表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
227/524

第二百二十六話 メロめろは

夜更けになってもバイスは宿に現れなかった。

どうやら教会でお泊りらしい

通信の秘術に必須の水晶玉を

持ち歩いていない所から察すると

各教会に着いたところで

パウルと連絡を取っているのではないかと

勝手に推測した。


俺はナリ君が寝静まったのを確認してから

屋上に上がり冒険者ゼーターに変化すると

夜の街へと繰り出した。


教会より西側はクリシアマフィアの

勢力圏で「メロめろ」もそっち側だ。


いきなり「メロめろ」には向かわず

手近な酒場に入ると適当に注文し

聴覚その他の感度を上げ

噂話の収集ついでに味覚向上の訓練をした。


ごく普通の酒場だったようで

聞こえて来る話と言えば

どこそこの娼婦館に入った新人がどうとか

ドックレースでの儲けがどうとか

おおよそ冒険者関係の話は無かった。


俺は聞きながらMAPを開いた。

ダークの居場所を確認しようと思ったのだ。


「居ないとか。」


設定してある縮尺ではダークは居なかった

倍率をどんどん上げていくが

一向に表れない。


「死んだとかじゃないだろうな。」


思わずステータスを見てしまった。

HPが減った様子も無く

状態も問題無い

取り合えずホッとしながら

倍率を上げて行った。


海岸線が表示され地形が分かるレベルまで

拡大するとようやく表示された。


「どこに居るんだ。あいつは」


ダークの居場所はヒタイングですら無かった。

エラシア大陸を東西に分ける山脈

その北側の終わりは半島となって

はみ出したクリシアまで連なっていた。


ダークが居たのはそのふもとの辺りだ。

完全にクリシア国の領内だった。


「なんで?」


俺は最後にダークに何と命令したのかを

思い出そうとした。

しばらく頑張って何とか思い出した。


1型の捜索と「メロめろ」の連中の監視だ。


そのいずれかのせいで

ダークは今、クリシアにいるのだ。


俺は店を出ると「メロめろ」に向かった。

工作員エージェントのスキルを使用しているにも関わらず

客引きに捕まる捕まる。

この髪の色は目立つな・・・。


途中適当な麦わら帽子で髪を隠すが

あまり変わらなかった。

もう面倒なので、大気操作も併用した

瞬間加速で話しかけられる度に

客引きを躱して行った。


ようやく「メロめろ」の前まで

・・・・来れなかった。


到着した建物は前回と同じだが

看板には違う店の名前。


思わずMAPを開いて確認した。

場所は間違いない。

俺は間違えてなどいなかった。


「メロめろ」が無くなっていたのだ。


「どういう事だ。」


俺は取り合えず店の中に入った。

扉も変わっていない

西部劇風の扉だ。


店の中の様子も変化は見られないが

従業員の様子が前回と異なった。

誰一人見た顔が無い。

当然、カウンターで一番偉そうにしている人も

あのマスターとは別人だった。


俺は警戒し

感知系をフルで稼働させて

店内を見てみるが

普通の酒場だった。


取り合えず情報を集めて見るか。

俺は正面のカウンター

一番偉そうなバーテンダーの前に陣取り

注文した。


「なぁ、ここって前からこうだっけ?」


バーテンダーは俺を不審に思う事無く

普通に説明してくれた。


格安で売りに出されていたそうだ。

備品はもちろん食材まで揃ってだ。

金と人だけあれば直ぐに店が始められたそうだ。


三日前程に看板だけ付けて

新装開店、オーナーは夢が叶ったと

大喜びだそうだ。


以前の持ち主に関して聞いてみたが

なぜ店を急いで畳んだのか

なぜ格安で手放したのか

その辺りの情報は全く分からないそうだ。


「不動産屋が言うには買う側に

危ない事は一切無いって保証付きでしたからねぇ」


不審に思わなかったのかどうかも

聞いて見たが、ヒタイング

特にこの付近ではそう珍しい事でも無いそうだ。


大方おおかたマフィア辺りとモメちゃって逃げたんじゃないの」


そのマフィアの店だったんだが

まぁそれは言うまい

念願の一国一城を手に入れて幸せの絶頂だ。


ここはもう関係無い場所になった。


俺は礼を言って店を出た。


この事からダークは恐らく

「メロめろ」の連中を追ってクリシアに

入った事が推測された。


俺はその日はそこで捜査を止め

宿に戻って人化して睡眠する事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ