第二百十話 錆その3の1
ナリ君と話そう。
ブットバスをどうするのか
そもそもナリ君→ブットバスで無かった場合
ブットバスは殺され損もいいとこだ。
俺はリリアンを説得して
リリアンには隠れてその様子を見てもらう事で
了承を得た。
説得の際、両肩を掴みたかったが
真のロリコンはどんなに愛でても
決して触れないものだ。
俺は鉄の意志で堪えた。
隠れてもらっている間に
廊下にいるであろうブットバスに
ナリ君を呼んで来てもらおう
リリアンが隠れているのも
内緒にしてもらわないとな。
俺は廊下に出た。
少し離れた所でブットバスとクフィールは
話に花を咲かせている様だ。
この二人はソリが合わないだろうと
勝手に思い込んでいた俺は
予想外の光景に少し驚いた。
うーん
やっぱり俺の女子を見る目は
ダメダメなのだろうか
早速、俺はブットバスに
そう申し出るとブットバスは了解し
ナリ君を呼びに去った。
その後ろ姿を見送りながら
俺はクフィールに言った。
「意外だったよ。クフィとブットバスは
てっきり合わないと思っていたのに。」
「はい、キライっすよ」
素敵な笑顔で答えたクフィール。
やっぱり女は怖い。
俺はクフィールにもリリアンが
隠れている事を黙っている様に念押しして
部屋で待っていると
廊下を駆ける音がして来た。
速い
前の二人とは比べ物にならない速さだ。
乱暴に扉が開くとナリ君が現れる。
「マスター!!」
怒って・・・いるのかコレ
まぁゆとりは感じられない様子だ。
俺は手を挙げて挨拶した。
「どちらへ行かれていたのですか!」
「まぁ座れよ。」
こういう時は反対の態度の方が良いか
俺はゆったりとふんぞり返った。
「ん?何か怒っているのか」
リリアンの不安の元凶を取り除いてしまおう
俺はナリ君にそう話しかけた。
「・・・・。」
即答しない
どう話そうか迷っている様子だ。
「俺が宴を拒否ったからか?」
他から情報を得ていない
俺が思いつくのはコレだろう
「一因ではあるかもですが、原因ではありません。」
怒ってはいるのか
「実はマスターが出て言った後
少し揉めてしまいまして・・・。」
俺の様子から
3人は俺の怒りに触れたのが何なのかで
ひと悶着起きたそうだ。
「それがエスカレートしまして・・・。」
旅立ちから今までの不満も合わせて
相手を責めるような恰好になってしまったそうだ。
俺を罠に嵌めた事は伏せたが
暗に知っていると思わせるような言い方を
してしまったそうだ。
「ストレガと二人掛かりでバイスを責めたのか」
「いえ、それが」
俺の頭をポンポン殴りすぎだ
それで俺が怒ったとストレガにも
食って掛かったそうだ。
「全方位に喧嘩売ったのか・・・。」
「収集がつかなくなりました。」
兄妹関係のコミュニケーションだから
黙っていたがナリ君的には
救世主がポコポコ殴られている姿は
面白くないそうだ。
「タマにいいのが入ってませんでしたか」
「うん」
まぁ半魔化なら痛くは無いのだが
「一因どころか全部俺が原因か
それに関しては済まなかったな。」
頭を下げて置く
ちょっと頭に来ていたのも事実だ。
それを怒ってくれた事は嬉しい
その事も伝えた。
「いえ、出過ぎた真似でした。」
そんな風になったのも
自分の不甲斐なさが原因だと
ナリ君は自己分析していた。
「もっと役に立てると自惚れていまいた。」
話を良く聞いて見ると
毒かき氷の件で
バイスの世話にまでなったのが
自分的に許せないらしい。
「いやオコルデ戦の囮は助かったぞ。
どうやって自分に攻撃を集中させたんだ。」
「分かりません。我が知りたいぐらいです。」
やっぱり運が0のせいだ。
誰かひとりが襲われる
その局面では100%ナリ君が襲われるという事だ。
「で、マスターは一体、どこへ行かれていたのですか」
「あんな不安を残す様な退場の仕方になって
済まなかったが、のんびり宴に参加している時間の
余裕が残念ながら無くてな・・・。」
俺は用意していたスペシャルな言い訳を
ナリ君に話した。
密かに放っていた密偵から連絡を受けた俺は
急ぎヒタイングに飛び死にかけの偽勇者を
治療しバックにいるマフィアに
今後の俺達の行動の渡りを付けた。
連絡を受けた意外は
大体合ってる。
「密偵がおられるとは・・・。」
「これはみんなには内緒にしてくれ
特にバイスにはな。」
俺は意味有り気にほくそ笑んだ。
乗りの良いナリ君も釣られて
ほくそ笑んでくれた。
「ふっ成程。」
「ストレガも知らない。なので俺の癇癪で
飛び出した格好にして欲しい。」
「ふっ流石はマスター我ですら
癇癪で飛び出したモノだと
すっかり騙されましたよ。」
実際
癇癪で飛び出したんですけどね。
人は
秘密を共有する事で
親密度が上昇する。
ナリ君にはこれで誤魔化そう




