第二十四話 オワコン
毛皮はクロードが納品し
金銭に換金して俺達に渡してくれた。
宿泊はクロードの自宅だ。
悪いので断ったのだが
ジゼルさんの恩人という事で
是非にとなり
やっかいになる事にした。
金銭も浮くし
情報も欲しい。
家は直ぐ近くだった。
まぁ村の敷地そのものが狭いので
どこでも近くなんだが
「ゼータ君て、スゴイのよ」
ちょ奥さん
何言ってるんですか
「魔法が使えるのよ」
あ、そっちか
「ほぅ・・・。」
クロードはあまり驚いた様子は無い
まぁこいつはストレガを知ってるからな
珍しくは無いだろう。
「ゼータ・アモン君・・・だったか」
あ
やべ
こいつは冒険者ゼータを知ってるか
年齢も外見も違う今の俺を
どう見ているんだろう。
誤魔化すか
正直に言ってみるか
悩んでいる俺を気にせず
クロードは続けた。
「まぁ、細かくは追及しないが
その名前は使い続けるのは
オススメしないぜよ」
ん
意味が分からん。
「本名だよ。」
横からミカリンが言った。
俺は手で制する。
アルコはポカーンとしている。
ジゼルは微妙な表情だ。
後、ジゼルの両親も居るのだが
キッチンに引っ込んでいる
夕飯の準備をしてくれていて
この場にはいない。
クロードはうんうん分かってる分かってる
みたいな上からの態度で頷く
こっちの言う事を信じていないのは分かった。
「うんうん。そうか」
そこで閉じていた目を開くと語り出した。
「その年だ。憧れるのは分かるが・・・。」
クロードは俺の知りたがっている事を
ベラベラと話してくれた。
うん
こいつは昔からやりやすい
手の掛からない子だ。
クロードの話によると
ゼータ・アモンと言う冒険者は
悪魔の化身である人型アモンを
相打ちで葬った真の勇者だ。
一般に知られている勇者ガバガバが討った
というのは教会が歪めた事実で
これは冒険者の間では常識だそうだ。
これが原因で、その名を語る者が
後を絶たず、
都市ひとつに大体、何人かは
ゼータ・アモンが現れ
そして彼等のことごとくが
謎の雷
に撃たれて、その後
改名を余儀なくされていたそうだ。
なぜだか俺には雷の
犯人が分かってしまった。
「俺は実際本人に会ったこともあるぜよ」
なんか自慢気だ。
つか
今も目の前に居るんですけど
俺はテーブルの下に
メニューウィンドウを開くと
PTチャット
(ウィンドウが開けるのが俺だけなので
一歩的な指示になってしまっている。)
を、飛ばす
【この件は夜相談、話を変える】
メニューが見えるのは俺だけなので
目の前でやっても良いのだが
手が不審な動きになるので
変に警戒させてしまう。
「へーすごいや。流石G級ですね」
昇進してないがな。
「へっまあな」
喜んでいる。
このまま話しを変えてしまおう。
「冒険者登録なんですけど・・・。」
なんとしても
という程でも無いのだが
お手軽に身分が手に入り
旅も不自然にならない冒険者は
何かと便利だ。
なっておきたい
「あぁ、昔はな、いきなり
誰でもなれたんだが・・・。」
話はバリエア崩壊まで戻った。
経験の無い難民が
生活の為に冒険者になり
当然、事故が増えまくり
冒険者の死亡数がうなぎのぼりに
なった時期を迎え
放置出来なくなり
政府と教会が介入する事態にまでなった。
冒険者を希望する者
また才能のある者を
無駄に死なせない為の制度として
一つの学園が出来上がったそうだ。
「学園だ・・・と」
俺の呟きを聞いたミカリンは
片手で目の辺りを押え
天井を仰ぎ見た。
政府と教会の合同出資で
ベレンに新設された
全寮制の学園。
入学資格は試験に受かるだけ
卒業後は基本自由
冒険者になる者
政府に雇い上げられる者
教会に従事する者
能力によって様々だ。
費用は出世払いでも可能。
優秀な者には卒業後の進路を
いう通りにすれば教会や政府が
払う事もあるそうだ。
「アモン。学園モノは手を出したら
オワコンだよ」
小声でミカリンがそう言って来た。
「大丈夫。既に終わっている
つか、始まってすらいねぇ」




