表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
229/524

第二百二十八話 再戦1型

「師匠・・・ステキっす。」


ラテラに変化して街をうろつき出した。

危ないからついて来るなと言ったのに

クフィールは変な笑顔で

よだれを拭きながらついて来た。


ショタと言う奴か


「クフィ!お兄様にあまりくっつかないで」


ストレガも窘めるが聞く様子が無い

何故か腰を振りながらルンルンだ。

ハッキリ言って


気持ち悪い。


「それにしても勇者活動って何したらイイんだ」


自分で言い出したものの

どうしていいか全く分からん。

俺の問いに答えられる者もおらず

皆、首を捻るばかりだった。


ラテラに良く聞いておけばよかったと後悔した。

つか

俺は本物を知っているじゃないか

俺はガバガバの事を思い出すが

行動はほぼ別だったし有事でもあった。


普段の姿など知らない。


勇者って平和な時は何してんの?


ラテラの周知活動も短期間だった為か

誰も俺に反応する事も無く

ただの散歩になってしまった。


「・・・師匠、なんか変っすよ」


とある所でクフィールが足を止めそう言った。


「ほう、どんな風にだ」


丁度

ここはラテラが襲われた現場だった。


クフィール曰く

この辺が不自然に感じると

手を頭の上でグルグル回しながら

説明するが

本人も上手く言葉に出来ない様子だ。


俺はラテラ襲撃の事件を説明した。


「では、クフィールが感じている

違和感というのは1型が出入りした空間だと

言う事でしょうか」


ストレガがそう推測した。


「ストレガは何か感じないか」


開放されたとはいえ

時空系を何一つ使えない俺には

さっぱりだ。

まだストレガの方が望みがあるというモノだ。


「いえ、残念ですが私にも・・・。」


多少、使いこなすストレガでも

何も感じないとの事だ。


「クフィール。何か感じたら

躊躇せず直ぐ言ってくれ。」


了解するクフィール。

もしかしたらクフィールは感知能力で

特化した時空系なのかも知れない

そうなれば形勢をひっくり返せる可能性が出て来た。


その日は他に収穫も無く

宿に戻る事になった。


そんな感じで毎日、遊びながら街をうろつき

観光にも飽きて来た頃

それは起こった。


「ナリさん!!後ろ」


夕方、人通りもまばらな裏通りで

不意にクフィールは叫んだ。

咄嗟に展開した全方位雷防御は

カウンターで決まった。


空間に穴

そこから身を乗り出した黒い人型は

予想外の衝撃に身を守る事叶わず

腕からボディに紫電が走る。


「おごわぁ。」


筋肉で動くモノなら

引きつったり

痙攣したりするモノだが

1型の反応は違った。

歯車に何か挟まった機械の様に

動作が急停止した。

その反動は1型のバランスを崩し

空間の穴から受け身も取らず落下した。


「悲鳴は上げるんだな。」


俺はそこが気なり、呟いた。


クフィールの声に反応し

華麗にターンをして1型に相対しながら

バックステップで距離を取るナリ君。


「マスター!!」


「いいよ。中!!」


1型と遭遇するに当たって

俺達は幾つか準備をしていた。


まず俺はあんまり有効な手段が無い。

壁で閉じ込めても空間を自由に移動する相手を

閉じ込める事にはならない。

こちらの視界が減る分

むしろ壁は唱えない方がイイ


スパイクも地上から生える分

地に足を付けていない1型には

効果は期待出来ない。


なので「指示」だ。


ストレガの射出は有効だが

街中では他の被害が予想される。

それにストレガには攻撃よりも

1型がどうやってこちらを見ているのか

それを解く手掛かりを見つける為にも

例の姿を隠す魔法を使用してもらう事になっていた。

俺達がコテンパンにやられた際の

最悪の場合の保険にもなる。


なので「潜伏」だ。


クフィールも一緒に保護してもらう

打合せ通り、クフィールは素早く

ストレガの元に走った。

ストレガは呪文を唱え

クフィールと共に姿も気配も書き消えた。


ほぼ光速で飛来し不可避の攻撃。

生物、非生物、更には非実体にまで

効果のある「雷」ナリ君は呪文では無く

スキルで発動が可能だ。


なので「攻撃」だ。


「御意!!」


ナリ君は宝剣を振りかざし

起き上がろうとしている1型に

雷撃を飛ばす。


攻撃は大中小の3種に分けた。

大=その他の被害を無考慮のヤバい時用

中=外れても多少の被害で済み程々の殺傷力

小=ダメージは期待出来ないが牽制と周囲の安全を考慮


ナリ君は俺の指示通り

中の攻撃を・・・・って

アレで中なのか?!


視界が一瞬ホワイトアウトする発光

耳をつんざとどろき

振りかぶった軌跡そのままの幅で

さながら竜が食い掛かるかのように

雷は1型を襲った。


俺は思考を加速させ

ストレガの居るであろう地点と

爆発地点の中間まで一足飛びで

身を挺すると悪魔光線で飛来する破片を

片っ端から迎撃した。


「馬鹿野郎!中だって言っただろう」


思わず怒鳴る俺だが

ナリ君は自慢気に答えた。


「ふっ・・・今ので中威力ですよ。マスター」


意味が伝わっていなかった。

何でもそうだが

事前に練習しておくべきだった。

何が今ので中威力だ。

今のはメラゾーマでは無い

大魔王バーンのメラじゃないんだから

何自慢してんだ。

ボーシス呼びつけて

後でお仕置きだ。


それは罰ではない・・・・褒美だ。


などと思っていると

何も無い場所からクフィールの叫びが聞こえた。


「師匠!!う」


俺の時は「志村うしろ」と言えと打合せしておいたのだが

流石にそんな余裕はないか

クフールは戦闘に慣れていない

それなのに指示を飛ばせるだけ大したモンだ。


俺はクフィールの「う」で既に悪魔男爵バロンに変化した。

俺の場合は攻撃で無く、襲われてからの反撃に限定した。

小さな子供が4mにも及ぶ巨人に

一瞬で変化するのだ。

これなら狙いもクソもあるまい


俺はクロールをする様に腕を

腰の辺りから背後をかく


手ごたえ有り


そのまま握力全開で掴む

何だ?

やっぱり生き物では無い

皮膚、筋肉、骨など無い

何か粘土かのような

単一の素材で構成されている感触だ。


千切らない程度に加減してホルードすると

高校時代の体育の授業を思い出しながら

背負い投げ(力任せ)で

正面の地面に叩きつけた。


爆裂の如く

石畳は砕け

ショットガンの弾の様に弾けた。

幾つも俺の体に命中し更に細かい破片になった。


大きい破片がナリ君の頭に命中するのが見えた。

・・・後で謝ろう。

出展

今のはメラゾーマではない。 ダイの大冒険でのセリフ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ