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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百二十二話 かわいい子には

「皆様、よろしくお願いいたします。」


上品に頭を下げる・・・

というよりは

微妙な屈伸をするオコルデ。


「何がそう言うワケっすか!

全然ワケ分かんないっすよ!!」


「パパーっ助けてー僕の綺麗な経歴がー!!」


人族はうるせぇなぁ

クフィールとバイスはパニクっていた。


淡々と飲み物を配膳していくストレガ

この辺は流石だ。


「お口に合うかどうか・・・。」


「ありがとうございます。頂きますわ」


うん

この二人は綺麗で映えるな。

人外な美がある。


「マスター。我も反対です。」


ナリ君が珍しく

俺の行動に反対意見だ。


「我々の旅は観光ではありません。

危険を伴います。王族を連れて歩くのは

どうかと思いますよ。」


「ナリ君。君の身分を言って見ろ。」


「ちょ、まっ・・・いや我は

戦闘要員としてもその・・・。」


ほーっ

お前さんのメイドも

王族っちゃあ王族なんだぞ。


「まぁこれがゆっくり走った理由のひとつだ。」


床下収納は換気もしていなく

座布団も無い

早目に休憩して出してあげないと

生命の危険も有り得るのだ。


もう一つの理由はもうじき分かるだろう。


会談の途中でオコルデに内緒で誘い出された。

その時の彼女の願いが

城を出たい、俺の旅について行きたいとの事だ。


俺は皆にそう説明した。


「アモンさん戻りましょう。

今ならまだ大事にならずに済みます。」


バイスくん必死だ。


「戻りたくありません・・・。」


沈痛な面持ちでオコルデは言った。

皆、意外だったようで

軽く驚いてオコルデに注目した。


「陛下、何故ですか。」


バイスには理由が思い浮かばない様子だ。


「・・・・無理です。その・・・。」


皆、オコルデの続く言葉を待った。


「あのようなお化け魚の子を身ごもるなぞ

・・・・。嫌です!!」


ダガ

かわいそす


つうか、ついこの間まで色と大きさが違うだけで

自分もその化け魚に変身してたじゃないですか。


・・・醜いと嘆いていたな

嫌でも思い出すのか。


このオコルデの言葉に

ストレガ、クフィール、リリアンの女子組は

椅子を持ってオコルデ側に移動し

左右をガッチリガードする恰好になった。


「分かります。」

「確かにキツいっすよ。」

「本人の意志無き婚礼。王族には当然ですが

これではあまりもオコルデ様が不憫です。」


女子って魚キライなのかな。

俺は好きなんだよな

魚ってどいつもこいつも

バカっぽい顔してて和むわ。


「それは分かります。しかし

誘拐などと言う手段は容認できない。

今頃、城はどのような騒ぎになっている事か

責任者がどんな処罰を受けても知らないと

言うおつもりか。」


正論来た。

女子軍団もこの意見には

動揺が見えた。


「あー待て待て」


堪らず俺は割って入った。

俺達が争うのは気が早い

無駄なのだ。


「ゆっくり走って、早目の休憩

その意味がもう一つあってだな。」


予想ならそろそろなのだが


「マスター。その意味とは」


ナリ君が促すと同時に

外で馬の駆ける蹄の音が聞こえて来た。


「来たようだ・・・・オコルデ」


「・・・・はい。」


「説得して見せろ。それが出来たら

連れて行ってやる。」


俺は椅子から立ち上がり

乗降口の扉を開けて外に出た。


軍馬にまたがったブットバスが

必死の形相で馬を操って

こちらに真っすぐ向かって来ていた。


「リディ殿ーーー!!」


「おう、オコルデならここにいる。まぁ入れよ」


俺は馬をなだめて様子を見る。

大分、飛ばしたようだな

訓練された軍馬なのにバテていた。


俺のセリフにブットバスは驚く様子を見せない。

予想通りだった訳だ。


かたじけない・・・。」


普通に馬を下りた。

ブットバスは賢く冷静な人だ。

ここで激昂されると余計な手間が増えて

面倒だったが

要らない心配だった。

俺達はまるで最初から

打ち合わせていたかのように

淡々と馬を繋ぎ水を飲ませるバケツを準備し

慌てる事無くキャリアに入って行った。


「陛下!!・・・・は?」


入るなり言葉を投げかけたブットバスだが

オコルデの姿が見えない。


「ん?」


見渡してみると

皆、微妙な苦笑いだ。


床下収納の扉の隙間から

オコルデのスカートの端がはみ出ていた。


ええい往生際の悪い。


俺は床下収納の扉を開けて

オコルデを引っ張り出した。


「うう・・・ブス~。」


「オコルデ!!」


「ブスゥ~。」


「オコルデ!!」


最近、俺の中で

オコルデと言う言葉がすっかり

ゲシュタルト崩壊を起こして

人名として違和感なく定着して来た。

なので

このやりとりでも噴き出さなくなった。


さて

オコルデには自分の気持ちを

自分で口にして伝えて欲しかったのだが

話は一方的なブットバスからの説教となり

オコルデはシュンとしたままだった。


ブットバスの説教はどれも正論で

先ほどのバイスの意見通り

今、城は大騒ぎになり

世話役の今日担当は泣きまくり

その上司は卒倒したそうだ。


「・・・お兄様。」

「師匠。」

「救世主さま。」


ワンサイドゲームのまま

ブットバスにこのまま首根っこを

捕まれ連行される様相を呈して来た。

女子軍団はオコルデに肩入れしている様子だ。


はぁー仕方が無い

自分でやって欲しかったが

それは酷というモノか

交渉などした事が無いのであろう


自分の気持ちを言葉にして伝える。


一見、何でも無い様で

実は結構難しい事なのかもしれない。


特に禁断の城とやらに

産まれた時から閉じ込められ

周囲に言われるがまま

生きて来たであろう陛下には

やれと言われても

どうしていいか

分からないのも道理だ。


覚えるには

まず目の前で実演を見る事からだろう

俺は介入する事にした。


「さて今度は俺の要件だ。

一連の謝礼を要求する。」


「ぬっ・・・申されよ。」


あからさまに警戒するブットバス。


「オコルデをこのまま俺達の旅に随行させる。」


「如何に救世主殿の要求といえど飲めるハズが無い。」


即答だ。

まぁそれはそうだ。


「権力を失ったとはいえ陛下だ。

その陛下が国民がどんな暮らしをしているのか

全く見た事も無いままでイイと思うか?」


「それは理解する。しかし今でなくとも

キチンと準備をし我々が護衛し」


「そんな偉そうに現れて

国民の素の姿が見られるとでも思うか?

畏まり取り繕うだろう」


「・・・しかし危険には変えられない」


「なぁブットバス。なぜ陛下は

お前達にではなく

俺に頼んだのだと思う?」


少し悔しそうにブットバスは答えた。


「信頼を頂けては、いないと言いたいのか」


「違う、すごく単純な答えだ。

お前達は大事に閉じ込めて来た者達で

俺達は乱暴に変化させた者達だからだ。

変わりたいんだよオコルデは

歩きたいんだよ、やっとまともに生えた足で」


「・・・。」


「会談の最中こっそり呼び出されて

オコルデから、この事をお願いされた。

その時は頷いたが後でブットバスに

話して阻止してもらうつもりだった。

俺も良く無いと思う

こんな家出や誘拐みたいな真似はな

でも昨日みんなで海で遊んだ。

その時のオコルデを見て

気が変わった。」


皆、昨日のバカンスを思い出している様子だ。

楽しかったよな。


「なぁブットバス。陛下のあの笑顔

お前は今まで見た事あったのか。」


「・・・無い。」


「陛下は子供だ。色んな経験が足りない

今まで出来なかった分、これから

いっぱいしなきゃダメだ。

良い大人って子供の時に遊びまくっているモンだぜ。

そう思ったんでな

この家出ごっこに付き合う事にしたんだ。

実際、陛下の勘は大したモンだと思うよ。

俺は強いぞ。

その俺が守るんだから世界で一番安全だぜ。

俺が去ってしまえば、もうそのチャンスは無いんだ。」


「それは理解するが、どんな理由であれ

無断で飛び出されては」


「だからブットバスが来るのを

ここで待っていたんだ。

ここなら直ぐ城に戻る事も可能だ。」


ここでクフィールが割って入って来た。


「それでノロノロ走っていたんすね。」


バイスは疑問を言った。


「何故、一度城を出たのですか

城でこの話合いをすれば騒ぎには

ならなかったのでは」


その疑問は最もだ。

面白そうだったからなんだが

これは言うと怒られるな。

適当に誤魔化さなければ


「お試しだ。陛下は今まで

城の外に一歩も出た事が無い

出た瞬間に強烈な不安に襲われてしまえば

戻るしかない。

まず出られるか、だ。

それが駄目なら話し合い自体無駄になるだろ。

後、陛下の覚悟の程も見て取れるしな。

気まぐれなのか本気なのか

で結果は本気だったし出られたというワケだ。

そして話し合いだ。

逆かもしれないがこの順番しか無いんだ。」


「ぬぅ、乱暴ではあるが最適でしょう。」


ナリ君がアシストしてくれた。


「・・・ブス。」


やり込められ、すっかりしょげていたオコルデ

その瞳に力が戻って来ていた。


「一言でいい。自分の口で言うんだオコルデ」


俺はオコルデにそう言った。

自分の事なんだからな。


「私・・・外の世界が見たい。」


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