世に問えば

信じられない高額になる事は明白だった。

協会の予想最低価格を聞いて

皆はもちろん、金塊在庫豊富で

多少の値段では何も考えない俺ですら

椅子から落ちそうになった。


「一本でも、その価格、それが30本ですから」


「わーいお金持ちだぁーやったー」


大喜びでブルンブルンさせながら

上半身だけで踊るブリッペ。


「いえ、それが協会にはそれだけの資金は無いそうです。

運営に支障の出ないレベルで分割だと何年かかるか。

計算するのも馬鹿らしい期間になっていますそうで

というか利息をつけられたらその時点で飛ぶそうです。

殺す気かと言われました。」


「いややや、最初の設定がおかしい

そんな高額になるワケ・・・・・あるのか?」


ふと頭をバロードの成金ゾンビ達が過った。

興味も無い、誠意もない

物が何であれそれが高額の価値をもっているなら

一発噛まさせろ。

大量に仕入れて値段が上がったトコロで売りさばく


心を失った金の亡者


こいつらのせいで

必要な人に適切に行き渡らなくなってしまう。

不必要に間に介入し利益だけむさぼっていく。


「話がもう冒険者協会そのものを

メタ・めたに身売りして代金はそれでチャラという方向に」


「・・・・承諾してないよね?」


続きを聞くのが怖い。

俺は青ざめて返事を待った。


「私の判断力は既に遠く後方です。

途中からもうオーナーに相談させてくださいの

一点張りでした。」


「良い判断だ。ナイス」


雇われ店長にそんな決断出来るハズが無い

俺はもう一度グレアに謝罪した。

生きた心地がしなかったんじゃあないかな。


「で、オーナーの帰還まで

話は凍結と言う約束だったのですが

今日また呼び出されまして・・・。」


国と教会が介入してきたそうだ。


「お店にもよくいらしていた

あのクセっ毛のユーさんと言う方

あの人・・・偉い人だったんですね。

その方が代表して説明してくださいました。」


偉いも何も事実上バルバリスの支配者の一人だよ。

まぁここでくつろいでいる姿しか知らないと

そう思えないかもだけど・・・。


冒険者協会が個人の手に運用される事を

国として看過できない。


武具は国が買い上げ、協会には

国防の為に無償で貸し与える形にしたい。

やましい考えが無ければ双方に

不満の無い提案だと思いますがねぇ。


最後の方は物まねになったグレアちゃん。

結構似ていてウケるー。


「流石だなユーさん」


恐らく各教会からのバイスの

秘術通信で内容は先に伝わっていて

対策は既に練られていたんだろう。


「なので値段の交渉は・・・・」


そこで呼び鈴が鳴った。

気を利かせたアルコが「はーい。」と

返事をして・・・今ここで言っても

相手に届かないと思うが

そう言いながら玄関に向かって行った。


「多分、その交渉にお見えですよ。

オーナーが戻ったらいの一番に

来訪するとおしゃっていたので。」


グレアはそう予想して言った。

玄関が開く音に続いて

複数の男達の悲鳴にも似た驚きの声が響く。


ああ

水着だったっけな。

やれやれ

俺が行くか。


俺は席を立ち玄関に向かった。

ユークリッド、パウル親子、ハンスの四名と

後一人偉そうな司教服きたもう一人が

目を手で覆いながら

祈ったりパニくったりしていた。


【完全に隠密してろ】


俺はすかさず影に潜んでいるダークに命令した。

この距離はマズい。


「おいっすー。」


「マスターこの恰好は変なのですか」


自分の姿を見た司教達のリアクションに

不安を覚えるアルコ。


「まぁ海岸とその付近でしか

普通は着用しないかな。

露出が多いので聖職者には

目の毒かもしれん」


「そう・・・なんですか」


半獣人モードでは全裸なアルコにしてみれば

まだ何か着ている方なので

納得がいかない様子だ。


「何をしているンですか。」


ユーの問いかけに

ちょっと返答に迷う俺。


何してるんだろう・・・。


「お土産を早速楽しんでいる・・・かな」


「兄貴・・・相変わらずだな」


偉そうな司教服きた奴はヨハンだった。

なんで居るんだ。


「ん?ヨハンか、何だ偉そうな服きて」


「いや、一応最高指導者だから俺。偉いから」


「そうか、取り合えず脱げ」


海パンも大量に買って置いたのだ。

お互い水着なら変じゃないだろうと提案し

俺も含め司教達を水着に着替えさせた。


人数も一気に増えたので

場所をガレージに変えた

ミカリンのヒートアローを

試射台に適度に暑くなるまで打ち込み

水着で丁度良い室温にあげる。


元からあるテーブル、椅子では足りないので

キャリアからテーブルセットも引っ張り出す。


ブリッペ、グレア、アルコはキッチンで

フル稼働を始めてくれた。

もうこのまま夕飯コースだ。


「っそれは本当に水着なんですかぁ??」


ミカリンを見たユ-クリッドは

素っ頓狂な声を上げる。

そう問われても

自分で購入した水着では無いので

ミカリンも答えようが無い。


「・・・やっぱりおかしいよね。」


俺は爆笑中。

バイス君はチラチラとハンスを見る。

お前が言えというサインだが

ハンス君はニコニコしているだけだ。

この男は空気というモノを一切読まない。


適当に歓談しながら飲み食いが

一通り終わると

ユークリッドは本題に入った。


「外には公表出来ないって事でただでいいよ。」


俺はそう言った。

驚く様子も無く司教達は

顔を見合わせた。


「兄貴、当然なんか見返りがあるんだよな」


俺に一番意見がしやすいと思えるヨハンが

空気を読んで聞いて来た。


「うん、ハンス。亜魔族の話は

みんなに通してあるのか?」


亜魔族

悪魔平民が振動数を同調させ人化した人々。

悪魔とは言えないので

魔族の亜種と偽り

外見の奇異、放つオーラの異様さを

緩和させる目的でそうする事に

帰りの旅の最中にハンスと話し合ってそう決めた。


「はい。打合せ通りに」


笑顔で答えるハンス君。

おい、打合せとか言うな。

謀ってるみたいじゃあないか

・・・・みたいじゃないのか。


「同じ土地には居られない。

魔族に押し付けてドーマを

再興させようと思っている。

その支援が代金だ。」


「共存は無理なんですか。」


ユークリッドのツッコミには

バイス君が答えた。

彼にはアンナが悪魔だとは伏せて

反応を見るテスト台になってもらったのだが


「絶対に無理です・・・・

すいません私には悪魔にしか見えませんでした。」


差別的な発言

それを分かっていても本能から来る

恐怖を正直に認めて

バイスはそう言った。


学園では伝説的な優等生

若くして9大司教の選考に成る程の男ですらコレだ。

下っ端の教会関係者では

感じ取った恐怖から自己防衛の

攻撃に移ってもおかしくない。


ましてや一般人ともなれば

考えるまでも無いだろう。


「魔族の亜種というよりは

原種なのでは・・・感じるプレッシャーは

魔族の比ではありません。」


「そんなにですか・・・。」


信じがたいという顔のユークリッド。


「ええ、バイス君はよく我慢したと思いますよ」


笑顔でそう言うハンス。

種を知っているとは言え

お前もよく平気だったな。


「ハンスは平気だったのですか」


同じ旅路をしていたハンスの意見を

ユークリッドは問うた。


「平気ではありませんが

私ほど悪魔に馴れた人間もいないかと」


馴れるなよ。

つか馴れるんだ。


「今、ここには居られないのですか」


用事があると言う事でまずアリアをバロードで下ろし

その後、ベレンで先にハンスとバイスは下ろした。

その後ドーマで魔族組にアンナを預け

最後に魔導院でストレガとクフィールで

爺さんと帰宅だった。


「今ナリ君のトコロで面倒見てもらっている。」


悪魔に対して高い抵抗力を持つ魔族

ナリ君もリリアンもアンナに対して

何らプレッシャーを感じていなかった。

この事はアンナを喜ばせた。


俺はナリ君にアンナの保護を頼んだ。

道中のバイスの様子を見る限り

自宅の天使二人がどうなるか

試したく無かった。


明日、魔導院に連れて行って

モナと対面させる手筈だ。


「魔族を上回るか・・・そりゃ

確かにヤベぇな」


ドルワルド奪還でドワーフ、魔族と

共闘したヨハンがそう言った。


「そうだ。武勇伝聞かせてくれよ」


俺が海で遊んでいる間

ヨハンはドルワルド奪還を終え

ベレンに戻って来ていたのだ。


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