表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
204/524

第二百三話 404号室の朝

二度寝から見ざめた俺は

ストレージから非常食と水を出し

食いながらダークの報告を聞いた。


ダークはヒタイングのアチコチの影に

潜み、噂と言う噂を聞いて回って

あの店まで辿り着いたそうだ。


「例の奴かどうかは微妙でござるな。」


バングだと決定づける証言は無い

黒装束に仮面を被った人の可能性は

捨てきれない。

その後の目撃例も皆無だ。


「それ以外の情報も欲しいな

この街は初めてで、ここでの風習や

常識も知っておきたい。」


「お安い御用でござるが・・・

何についてでござるか。」


売れている野菜から

人気芸人の浮気まで

もの凄い情報量だそうだ。


俺は政治に関係しそうな話を頼んだ。

元の世界でも

飯食いながらTVのニュースを見ていた。

なんか懐かしい感覚が蘇った。


話を聞いている内に

どうも俺がかなり勘違いをしている事を

自覚した。


マフィア


この言葉のイメージから真っ黒な組織を

想像していたのだが

どうもそうでもないらしい。

バルバリスに吸収される敗戦で

王族貴族は政治力を失った。

その後ヒタイングは

市民から選出される政治部で運営されているのだが

これが不手際ばかりでどうしようもなく

あっと言う間に袖の下や脅しで腐敗しきった。

クリシアはヒタイングがバルバリスに対する

丁度良い緩衝地帯と来るべき反旗の為の

実験場にする為に政治を裏から動かしている様だ。

なので政治家が汚職で免職されても


何にも変わらない。


食いつぶすのではなく

上記の理由からマフィアはヒタイングの

都市としての力の向上に注力していた。

悪い連中に荒らされないで済んでいるのは

すでにマフィアがはびこっているからだ。

納豆みたいなモンだ。

納豆菌が支配しきっているから大腸菌が増えられない。

腐る前に良い感じで発酵している状態だ。

市民ももちろんそれを分かっていて

信じて頼り切っている有様だ。


一見、バルバリスに忠誠を誓い

伏しているように見せかけ

裏では麻薬や犯罪者などを使って

巧みにバルバリスに攻勢をしかけている。

その匙加減も微妙で

わざわざ腰を上げる程重要では無い程度で

ヒタイング側も「何の証拠があって」と言える状態を

保ちながらジワリジワリと非常に遅い足取りでは

あるが確実に勢力を増しているのだ。


ヒタイング国民にしてみれば

バルバリスだろうがクリシアだろうが

どちでも良いのだろう

どちらかと言えば敵だったバルバリスは

分が悪い少数派になるが

最大の武器である宗教。

これが一部のヒタイング市民に

熱狂的に受け入れられていた。


複雑で難しいバランスだ。


とにかくヒタイングにおいて

マフィア=悪では無いのだ。


「ふむ面倒くさい構図だな。」


俺の感想を笑い飛ばすダーク。


「アモン殿はモチロン、拙者一人でも

一晩で虐殺可能な連中でござるよ。」


「滅ぼすのが目的じゃないからな。」


釘を刺しておく


「恐怖で制圧も可能でござるが」


そうだな。

言われて気が付く

出来そうだ。


うーん、どうも思考が教会側だな

バルバリス側に拘らなければ

恐怖で制圧

それでも良いんじゃないか


まぁ最後の手段でいいか。

頼まれた事を放棄するのは

俺の主義じゃないからな

・・・・って

今、放棄してるも同然か

いやいやいや

先行しているだけだ。

現に俺がこなかったらラテラは

今頃死んでいてもおかしくない。

これだ

これを先行の理由にしてやろう

フヒヒヒ。


「まぁともかく最後の手段だ。

俺がやれと言うまでするなよ」


「承知。」


食い終わった俺は排泄、洗顔など

身支度をしてから冒険者ゼータになった。

ダークに手伝ってもらいながら

バリケードを解体し収納していく

デビルアイで部屋の外に人が居る事が

分かっていたのでダークには

影に入っていてもらい

緊急時以外は潜んでもらうことにした。


俺は扉を開け外の者と対峙した。

アリアだった。


「いつから居たんだ。」


「えっと・・・今来たところ

そろそろ起きるんじゃないかと思って」


デートか


「声を掛ければ良いのに」


「ボ・・・マスターから厳しく言われているの

こちらからは何のアクションも厳禁だって」


そう言えばそんな事を言ったな。

忠実に守っている辺り

組織としての練度が窺えた。


「何かすごい音がしていたけど・・・。」


鉄板と鉄骨の解体だもんな

そりゃ凄かったろう


「起きたら体操をするんだ。

部屋は傷つけていないぞ。」


俺は部屋の中を見せる様に

体を斜めにした。

しかしアリアは部屋を確認する事無く

笑い転げた。


「体操であんな音って」


「俺の体は剣で出来ているんだ。

服を脱ぐのもそーっと慎重にやらないと

すぐボロボロだ。大変なんだぞ」


笑い過ぎて零れた涙を

人差し指で拭いながらアリアは言った。


「イーさん、昨日と雰囲気が違うわ。」


「良く寝たからな、今日は機嫌が良い

それに雰囲気ならアリアだって昨日とは違うぞ」


明るい

弟の一件がのしかかっていたのだろう

これが素なのかな。


俺の一言で真顔に戻り

姿勢を正すアリア。


「お礼を言わせてください。

あなたがどんなつもりであろうが

私の弟を助けてくれた恩人である事は

変わりません。ありがとう。」


深々を頭を下げるアリア

俺はバウンドするボールを

キャッチするかのように

起き上がって来るアリアの頭を押さえると

撫でながら言った。


「本当の予定なら、ここを訪れるのは

もう少し先になるハズだったんだ。

これもお前の日頃の行いのお陰かもな

良かったな。」


そのまま泣き出してしまうアリア。

美味しくない感情だが

人の部分の俺は満足だ。


「おっ起きたのか、丁度良いラテラの意識が戻ったぞ。」


廊下の先

階段を上ったところから

俺達を発見したリカルドは

そう大声を出した。


「行こう」


「はい。」


明るく良い声でアリアは返事した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ