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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第二十話 そういえば誘拐犯だった

これから急いでもエルフの里に

今日中には到着しないので

もう今日はこのまま

この丸太小屋で過ごす事にした。


特に何もすることが無いので

ゴロリと横になっていたが

ミカリンが外を窺う様な

感じになった事に気が付く

顔が凛々しい

これはマジだな。


アルコも耳が普段より立っていた。


接近してくる者がいるのだ。


「アモン・・・。」


「危険は無いよ」


俺はさも、とっくに気が付いていました

的な態度で言っておいた。


「そう・・・なんだ」


美味い具合に騙されて感心するミカリン。

実は私はまだ察知できてません。

脳内アラームが鳴らないってだけの判断です。


「さ流石ですね。マスター」


種族的な身体能力も

レベルも上のアルコは

俺のセリフにミカリン以上に

感嘆した。


やめて

純粋な瞳で感心しないで

良心が痛い。


「危険は無くても、何だか気になるから

ちょっと見て来るよ」


大地の盾とショートソードだけの

軽装でミカリンは外に飛び出して行った。


戦闘系に関してのミカリンは

本当に積極的だ。


しばらくすると外でなにやら

話し声が聞こえて来た。

そのまま近づいてくる。

会話の片方はミカリンで

相手も女性の声だった。


「なんかねー採取の帰りで

いつもここで休憩してるんだってー」


ミカリンが入り口から入るなり

そう言った。


それで、中が綺麗だったり

備品が置いてあったりしたのか


「ありゃ、じゃお邪魔かな」


体を起こして入り口を見ると

俺は息を飲んだ。

咄嗟に出そうになった言葉を飲み込む。


ヴィータ


直ぐに別人だと気が付いたので

叫ばずに済んだ。

良く見れば似ていないのだが

見かけた瞬間だけは錯覚した。

なんていうのか

出てるオーラーと言おうか

雰囲気と言おうか

似ていたのだ。

冷静に見れば、脳が別人だと認識し

違和感が薄らいでいく

心臓の鼓動もそれに合わせて落ち着いていった。


年の頃は二十歳位だろうか

人族の普通のお姉さんだ。


ブウラウンの髪

背中の中程で纏めている。

地味だが整った顔立ちだ。


「いいえ、あのどうぞご利用ください

私も、この小屋を建てた関係者では

無くて勝手に使わせてもらっているんです」


正直な人だ。


「ご一緒にどうですか」


俺は荷物の中から予備のカップを

取り出すとそう言った。


小屋に立ち込めている香りに

興味を持ってくれたのか。

お姉さんは食いついて来た。


「あ、え、でも悪いわ」


「この茶葉は次は使えない

飲む人が居なければ捨てるのです」


「そ、そうですか。じゃあお言葉に甘えて」


面子的な事も幸いしたのであろう

子供二人と女性だ。

身の危険は感じないハズだ。


さて

油断している内に聞いてしまおう

女性の足でここから1日以内に

行き来できる集落や村など無い。

女性は軽装だ。

旅の服装では無かった。


お姉さんは背負っている竹製の篭を

入り口付近に降ろした。


ありゃ

採取は本当だな。


篭の中身はミカリンもお気に入りの

あのフルーツだった。

近くに馬車でも待機させているのかな。


俺は暖炉の上で沸かしていたお湯を

急須に注いだ。

この暖炉も前回作った物だ。

良く出来ている。

前回の俺すげぇな。


ただ今回の俺は

前回と違い時間に余裕がある

茶葉の発酵に成功していた。

かなり紅茶風味だ。

それにジャムを混ぜて

お姉さんに出してみた。


お姉さんは見た事の無いお茶に

警戒しつつも、そこから漂う香りが

部屋を満たしていた香と同じだと

気が付き、意を決して口をつけた。


「あら、美味しいわ」


これは、お世辞では無いな。

喉の渇きも手伝って

グイグイいってしまった。


結局、全員分の二杯目を作る事になった。


俺が準備している内に

女子達は打ち解けてきたようだ。


「あ、アモン。運ぶの手伝うよ」


出来上がった事に気が付いたミカリンが

そう言ってくれた。


「おう、頼むぞ・・・・って

どうかしましたか。」


急にお姉さんの様子が急変した。


「あ、いいえゴメンなさい」


お茶を飲みながら

お姉さんは原因を話してくれた。


「私、小さい頃に悪魔に誘拐された

事があるの・・・それで」


アモンという単語に恐怖が付きまとって

いるそうだ。

当時の記憶は曖昧で攫われた時の事は

全く覚えていないそうだが

親を含めた大人たちの対応が

鬼気迫る程真剣だった為

救出されてからの方が恐怖だったそうだ。


それは大変だったなー

って



この人アレか

ヴィータが勝手に体を乗っ取った

あの時の児童か

うわー

すっかり大人になっちゃって

おじさん

こーんな小さい時から知ってるんだよー


勘違いの合点がいった。

あの時ヴィータは参拝に来た人々の

中から最も波長の合う人間に

取り付いたと言っていた。


似ていると感じるのも道理だ。


でも

ベレン在住だったハズだよな。


その疑問はその後に語られた

内容で分かる事になった。


悪魔にさらわれた。

その噂だけでもうベレンに居る事が

出来なくなった。

本人はもちろん、親も周囲から

疑いの目を向けられた。


【その子は悪魔とすり替わってはいないか】


あからさまに言う者

言わずとも態度に表れる者

居たたまれない地獄の日々が

始まってしまったそうだ。


・・・不手際だ。

そこまで考えが至らなかった。

つかヴィータのせいだろ。


いや

俺のせいだな。

その位、ベレン市民に恐怖を植え付けたのだ

あのアモンは


「ですが、ハンスという神父さんが

本当に良くして下さいましてね」


悪魔で無い証明に尽力してくれたらしい


いつも済まないねハンス君・・・

ナイスだ。


ただ、それでも居づらさは改善せず

新しく出来た村への引っ越しを

教会が全面バックアップで

面倒見てくれたそうだ。


それが最初の疑問の回答になった。

この近くに村がある。

あの時は無かった新しい村だ。


歩いて1~2時間程度だそうだ。


「よし、予定変更だ。」


エルフの里を後回しにして

俺達はお姉さんの村に行く事にした。


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