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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百六十 話 復活のレイベルニ

山脈の麓、リカルドの故郷である

錆びれた村、特定は簡単だった。


集落の数自体が極端に少ない

上空から見つけては

虱潰しに当たって行く

然して時間も掛からず特定出来た。


が失敗した。

肝心のミウラ達が

まだ到着していなかったのだ。


「まだ道中か・・・。」


色々あったせいで長く感じているが

出発は昨日だったもんな。

馬車を何処かで入手しても

一日そこらで来れる距離じゃ無かった。


しかし無駄では無い。

ゴールから逆を辿っていけば

行き違いも無いし発見も容易いだろう。


俺はリカルドの村から

クリシアの首都に繋がる道の

上空を遡りながら飛行した。


発見したのは

見落としたのかと勘違いする程

ゴーストタウンの近くまで戻ってだ。

農家が良く使う馬車がノロノロ街道を走っている。

望遠デビルアイが荷台のミウラを捉えた。

間違いない。


俺は悪魔男爵バロンから冒険者ゼータになると

その馬車の行く手を遮る様に地上に下りた。


御者をしていたリカルドが

降下する俺に気が付いたようだ。

傑作な程驚いた顔をしていた。


そういえば飛べるの知らなかったか。


「もうね・・・ついていけないヨ」


用事が片付いた。

飛行して先回りした。

この説明だけでミウラは頭痛をガマンするような

仕草でそう呟いた。


「大変なのはこれからだ

ちょっと長いが聞いてくれ」


俺は黒い教会での出来事を

ミウラ達に話始めた。



消滅空間から帰還した。

回廊を駅に見立て汽車は横並びに停車し

俺達は下車した。


丁度ダークの背後だった。

なんで落ちた先と逆方向から

帰って来るのか不思議だが

「アモン殿ーーーー!!」とダークにしては

必死な声で叫んでいる貴重な姿を見ることが出来たのでよしだ。


「はいー。」


と気の抜けた声で俺は後ろから返事をしてやる。

こんなデカくてうるさい蒸気機関車が

真後ろに来ているというのに

何故気が付かないのかとも思ったが

ふと振り返れば汽車もレールも

もう見えない。

下りたと同時に消えるのか、それとも

回廊側からは見えないモノのかも知れない。


「もう・・・ついていけないでござるよ」


説教覚悟だったのだが

ダークは怒りを通り越した状態で

安堵からがっくりと座り込み

そう呟いた。


「ぬぅアモン君、そやつ12将ではないか」


座り込んだダークを見てケイシオンはそう言った。


ケイシオンには回廊に入った時点で振動数を合わせる為に

人化してもらう手筈にになっていたのだ。


初めて見る人状態のケイシオンに

俺は少しばかり動揺した。


俺の記憶から姿を引っ張り出したせいで

祖父そっくりだ。

嬉しいやら恥ずかしいやら、ちょっとやりにくい。


衣装はハンスの司教服を参考にさせてもらった。

多分、ベレンの教会にやっかいになるだろうと

予想したのだ。


「流石だ。良く知っているな」


13と突っ込みたかったが

もうこれはいいか。


「彼も崩壊からサルベージしたのかや」


自分と同様にダークも崩壊に巻き込まれた被害者と思ったのだろう。

そう聞いて来たが俺は事情を説明した。


「いや、ダークは本体じゃない

俺の召喚による義体だ。」


俺の返事に素直に頷かず何か探る様な目つきだ。

何だろう

何か変なのか


俺が聞き返す前にダークが割って入って来た。


「アモン殿、そちらのご老人は・・・。」


俺は咄嗟に思いついたでっち上げを答えた。


「ああ、珍しいモノが落ちてたんでな

これを拾いに行っていたんだよ。」


悪ふざけで落ちたんじゃあ無いんだよ。


ケイシオンは自己紹介した。


「じゅ・・・12柱で・・・ござるか」


「元と言うべきじゃろうな

御覧の通り人化してただの年寄りじゃい

ワシの首が欲しいならチャンスじゃぞ。」


これだけ近くにいるのだ。

人化出来ないダークには

必ずダメージが入るハズなのに

それが無い、その時点で人である事は推測出来るのだが

ダークはデビルアイでケイシオンを走査していた。

忍者、疑り深いな。

いや、堅実と言うべきか


「無益な殺生はせぬでござる。

主の命ならば話は別でござるが」


今走査した結果で

ただの人間だと判断出来た。

しかし

消滅空間で消えずに生存していた。

この二つの事実からこの老人が

12柱である事は信じた様子だ。


「いや、その為に拾ってきたんじゃない」


なんか俺の命令を待ってるっぽい

言い方だったので念を押しておく俺。


「まさに命拾いでござるな。ご老人」


こうして俺、ダーク、アンナ

そしてケイシオンをは回廊から

黒い教会へ戻った。


心配していた振動数合わせの件だったが

強大な力を持たない平民は

特に意識せずとも時間で同化するそうだ。

なのでアンナはそうならない様に

時間を決めて行き来していたのだ。


救出した悪魔平民は皆無事な様子だった。


もの凄い大人数で地下から

今度は最上階へと移った。

ざっくりと今後の事を決めてしまう会議だ。


フリューラ・ファミリーは事実上の壊滅。

残ったメンツも死んだ事にしておく

下手に弱体存続していれば恨みから

またロクな事にならない。

ここは全滅を宣伝しておこう。

アンナを始め顔がクリシア市民に

割れていない者が残った殆どだ。


「その手柄はどうする?総理が持っていくかい」


俺がそう聞いたら

総理は真っ青になって首を横に振った。

恨みと同じくらいの強力な親派も

数多くいるそうだ。

そいつらから首を狙われるのは御免被りたいそうだ。


「ただ、各種の基幹を受け持っていた下等悪魔レッサーデーモン

もう居ませんので替わりの人間をたてねばなりません」


ベルタが運営の問題を挙げた。


恐怖で支配されていた人側代表の総理も

壊れそうな世界から脱出出来たアンナ側も

この先の希望は無いというか

どうして良いのか手探りな状態の様子だ。

となれば俺が強権発動しても良いだろう。

つか

俺の言葉を両陣営とも待っている感じがした。


「じゃあフリューラ・ファミリー討伐の

功労者は老舗マフィアに押し付けよう」


マフィア同士の抗争。

元々そういう流れだったし

不自然はあるまい。


「そして各お役所の要人は部下だった人間から立てろ

報告はベルタが統括して受けろ、ただし

今までみたいな悪逆非道は許さん

たまに俺がチェックしにくるからな

どうせ分からないだろうと調子に乗っているようで

あれば100匹の後を追わせる。」


引っ掛かった世界に恐怖エネルギーを

供給しなければならない事態は終息した。

もういたずらに人々に恐怖を植え付ける必要は無い。

あの胸糞わるい人間牧場は開放だ。


「我が魔王の御心のままに」


嬉しそうに恭しく頭を下げるベルタ。

そういえばコイツ戦闘系じゃないんだったな。

こういうのを求めていたタイプなのか

やたら嬉しそうだ。


「首相は淡々と変更になった事柄だけを

国民に向けて発表していろ

何を聞かれても

誠意対応していくとだけ答えろ

背後関係とか組織には一切触れるな。」


「はい。我が魔王の御心のままに」


首相の方は不安で一杯だな。

もっとおっかない悪魔が来たんだ

もっとヒドイ事になるのが普通だもんな

今の時点で信じろと言っても無意味だな。

替わった事実を体験し

ゆっくり納得していってくれ。


「平民達は取り合えず教会内から出るな

今後の事のついては・・・アンナ

ちょっとしばらく俺に付き合ってくれ

取り合えずドーマに行く。その後

戻ったアンナと皆で決めてくれ」


「え?あ・・はい」


自分に話が振られるとは思っていなかったのだろう

ちょっとビックリしてしまったアンナちゃんだ。

怪しい外見だが動きや話し方は

人間と変わらない。

この怖い外見のハードルさえ越えれば

人族とも共存は可能かもしれないが

教会の息の掛かった場所では

その最初のハードル越え自体が

・・・無理だろうなぁ。


「モナがドーマに居るんだ」


モナがどんな顔するか

今からワクワクが止まらないぜ。


「・・・はい」


そんな俺のイタズラ心を知らないアンナは

純粋に感謝していた。

ちょっと罪悪感だが

結果的に良い事をしてるんだから

そうだ俺 は 悪 く ね ぇ


「じゃ、ちょっとその老舗マフィア

呼んで来るわ・・・ダーク」


「はっ」


「ここに残って監視しろ

俺の意図を裏切る様な動きがあったら

始末していい。仮にそれが全員でもだ。

全員を相手でもイケるよな」


「3分頂ければ」


どこまでが全員なのか

この部屋か教会内か

まさか首都全部じゃないだろうな

怖いのでそれは聞かなかった。


「それでいい。じゃあ行ってくるぞ。」


俺はそう言って席を立つと悪魔男爵バロン化して

窓から飛び立った。

目指すはリカルドの故郷の村だ。


そして冒頭に繋がるのだ。


「という事だ。首都に戻れ」


ご清聴ありがとうございます。

レイベルニ・ファミリーの面々の反応は分かれた。


ラテラは勇者の冒険譚での聞いているかの如く

キラキラした目だった。


リカルドは何かジト目だ。


「ボス、だから無駄になるって言ったじゃないですか

あのまま隠れていて良かったんですよ」


ミウラは頭痛を堪える仕草のまま答えた。


「だってさぁフリューラ相手に一日しか

掛からないなんてさぁ

誰もそう思わないでしょ」


「デタラメなんですよイーさんは

今だって空飛んで来たんですよ」


飛行能力は教えて無かったもんね。


「どうやって飛ぶの。僕も出来るようになるかな」


キラキラした目のままラテラはそう聞いて来た。

そこですか。

無理です。

飛行機の発明まで待ってね。


「待たせてるんだ。話は道中でしろ」


俺はキャリアをストレージから出す。

スゲェスゲェと喜んでくれたのはラテラだけで

リカルドとミウラは

なんかもうどうでもイイって感じの無表情だ。


キャリアで飛ばせば

あっという間に首都だ。


「ホラ乗った乗った。どうした」



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