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ぞくデビ  作者: Tetra1031
241/524

第二百四十 話 メロめろ防衛戦

そいつらは慌てる様子も無く

のこのこと歩いてやって来た。


身の纏っている服はボロのまま

気にしている様子も無い

裸じゃアレなんで

死体から、はぎ取って着ました。

そんな感じだ。

袖がちゃんと通せていない奴もいた。


それもそのはずだ。

デビルアイで解析した奴らの正体は

下等悪魔レッサーデモーンだった。

見た目は人に偽装したが

服の作成は面倒だったので

そこら辺から調達した。

そんな所だろう。


「ナリ君、あいつら下等悪魔レッサーデモーンだ。」


「・・・どうします。倒して良いですか?」


俺は肯定した。

歩きながら奴らの会話を拾った。


内容は

待っていれば仲間が現れる。

探す手間が省けた。

だった。


アリア達を襲った連中

息も絶え絶え逃げたアリア達が

この街のどこかに潜んではいるが

探し回るのも面倒なので

外部からの接触を監視していたのだろう。


人っ子一人居ないゴーストタウンだ。

俺達の馬車はさぞ目立った事だろう。


相手は3名。

内2名は屋敷の外壁の崩れた箇所から侵入し

俺達に真っすぐ歩いて来ていた。


残り一名は外壁の外

まずい

馬車に向かっている。


俺がそう思った瞬間

馬車から飛び出して来る巨体

太ももの装甲が開いて炎を噴き出し

馬車の屋根に乗った。

ナイス判断だ。


戦闘開始ブラストオフ!!」


俺は全員に聞こえる様に声を張り上げた。


開始の号令で一斉に自分に一番近い敵に

襲い掛かる面々。

俺は自分の正面に残った相手にお願いした。


「ちょっと待っててね。コレだけ言わさせて」


「・・・ア?」


何か言っているが俺は聞く気が無い

ここまで来ても脳内センサーが鳴らない。

こいつには俺にダメージを与える事が

出来ないと言う事だ。

なので、俺以外に襲い掛からないか

コレだけ注意していれば良かった。


炎を吹き上げ

一直線に飛び込んでいくストレガ。

俺はそれを見ながら呟いた。


「ランダムスレートが開いている

・・・出力が不安定なんだ。」


はい、満足。

待たせたな。

そう思って正面の奴を見るが

そいつもストレガの戦闘を見ていた。

余裕だな。

なので二人して観戦した。


相撲の喉輪の様な状態で

ストレガは相手を押しながら

壁を破壊して庭まで突入してきた。


イイね。

そのまま

馬車から離してしまえ


そしてそのまま爆裂音が響き

相手は吹き飛ぶ。

服がボロボロになり一部は燃えて落ちた。

ダメージがあまり入っていない。

炸裂した際の光から

射出に使用した弾丸はアルミの散弾と思われた。



「この野郎!」


人に擬態する事をあっさり止めた

下等悪魔レッサーデモーンは本当の姿に変化すると

翼を展開して上昇した。


そうだね飛べるんだから

その方が有利だよね。

ただ相手が悪い。


ストレガは少ししゃがむと

ふとももの装甲が開き

炎を吹き上げロケット花火の様に

飛び出した。


ドンピシャで相手を捉える

今度は反対側の手で顔面を掴んだ。

先ほどとは異なる射出音だ。

左の小手が破裂し

内部の砲身が剥き出しになった。

砲身はいい加減買い替えろ状態の歯ブラシの様に

開いてめくれあがっていた。


ありゃ連発していない

一発目でアレって

俺、砲身の内径間違えたか

後で謝らんとな。


下等悪魔レッサーデモーンの方は頭部が爆発四散していた。


あれじゃ駄目だ。

こいつらには魔核がある。

胸部を徹底的に狙わないといけない。

以前、対悪魔用の戦闘を指導してあったと

思ったが忘れているのか

実戦で悪魔を相手する事自体無かったかもしれない。


心配は杞憂だった。

頭部破壊は相手の動きを一時的に封じる為だ。

事前に準備しておかない限り

悪魔も人と同様、頭部に知覚器官が集中しているのだ。

魔核からの再生も瞬時では無い。

動きを止めてからトドメを刺す気だったのだ。


胸部の装甲が開くと

華麗にストレガは鎧から脱出し

更に上空へと飛翔した。


中身が少女だった事に

俺の目の前の悪魔も驚いているようで

「おぉ?!」とか声を上げていた。


空中で停止すると余裕綽錫を構え

呪文を唱え始めるストレガ。

この呪文知っているぞ。


「ヒートアロー」


赤く細長い光弾が下等悪魔レッサーデモーンの胸部に

突き刺ささり、見る見る被弾場所から

下等悪魔レッサーデモーンの体は溶解していった。

魔核直撃でなくとも

成程あれなら無事では済まない。


まずは一勝だ。


「やるじゃないか」


俺の目の前の悪魔がそう呟いた。


「お仲間がやられたってのに随分と余裕だな」


俺はそう言ったが

これは皮肉だ。

悪魔は下に行けば行くほど品性も下がる。

下等悪魔レッサーデモーンともなれば

自分以外はどうでもイイ感じだろう。


「まぁ俺だけ居ればな。」


他の二人より

目の前のこいつは多少体躯が大きかった。

残り二人より強く

自分1人で俺達を葬れる自信がある事が窺えた。

まぁ下等悪魔レッサーデモーンの能力で

普通の人族を見ればそうなるか。

余裕ついでにナリ君戦も

一緒に観戦する事にした。


見て見れば

もう終盤だった。


ナリ君の雷防御を突破する攻撃を

持っていなかったのだろう。

完全なワンサイドゲームで

ナリ君は防御結界の中で

剣舞を繰り広げているだけで

下等悪魔レッサーデモーンがどこに居ようが

空中でも関係無しに雷が襲った。

破れかぶれで特攻しても

雷防御で止められ、そこを雷攻撃が

いくつも襲い掛かっていた。

金属ボディは既に帯磁し始め

砂鉄が取り付き始めていた。

度々魔核を襲った雷撃が魔核の機能を

低下させ体の金属粒子結合が崩壊を始めていた。

相手の下等悪魔レッサーデモーン

もう元の形を成していなかった。

やがて、ただの砂の山になって

再び動き出す事は無かった。


「ほう、人にしてはやるな。」


「同感だ。」


ここに来ても正面の下等悪魔レッサーデモーン

まだ余裕だった。

やる前に確認しておくか


「なぁ、この館に隠れている連中を

痛めつけたのはお前らなのか。」


「ん?隠れている連中の顔を確認していない」


そうか。


俺はアリアとラテラの外見と外傷を説明すると

正面の下等悪魔レッサーデモーンは笑い出した。


「うはは、あの娘まだ生きているのか

これは吉報だ。またあの極上な恐怖が味わえる!!

俺はツイている!!」


バジュン


激しい閃光と

そんな音がして

下等悪魔レッサーデモーンは気化した。

立っていた足元の地面から水蒸気がゆっくりと

煙と化した本体を追って登って行った。


また、やっちまった。

瞬間的に怒り沸騰した俺は

即、悪魔男爵バロンに無意識で変化し

悪魔光線を放ってしまった。

情報収集の為に一人は残しておくべきだった。

先の二人が倒したのなら

最後の俺は捕獲に動かなきゃだったのに

そんな思考を巡らす余裕も無かった。

気が付いたら相手は既に気体になってしまっていたのだ。


「あーあ。」


俺は痒い訳では無いのに

後頭部を掻きながら

取り合えず冒険者ゼータ姿に戻った。


拍手をしながらナリ君が近寄って来た。


「お見事です、マスター。

勝つのは当然だと思っていましたが

まさか一歩も動かないどころか

手足すら動かさないとは・・・。

しかし、これでは」


ヤバ

怒られる


「マスターの強さに迫る手掛かりをと

思い見ていましたが

差があり過ぎて参考になりません。」


見ていた。

その為の雷防御だったのか

自らも戦闘しながら俺の戦いも観察する

その為に防御を強化し

射程のある技だけ放って

俺を観戦していたという訳だ。


その気になれば

魔核を一刀両断で瞬殺も可能だっただろうに。


ゆっくりと地表に下りて来るストレガは

鎧の中に長時間居たせいで出来た

服のしわを気にして直しながらいった。


「向上心は立派ですが

お兄様を参考にしても無駄です。

人は太陽になれません。

全く異なるモノです。」


ストレガの言葉に口元を

ニヤリと釣り上げるナリ君。


「太陽にはなれずとも

太陽の様に生きる事が出来れば

ソレで良い。

目指す事から始まり

走り続ける限り

諦めない限り

この世で最も近い者には成れる。」


なんか難しい話になったが

情報収集用に残しておかなかった事を

責める流れにはなりそうに無い

今の内に次のフェイズに行ってしまおう。


「さて、中の連中の話を聞きに行くか」


ストレガとナリ君はマフアの事情に

大して興味も無いので

ここで第二波に備えると

居残りを申し出た。


中に戦力は必要無い

むしろ馬車にいるクフィールとリリアン

ストレガとナリ君にとっては

こちらの防衛を優先したいだろう。


俺は快諾すると一人で屋敷に戻った。



出展

ランダムスレートが開いている FSSでのソープのセリフ、生きてる内に最終回読めるのかなぁ

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