第二百二十七話 バイスの報告
肛門「何者だ!」
うんこ「おならです」
肛門「よし、通れ!」
バピビッ!
「うわあああああああああっ!」
エマジェンシーモードで急速覚醒して目覚める俺。
そーっとお尻の辺りの生地を引っ張って地肌からの
密着を解く。
お尻に神経を集中し触覚をフルで稼働させるが
異物は無さそうだ。
手を伸ばせばハッキリするのだろうが
怖い。
体も固いので首もそんなに回らないし
どうしようと考えあぐねていて
思いつく
そうだ俺は悪魔人間じゃないか
すかさず半魔化してデビルアイで透視した。
服にもボディにも付着しているダークマターは
確認出来なかった。
ダークマターなんて無いんだよ。
ほっして人化する。
最終確認の為にそーっと
お尻に手を伸ばすが
異常は無かった。
おならだったのだ。
「焦らせんなよ。」
しかし、あれだね。
普段は睡眠から覚醒状態になるのに
ある程度の時間の経過を必要とするのに
こういう時は一発で覚醒するのね。
ナリ君がさぞかし驚いたろうな。
そう思って部屋を見回すが
ナリ君のベッドは既に空だった。
迷惑を掛けなかった事と
恥を晒さずに済んだ
二重に安堵した俺は
部屋の豪華な柱時計を目にし
時間に驚く
もう昼間近だ。
深夜に部屋に戻って来て人化で睡眠だ。
誰かに頼まず自然覚醒だと
この時間になるのも仕方が無いだろう。
「朝飯、食い損ねたか」
俺はベッドから下りると
身支度をして部屋を出た。
向かいの女子部屋をノックするが反応は無い。
仕方が無いので階下に下りると
一階のロビーの一角に皆は居た。
そこのテーブルと椅子を陣取っていた。
バイスの姿も見て取れた。
「お兄様。」
階段を下りる俺をいち早く発見した
ストレガが皆にも聞こえる様に声にした。
ストレガの視線に釣られ皆俺をみた。
「おはよう諸君。」
挨拶をして合流した。
お誕生日席の位置にバイスがいて
その近くが空いていた。
俺用って事か
俺は素直にそこへ腰掛け
何故起こしてくれなかったのかと
ナリ君を責めた。
「うるさい放っておけとマスターが・・・。」
「記憶が無いが、そうだったのか
どうも寝ている俺は乱暴でいけないな。」
皆の視線が冷めている。
どうやら俺は
寝てる寝てない関係無く乱暴と
思われている様だ。
この誤解はゆっくり解いて行こう。
「で、バイス君。教会は何だって」
俺はそう促し本題に入った。
バイスは慎重に言葉を選ぶように
話し出した。
恐らく通信の秘術は口外無用なのだろう。
まぁ秘術って言っているぐらいだからな。
予め教会には様々な状況に合わせた
回答が準備されていたかのように
話し出したのだ。
「大変申し訳ないのですが・・・。」
恐縮してバイスはオコルデとブットバスに言った。
ヒタイング王家についてバイスはこれ以上
干渉出来ないそうだ。
直ちにベレンから9大司教のいずれかが
赴き正式にお祝いその他で謁見を願うとの申し出だ。
これは当然と言えば当然か
仮にも王家の人間だ。
学校出たての若造では失礼に当たるだろう。
9大司教が出て来るべき案件だ。
「うむ、了承した。」
何が申し訳ないのか分からない様子の
ブットバスはそう返事をしたが
申し訳無さそうな理由はこれからだった。
「それで・・・その、厳しく言いつかったのが」
間違っても冒険に同行させるような真似はするな。
もし、して見ろ
その時はお前の首一つでは納まらない事態になるぞ。
と親父のモノ真似なのだろう
鼻から喋るようにバイスは言った。
「手遅れだ。」
腕を組んだままナリ君は言い捨てた。
「いや大丈夫だ。今は冒険中じゃない
王の市内視察に同行した観光案内中だ。」
普通の馬車なら昨夜ベレンを出たとしても
一週間程度は掛かる道のりだ。
ヒタイング市内の捜査には
十分過ぎる時間だ。
「リディ。私はその後も一緒に行きたい」
「陛下、公務を全うして下さい」
食って掛かるオコルデに
被せる様にブットバスは釘を刺した。
「ブスー。」
「オコルデ。」
ヒタイング市内の捜査を終えた後
一度城に戻りオコルデ達を
送り届けた後クリシアに向かう事になる。
これは万が一王家が関わっていたとなると
厄介な案件だからヒタイングの為に
城で待っている様に
そう俺はオコルデを説得した。
「絶対、城に来てくださいね。」
渋々だが納得してくれた様子のオコルデ。
どうせヒタイング市内だけでも
一週間も持ちはしないだろうに
とでも言いたげなブットバスの視線に
俺は笑みが零れた。
昨日一日でぶったおれたのだ。
「そういうワケで良かったなバイス
ギロチンに掛けられずに済みそうだ。」
そう言ってバイスに振り返るが
バイスの表情はまだ晴れない。
「ええ、その件はそれで問題無いでしょう。」
まだ、何かあるのか。
「他にも憂いがあるのか。」
腕を組んだまま顔だけバイスに向け
ナリ君はそう尋ねた。
返事の代わりにバイスは
その場で頭を下げて話し出した。
「この先、私は協力出来ません。」
教会の指示でバイスはヒタイングの
教会に待機、これからこちらに来る
9大司教を待ち、それまでの行動は
禁止されてしまったそうだ。
「申し訳ありません。」
悔しそうにそう言うバイス。
いつも余裕で自信たっぷりな彼の
こんな姿はクフィールを不安にさせたのだろう。
誰に言うワケでも無くクフィールは
バイスの名を呟いていた。
「謝る事では無い、己が義を果たせ。」
冷たく言い放つナリ君だが
これはこれでナリ君なりに
精一杯気を使って言っているのだ。
何て冷たい。
そんな視線がナリ君を襲う気がした。
ナリ君からタゲを外すには
もっとヒドイ奴が居ればイイ。
俺はすかさず言った。
「どうせ大して役に立ってないしOKOK」
場が凍り付いた。
信じられないモノを見るような目で
皆、俺を見た。
ナリ君までもが
出展
うんこ「おならです」 某掲示板での有名コピペ




