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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百四十七話 迷えるダーク

レイベルニ・ファミリーが潜伏していた屋敷の

近くに俺は一人佇んでいた。

ダークに指令を出した場所だ。


メニュー画面は開きっぱなしで

ダークの項目を出している。


「ログアウトなんてするワケ無いしな。」


表示を素直に考えれば

この世界に存在していませんだ。

プレイヤーなら普通にログインしていない状態だが

NPCのダークにはそれは無い。


ただこの世界は既にゲームでは無いのに

このメニュー機能が俺にそう思考させてしまうのだ。

メニューを信じる限り

死んだのでは無い。

死ねば、その旨表記されて残るハズだ。

ダークは生きていて

MAP表示可能な場所に居ないのだ。


1型に会っていなければ

もっと慌てたかもしれない。


別空間なるものが確実に存在し

そこから突如出現するのだ。


ダークの居場所もそんな所だろう。


約束の時間までまだ少しある

もう少し考えて見るか。


教会の悪魔にダークを上回る強者が居る。

居ないな。

いるならそいつが俺らを倒しに出張って来るし

ダークは13将で俺の召喚で

ダウングレードしていない。

勝てるとすれば同じ13将か魔王クラスになる

そのレベルが通れるゲートは考えにくい

そんなゲートがあるのならビルジバイツの身の上を

何よりも案じるオーベルが利用しないはずは無い。


可能性があるとすれば

上の者にも通用する特殊能力の所持者だ。

強さでは下回るが特定の条件で

強者にも効果を発揮してしまう何らかの能力

これにダークが引っかかってしまった。


こういう能力は存在する。


前回の降臨

ゲカイちゃんの解除能力だ。

魔王にも通用したし

俺の自慢の悪魔光線にまで作用した。


ただ下等悪魔レッサーデーモンで特殊能力持ちは

考えにくいな

俺自身がレベル上げ中に体感しているが

ホント飛べる以外に取り柄が無かった。

弱かったよなぁ。


指令からもうすぐ24時間が経とうとしていた。

胸の底をジリジリと炙るような感覚

焦りか心配か


「おっ!!!」


MAPにダークの反応が出た。

黒い教会の位置あたりだった。

そして凄いスピードで俺の方に移動している。

速いな。


「はい・・・3・2・」


「お待たせしたでござる」


漫画ならシュタッっとでも音を書きたい所だが

ダークはほぼ無音で行動する。

まるで瞬間移動の様に俺の目の前に

現れて跪いた。


「時間通りだな」


本当に律儀な奴だ。

沖縄の人に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。

あいつら約束の時間

1時間ぐらいなら平気で遅れるからな。


「首尾はどうだ」


ホッとしながら俺はダークに尋ねた。


「・・・あの教会の壊滅は考え直しては頂けないでござろうか」


意外も意外

そんなセリフが出て来るとは夢にも思っていなかった。


「もしかしてババァルでもいたのか」


来る事は出来なくても

帰り損ねた魔王が居る。


まっさきに思いついたのだが

ガッカリするのが嫌で

考えない様にしていたのだ。

それがダークのセリフで決壊した。

思っていた以上に大きな声で言ってしまった。


「可能性があるやもでござる」


「ン何だ可能性って!

確認して来いって言ったろうが」


ビリッっとか音がして大気が揺れた。

木々の葉も一斉に揺れ

寝ていた鳥が一斉に飛び立った。


俺は我に返り

即、謝罪した。


「あ・・・スマン。その・・・。」


俺の反応に対して

ダークは穏やかだった。


「良いでござるよ。

拙者も嬉しいでござる。

それ程までに姫を想っていて下さるとは」


「いやややそうでも違うよ馬っ鹿だなー」


『・・・・・・・。』


すげぇな

無言の幻聴を使いこなすとは

恐るべし幻聴ババァル。


真面目な調子に戻って

ダークは慎重に言葉を選びながら話し出した。


「まず上位の存在でござるが、あの建物の

中に顕現している固体に限ってはいないでござる。

外も同様でござるな。」


居ないの一言で終われない何かがあるのだな。


「顕現している固体?」


俺は気になった語句を復唱した。

ダークは頷き説明を続けた。


「あの黒い教会の中にゲートがあるでござる」


「仮にその向こうに上位が居ても

行き来出来ないのなら・・・」


「それが通常のゲートでは御座らん」


俺は首を傾げた。

ダークは困った感じに続けた。


「実際にゲートを通過した経験の無い

地上のアモン殿に上手く説明出来る自信が無いのでござるが

そのゲートは我々の世界、魔界に繋がってはいない様子。」


「様子ってどういう事だ。入ってないのか」


ダークの話をまとめると

忍び込んでは見たが通常と異なるゲートだと

すぐ気が付き、いつでも戻れる範囲で

進んでは見たが通過までは行かなかったそうだ。

まず、13将のダークがでも入れた

これだけでも通常のゲートでは無い事が分かる。

戻らないつもりなら通過は可能だったそうだ。

ただ、行った先からこちら戻れる確証が無い

行きました戻れません。

俺への報告は必須な現段階で

この賭けには出られない。

そういう判断だ。


成程、そう言う事なら

MAPにダークの居場所が表示されない訳だ。


「如何するでござるか。」


「イカもタコも無ぇ俺が行くよ」


ババァルがその先に居るかも知れない。

その可能性があるなら

それだけで

止める理由なんざ無い。


『・・・・。』


今日は調子が良いのか悪いのか

久しぶりの出番だと言うのに

一言も発しない幻聴ババァルであった。



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