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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百五十一話 ボスかもな

上の方に案内されるのかと思いきや

向かったのは地下だった。


隠し扉から洞窟へ進む

所々にロウソクが設置されていて

他に人工物は見当たらなかった。


不自然だと感じたのは

悪魔男爵バロンクラスが通る事を前提に

しているかのように洞窟も隠し扉も

大きいサイズだった事だ。


「こちらに御座います。」


洞窟は行き当たりになった。

洞窟の内径に合わせてあつらえた壁と扉だ。

施錠はされていなかった。


ベルタは扉を開けると

中は一つの部屋で

洞窟よりは広いドーム状の部屋だ。

ここも人工的に掘られた様な

形跡では無かった。


そして何より目を引いたのは

中央に浮かんだ「線」だ。

目にゴミでも入ったのかと

勘違いしそうになる程


その線は空間に不自然に浮いていた。


「ダーク。出てこい」


「はっ」


俺の呼びかけで影からダークが飛び出す。


「なっ?!」

「これは?!」


驚くベルタと首相を無視しし


「これがゲートか」


俺は空間に浮かんだ線を指さして

ダークにそう聞いた。


「如何にも。今は閉じているでござるな」


その返事を聞いた後に俺はベルタに尋ねる。


「おい、ボスは?」


「は・・・はい。あ、間もなくでございます」


ベルタはダークの事を尋ねる事はせず

懐からでっかいペンダント・・・じゃない

懐中時計だ。

を見てそう言った。


「ちょっとソレ見せろ」


懐中時計はベレンでも見かけていなかった。


「はい、えーこれは」


「時計だろ、時を刻む機械だ。」


知っとるわ

はよ、よこさんかい。


「は・・・失礼いたしました。」


俺に自慢の説明が出来なくて

残念そうなベルタ。

クリシアでも貴重な品なのだろう

何の機械なのか質問され馴れているようだ。


手渡された時計を早速、走査する俺。


「動力は手巻きのゼンマイか。」


秒針は無いがスィープ式だ。

心臓部である歯車の集合体

ムーブメントと

宝石をあしらった文字盤や

金で作られた外のケースなどとは

異なる職人で製作されている気がした。


各パーツごと登録しておく

歯車の鋼鈑をもっと薄く作れば

腕時計サイズまでイケそうだ。

俺が機械を理解している事が

ベルタには予想外だった様で

驚きのまま賞賛した。


「・・・その通りでございます。」


ちょっと突っ込んで聞いて見たら

ムーブメントは

コメエライという人族の職人が

作りあげた物をそのまま頂戴したらしい。


急に時計に熱中した俺は

首相とダークをポカーンとさせてしまった。

ええい

今は時計が大事だ。


こうなると分かっていれば

元の世界から様々な準備をして来たのだが

いきなりだった

使い方は知っていても

細かい構造を知らないモノ

この時計もそうだ。

見本さえあればコピーは容易い・・・

出来なくは無い。


「ア・・・イー殿、来るでござるよ。」


時計談義で丁度時間が潰れた。

俺は懐中時計をベルタに返却すると

空間に浮かんだ線に注目した。


線は揺らぎ始め

やがて左右に開いていった。

縦にした瞼

そんな表現で良いと思った。


出て来たのは一体の悪魔・・・なのかコレ


デビルアイを起動させて待機していた。

出てくると同時に走査したのだが

なんだこいつは

金属粒子で構成されていなく

魔核も見当たらないが

一瞬、人かと思ったが

骨格、内臓など人とは明らかに異なった。


人型の生き物だった。


肌の色は黒い。

人の黒さとは違い赤みが皆無だ。

青に黒い絵の具を追加して作った様な色だ。

眼球も普通なら白い部分が灰色で

虹彩は赤、髪はグレー

衣服を着用していて体温もあった。

魔族の衣装に近いデザインだ。


まだ若い女性だ。

ただ

片腕が

左腕が肩と肘の中間辺りまでしか無かった。

生まれつきでは無い感じだが

切断とも違う様に思えた。


その出て来た女性は

俺を見て硬直し

辺りを見回しベルタの姿を確認すると

目に見えて安堵し

上ずった声でベルタに問いかけた。


「ベルタ、これは一体・・・。」


「ボス、敵はなんと

我らの悲願でありました。」


残っている右手で口を押さえる女性

感動している様子だ。


「ダーク、あの女は・・・

あれは何だ?下等悪魔レッサーデーモンじゃないよな」


俺の質問に対して

何を言ってるんだコイツは

とでも言いたげに首を傾げるダーク。

しかし、直ぐに気が付いた様子で

片手の手の平にトンカチのように

もう片手でポンっと一回打つ仕草をして言った。


「・・・あ、地上のアモン殿は魔界を知らなかったでござるな」


魔界の一般人。

戦闘要員では無い市民の悪魔だそうだ。

つか偽名・・・いいか。


「こちらに来るのは通常は戦闘員ばかりでござるからなぁ

見るのは初めてでござるか」


俺は頷いた。

そして直感のまま尋ねた。

顔はぶっちゃけ似て無いが

何と言うか

醸し出す雰囲気がそのままだった。

そして腕

左腕のあの位置

あの箇所はいつぞや夜中に怪我をした箇所と

同じ場所だ。


「お前、モナという人の夢を見ていないか」


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