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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百十八話 味噌ってどうやって思いついたんだ

鍋は金属操作で作成可能。

水もウォータシュートで問題無い

薪替わりになる木材もストレージにある。


「しまったー味噌が無い。」


忘れていたワケでは無いのだが

味噌の作成には手間取っていて

未だ完成の兆しも無いのだ。

元の世界の豆と成分が違うのか

発酵に携わる細菌が違うのか

色々試したのだが

何度やっても


大量の腐った豆が出来上がる。


だけで

その殺人的悪臭にミカリンもアルコも

本気で嫌がり出し

味噌作りは中断していたのだ。


「うーん、参ったなぁ」


巨大な煮干しを前に

俺は腕を組んで考えた。

駄目だ。

煮干しの使い道なんて

味噌汁のダシ以外思いつかない。


「・・・このまま食えるのか?」


煮干しは

そのままバリバリ食う事も可能で

カルシウムたっぷりなどと

もてはやしたりするが

実際に食っている人は聞いたことが無い。


俺はデビルアイを起動し

巨大煮干しの走査を開始した。


「何か・・・変だな。」


走査の倍率を上げていき

細胞レベルまで来て俺は驚愕した。


「死んでいないだと?!」


クマムシ

元の世界で地上最強のサバイバーと言われている生物だ。

こいつは凄い耐久力を持っている。

絶対零度の低温でも沸騰したお湯でも死なない。

真空でも通常の数万倍の気圧でも死なない。

人が致死する放射線の数千倍浴びても死なない。

南極だろうがゴビ砂漠だろうが宇宙空間だろうが

こいつは生き延びるのだ。


その秘密は乾眠にある。

こいつは周囲が乾燥し出すと

体重の8割を占める水分を数%まで減らし

仮死状態で理論上永久に耐える。

雨などで湿気が回復すると

周囲の水分を吸い込んで

乾眠のセルモードから通常モードに復活し

何事も無かったかのように活動を再開するのだ。


ちなみにセルモード変形前に

前出の過酷な環境に放り込むと

あっさり死ぬらしい

究極の耐久モードに変形前は普通の生き物の耐久力だ。


この巨大煮干しはある程度の細胞グループで

この乾眠を行っていた。


乾いているだけで

死んでいないのだ。


「これはアレか。」


散々探し回った結果

すぐ近くにあった青い鳥パターンなのか

マーマンのオスを長年捜索してきたが

地下にいました。


蘇生するか?


俺は考えた。


そもそもコイツはいつから何で

ココでミイラ化したのか


もしかしたらとんでもなく強い罪人で

やっとの事で封印とかだったら

蘇生はしない方がイイだろう


「うーん、それは無いかな。」


そんなパターンなら

何か封印っぽく囲ったり

石に何か注意書きを刻んだりするだろう。

こいつは何か見た感じ


穴に落ちて、戻れなく

そのまま乾燥したっぽいぞ。


どのみち

こいつから話を聞いて見ないと分からん。

コイツのレベルが分からないが

今の俺なら負けはしないだろう

話が通じない様な悪党だったら

焼き魚にしてしまえばイイだけだ。


面白そ・・・情報収集の為に

ここは蘇生に取り組んでみよう。


俺はウォーターシュートの準備に入って

直前で気が付いた。


「こいつ海水魚だよな。」


川魚を海に入れる。

その逆で海の魚を真水に入れると


どっちも死ぬのだ。


浸透圧

海水の塩分は塩分を含まない真水に流れていってしまう

この現象が魚の体内で起きるのだ。


川魚の体内には塩が流れ込み

海魚の場合は外の真水に逃げ出し

どちらの場合も魚の体内塩分濃度が

許容度を超えて死に至る。


危ないあぶない。

水じゃ駄目だ。

海水で戻さないといけない。


当然そんな魔法は無い。


海水をここに引き込む方法を

考えたが、直ぐに

こいつを抱えて脱出し

海に放り投げた方が速い事に気が付いた。


「横穴掘るか」


脱出口となる横穴の作成にとりかかろう


穴掘り自体はベレンでもドーマでも

散々掘ったのだが

相手は圧縮が可能な土だった。

岩では粉砕という結果になるだろう。

別の手段を考えないといけない。


悪魔光線で真横の岩を吹き飛ばそうかと

思ったが、これだと最悪

崖が崩壊し頭上の城まで崩落するだろう。

何か最近ツイていないので

そうなりそうな予感がビンビンする。

ナリ君が城に居るのも悪条件だ。


絶対、崩落ENDだ。

文字通りオチだ。


となると・・・

前フリがあったじゃないか


ドリルだぁ!!


悪魔男爵バロンになると適当な剣を

二本生成し両手に構え

重力操作を回転8、直進2で

真横の岩を掘り進んでいく

イイ感じに削れる様に

構えた剣の各角度を調整しながら掘った。


意外に速かったのか

妥当なのか比べるモノが無い。

程なくして穴は貫通した。


運び出す為に穴に戻ると

なんとナリ君が巨大煮干しの前で

呆然としていた。


俺は咄嗟にチンチクリンに変化した。

冒険者ゼータに戻すと全裸状態なので

こっちの方がイイだろう。


頭上

俺の開けた穴からロープが伸びていた。


見回りが気が付いたのか

面会に来たのか

とにかく牢の異変に気が付き

安全の為に一番戦力の高い

ナリ君が下りる事になったのかな。


歩いてい来る者が俺だと

気が付くとナリ君は話し出した。


「マスター。これは一体・・・・。」


俺は今までの事情とこれから行う蘇生に

ついて説明した。

手伝うと申し出てくれたナリ君。

俺は快諾するとストレージから

鉄パイプを取り出すと二人掛かりで

簡易的な檻をを作り

煮干しを収納そのまま海まで運搬した。


車輪も付いた檻だったのだが

砂浜に来ると潜ってしまった。

途中で増設するハメになり少し手間取ったが

何とか煮干しを波打ち際まで運び

煮干しの腰程度の深さで止め

大き目の杭を深く打って檻を固定した。

波に流されたり

復活即泳いで逃亡をこれで阻止できるだろう。


後は待つだけだ。


檻の上で腰掛けて待つ事にした。

ナリ君は肩で息をしていた。

力仕事は苦手の様だ。

細いもんな。


俺は重力操作のレベルが上がって

自身だけでなく接触しているモノの重力まで

操作出来るようになっていたので

かなりズルイ、俺が触れている物に関しては

発泡スチロールのように軽くなるが

手渡した瞬間に本来の重さが相手を襲うのだ。


俺はブリッペの水操作で

自分とナリ君の衣装に含まれた水分を

回収し服を強制的に乾かせた。


「そんな事も出来るのですね。」


「ああ、ん?何だこりゃ」


乾いた部分が白く煤けていた。

正体は海水の塩だった。

純粋に水だけを抽出するので

塩は衣装に付着したままになったのだ。


「後でちゃんと洗うか・・・で

今更だがどうして来たんだ?」


忘れていたと言う感じで

ナリ君は来訪に至る経緯を説明してくれた。


大混乱のまま宴は中断。

ストレガ部屋も変化無し

そして

今日の朝になって

あの全裸イケメンが俺の変身であることに

気が付いたクフィールが

泣き止んで落ち着きを取り戻したブットバスに

掛け合ってくれたそうだ。


そういえば残りのメンツの前では

冒険者ゼータになった事は無かったっけか

にしてもクフィールもすぐ気が付けよ。


「それで来てみれば牢の床には大穴

マスターの腰巻だけが残っているという状態。

牢で何が起きたのですか」


遊んでました。


「床下の空洞に気が付いてな。

流石にミイラがあるとは想像していなかったが」


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