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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二百六話 身から出た錆

メロめろから近い場所に

ラテラが襲撃された路地があった。

日も経過しているせいで

痕跡らしいものは見当たらなかった。


俺は再びダークをここに残した。

1型の捜索とメロめろ連中の監視を命じた。


工作員エージェントのスキルを使い

来た時と同じように地を駆けた。


オコルデの城の前まで来ると

チンチクリンに戻り

何食わぬ顔で正門前まで行った。


そこでミスに気が付く

冒険者ゼータのまま壁を飛び越えて

侵入すれば良かった。

門番に何て言えば入れてくれるのだろう。

既に正門に向かって歩いている俺を

門番は視認しているだろう

踵を返すのも怪しいし

そのまま歩いて行くが

結局良いアイディアの出ないまま

門番の前まで来てしまった。


二人居た門番の様子がおかしい

俺に気が付くとお互いが駆け寄り

何やら話をしていた。


俺が門まで来ると

俺が話しかけるより速く俺の所に来て

口を開いた。


「もしかしてリディ様でいらっしゃいますか。」


突然飛び出した俺が戻って来る事を

想定していたのだろう。

多分ブットバスか有能そうだったもんな。


俺は頷くと門番の一人は通用門からダッシュで

城内に入っていき、もう一人は

やたら丁寧に俺にここで待つように

懇願してきた。


この腫れ物を扱うような感じ

どんな話を通したんだ。


俺は「分かった」とだけ返事をして門が開くのを待った。

残った門番が椅子を持って来るわ

飲み物は要るかとか大変そうだった。


門は開けられないが

雑な扱いを禁じられている風だった。


断る理由も無いので

門番の勧めるまま全てのサービスを受けた。


程なくして門番がブットバスと共に戻って来た。


「どちら行かれていたのですか。」


ブットバスは怒ってると言うより

疲れている感じだ。

俺の居ない間にトラブルでもあったのか


「何かあったのか。」


俺は素直にそう聞いたのだが

なんかブットバスは

名前の通りの行動を起こしそうな

雰囲気になって言った。


「大事な国賓が一人行方不明になりまして

陛下も襲い掛かった手前

自分の責任だとヒドク落ち込まれまして

お仲間の方々も誰のせいかで大揉め

仲裁出来うる人材も当方には居らず

当然、宴は中止、お祝いムードから

一気に葬式会場のような有様でございます。」


「ハァ?俺抜きでやってろって言ったろうに」


どこまでも俺の言う事を聞かないんだな。


「主役抜きで出来うる道理がありません。」


俺のリアクションにブットバスは

攻勢から一転、明らかに戸惑った様子になった。

予想に反した行動だったようだ。


「主役はあくまで司教のバイスだ

俺は護衛にすぎん。」


「お言葉ですが、上下関係、力関係とも

素人目にもリディ様が主である事は明白です。」


「今回の行動は教会の用事だ。

例え飾りでもバイスが主役なんだ。

だからわざわざカーシ家に恩を売る様な

真似をしたんだ。俺にしてみれば

ヒタイングがどうなろうと知った事では無い。」


「その言葉、肝に銘じておきましょう。」


「で、どうする。入れてくれるのか

追い返すのか。捕えるのか?抵抗すんぞ」


俺は目標を設定しない放電をした。

俺の近くの金属に着弾する。

門番の鎧にも辺り

門番は悲鳴を上げて

慌てて鎧を脱ぎ自分の皮膚と

鎧が無事な事に首を傾げていた。

その後、その門番は少し離れた位置に立った。


半魔化ならではの悪魔ボディ機構に

頼った技だ。

ナリ君の宝剣を研究して

自分なりに再現してみたのだ。

あれ程の馬鹿げた電力量にはならない

宝剣自体になにか特殊な仕掛けが

あるのだろう。


「お供の方々を纏めて頂きたいのですが・・・。」


ブットバスは何やら悩んだ様子だ。

その後俺は本館とは離れた別館の一室まで

そーっと案内されブットバスから

説明を受けた。


比較的冷静な者から順番に教えて

連れて来ると言って来た。


「全員まとめて」


「恐らく話になりませぬ」


一体何があったんだ。

ブットバスの判断は的確だ。

ここは彼女の言う通りにするか

俺は了承するとブットバスは

退室し俺は一人部屋で待った。


すぐに扉が開いたが

入って来たのはお茶セットの乗ったワゴンを

押したブットバスだ。


「呼びに行ったんじゃないのか」


「配下の者に向かわせています。

私はココに居た方が有事の際に

最も適任かと」


そう言いながら馴れた動作でお茶を

入れてくれるブットバス。

剣の腕前だけでなく

こう言う事も上手いんだな。

恐らくオコルデの世話を焼いているのだろう。


それにしても有事の際って

何言ってんだ。

俺、ナリ君、ストレガの怪獣大決戦になったら

確かに普通のメイドじゃ身を守る事も出来ないか


心配性だな

俺達は仲良しチームなんだぞ。


「師匠ーっ!!」


全力疾走だったのであろう

髪を振り乱た半泣きのクフィールが

入って来た。


おいおい

これが一番冷静な奴なのかよ。


「あのーブットバスさん

冷静な順でって・・・。」


恐る恐る俺はブットバスに確認した。

ブットバスは真顔で答えた。


「はい。彼女はまだ会話、意志の疎通が可能です。」


なにそれ

老人ホームですか。


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