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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二十三話 安西先生


矢がバンバン飛んできた。

慌てて毛皮から出る俺達。


アルコは脱いだ毛皮を

振り回して器用に矢を

払った。


勘違いと分かってもらい

村へと入れてもらったが

こっぴどく怒られた。


「洒落にならないよ。ジゼルちゃん」


「すいません」


ブンドンの村

村というよりは砦の様相を呈していた。

狭く、農地なども見受けられない。

食料は採取か他の村から入れるようだ。

木製ではあるが全て外壁に

囲まれていて、建物は冒険者協会と、

それに付随する施設が主だ。


前線基地と言いたくなる。


「それで、この子達は?」


ジゼルお姉さんを叱りつけた中年が

そう言った。

偉そうだと思ったが後で村長兼

冒険者協会ブンドン支部長だと知った。

偉いのか。


ジゼルお姉さんが事の経緯を

説明してくれた。

その頃には、住民

というか冒険者軍団が

物珍し気に俺達を囲んでいた。


「で、この子は魔法が使えるんですよ」


ジゼルお姉さんが、俺をそう紹介した

所で爆笑が沸き起こった。


まだ魔法使い=詐欺師の認識なのか


「ジゼルちゃん。バカ言っちゃいけねぇ」

「そうだよ。魔法なんて学校出の秀才しか使えないって」


俺は呪文を唱えると

一番爆笑しているドワーフのおっさんに

話しかけた。


「そこの、ドワーフのおじさん。もう一歩前へ」


笑いながら自分を指さすドワーフ。

俺は頷いてお前だよと伝える。


「ここかい?」


笑いながらも俺の言う通りにしてくれた。


「うん。はいデスラーホール」


「ほぉあああぁぁぁ・・・」


おっさんは落とし穴に落ちた。

深いぞ

この呪文もレベルが上がってるのか


俺は心配になって穴を覗き込んだ。

ドワーフのおっさんは3m位地下に

行ってしまった。

ケツを押えて悶えている。

大したダメージじゃないな。

俺は安心すると

同じ様に覗き込んでいるギャラリーに

注意を促した。


戻りまで後2秒だ。


「危ないから離れて。アルコ

おっさんをキャッチしろ」


ドン

音を立てて地面が元通りになる。

その勢いでドワーフのおっさんは

すんごい高く放り上げられた。


「のんぉおおおああ」


「はい。マスター」


体積では倍以上にもなる

ドワーフをいとも簡単に受け止めるアルコ。


この世界のドワーフはデカい

小人がでかくなった感じだ。

手足顔などの比率はそのまま倍率だけ

上げた様な恰好だ。


笑う者は居なくなった。

魔法使いと怪力大女ともう一人だ。

スパイクリカオン討伐も信じてくれた様だ。


さて

冒険者協会があるなら都合が良い

毛皮の換金ついでに冒険者登録してしまおう

身分と金銭

今の俺達に無いモノだ。


一番大きい建物が協会だ。

ベレンと違い

酒場と宿泊は別の建物で

それぞれ皆、木造で平屋だ。


「申し訳ありませんが登録は出来ません」


「はぁ?何言ってんだ」


受付嬢ににべもなく断られた。

ベレンまで行かないとダメなのか。


「納品も受け付けられません」


「なん・・・だと?!」


俺はベレンを例に挙げ

粘ったが、取りつく島も無かった。

それどころか

この子は何を言っているんだ的な

不審な顔付きだ。


「坊主。そりゃあ昔の制度だぜよ」


粘って交渉する俺の後ろから声がした。

声の主が入り口から入って来ると

周囲の冒険者から感嘆の声が漏れる。

振り返ると、一人の剣士が近づいて来た。

その男の首からペンダント状に加工された

冒険者のプレートは金色に輝いていた。


クロードだ。


「あなた。おかえりなさい」


クロードに気が付くと

俺と一緒にカウンター付近にいた

ジゼルお姉さんがそう言った。


「おぅただいま。ジゼル」


え?

クロード結婚したの?

おめでとうございます。

成長したな

俺も嬉しいよ。

つか

ジゼルお姉さん人妻か!!

危ねぇ!!!!

おっぱい揉まなくて良かった。


いけない

人妻はいけない

いけません


クロードは俺の直ぐ後ろまで来た。

俺は振り返って良く観察した。


前回より老けてすっかり中年だ。

顎髭を生やした様で

なかなか似合っていた。

良いマイナーチェンジだな。


そして俺はプレートの数字を見た。


・・・・3。


「まるで・・・成長していない」



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