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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百九十七話 陛下の御成り

元々は人の姿にもなれたが出来なくなった。

プログラムで言えばバグなのだろう

このメニューに表示される文字化けが

元通りに表示されれば完治と言う事だ。


遺伝子レベルで見てみよう、

俺はデビルアイの精度を上げて

オコルデを細かく走査していく

詳細は理解出来ないが

他と異なる状態ならすぐに分かる。

その部分を他と同じようにしてやる事から

始めよう。

モードを切り替えていくと

エネルギーの流動が明らかにおかしい事が

すぐに分かった。

所々不自然に滞ったり、全く流れていない箇所も

見受けられた。

改変を駆使し流れを調整していくと

変化は直ぐに現れた。


ステータス画面に読める文字が増え始めた


いいぞうこの調子だ。

なんだろう

妙な集中力が湧いて来た。

セーターの毛玉を取っている時の感じだ。


時間を忘れ作業に没頭した。

ヨハン改造の時を思い出し

少し躊躇した。


これはぶっ倒れるか


あの時は直後にぶっ倒れた。

・・・いいいか

今ならそれでもいいだろう

ナリ君もストレガもいる。

俺が倒れてもなんとかしてくれるハズだ。


俺はそのまま作業を続行した。


やがて

流れるエネルギーが腕時計の内部の様に

規則的に淀みなく、全てが稼働していた。

うん

この達成感は好きだな。

独り悦に入る俺。


どれどれ

改めてメニュー画面を見ると

おお

綺麗に表示されているではないか

俺天才。


名前 :オコルデ・シ・カーシ

くそ、何度見ても笑いそうになる


種族 :マーマン

人魚はこの種族の女性ってことかな


レベル:40

なんで高いのか、味方の騎士相手に

暴れまくっているせいなのか

ブットバスもそれでレベルが上がっていたのか

嫌な切磋琢磨だったな。


クラス:ロード

ジョブ:無


状態:ハーフ

これだな


俺は状態の欄をチェックすると

俺やミカリンなどと同じで動かせそうだ。


接続を解除する俺。

瞬間的に感覚は肉体に戻り

視覚聴覚などの五感が急速に回復していく

うーん

疲労は感じるもののぶっ倒れるまではいかなさそうだ

俺が上手くなったのか

単に馴れたのか

ヨハンの改造が酷すぎたのか

いずれなのか判断はつかなかった。


「待たせたな。」


俺は普通にそう言ったのだが

ストレガは鬼気迫る様子だ。


「お兄様!大丈夫なのですか」


なんか泣きそうだ。

どうしたんだ。

聞いて見ると、俺の体温は80度にもなっていた。

ああ処理に負荷が掛かるとこうなる事を

説明して無かったか。


俺は今更だがストレガに説明した。


「私との契約の時はお兄様に

変調はみられなかったので

心配しました。」


「ああ、あれはお前の処理能力が

高かったお陰で俺の負担が物凄く

少なくて済んだんだ。

あの頃から優秀だよなお前は」


泣いたカラスがもう笑っていた。


「あ・・・あの終わったのですか」


オコルデが固まったまま

そう呟いた。

そうだ作業中は動くなと言ってあったな。


俺はもう動いて大丈夫な事と

俺に触ると火傷するぜお嬢ちゃん物理的にな

事も伝えた。


飛ぶワケでは無いのだが

冷却の為に俺は翼を展開した。

放熱効果が高く見る見る体温が下がっていった。

次やる時は最初から翼展開しよう

それにストレガうちわで

扇いでもらってもいいかもしれない。

体温が落ち着いたので俺はチンチクリンに

戻って言った。


「さて、変身のテストをするぞ。」


フリック先は二か所有った。

人⇔ハーフ⇔マーマン⇔人

てな感じで

中間形態を介さず、どの形態にもダイレクトで

替われるようだ。


俺はそれらをオコルデに説明し

その時の感覚を覚える様にアドバイスした。

慣れれば自在に自分でチャンジ出来るはずだ。


「分かりました、お願いします。」


「先ずはさっきのマーマンだ。行くぞ!」


巨大化するので少し距離を置く

俺とストレガ

俺は勢いよくフリックした。


「キャッ」


自らでなく他人から強制的に変化させられるのは

初めてなのだろう

オコルデは驚いて声を出す。


「なんだそりゃあ!!」


俺はもっと驚いて大声を出した。

ベッドに横たわったのは

人魚だ。

貝殻ブラのアレですわ

俺の求めていたマーメイドですが

ちょっと違う

デカい

2m以上あるんじゃないか

大きさは魚人と同じくらいだ。

こうじゃない


「え・・・ええ・・?」


様子がいつもと違う事に

オコルデも戸惑っていた。

俺は鏡を作成してオコルデの姿を見せてあげた。


「・・・・。」


初めて見る姿に驚いている様子だ。


「これが呪いの解けた本来の姿だ。」


思えばあの魚人は男性の姿だ。

バグのせいでああなってしまったのだ。


「あ歩けないですね。」


下半身は魚のソレだ。


「その替わり水中じゃ敵無しだぞ。

次はさっきのハーフ状態に一回戻すぞ。」


俺は状態をハーフにした。

瞬間で人サイズまで縮小するオコルデ

ってあれ

これもさっきと違うぞ。


耳ヒレはあるが目は人と同じになり

鱗部分も大分減り、その代わり人の皮膚が

その替わりを務めていた。

貝殻ブラもそのまま

中でも秀逸なのが

腰の辺りの鱗がミニスカート状に変化し

健康的な生足が生えていた。

モンスター娘っぽい最初と違い

コスプレっぽい

かなり人間に近い感じだ。

中間形態のハーフもバグで容姿が変化していたのだ。


もうこの時点でオコルデは

感激の涙を流していた。


ストレガも嬉しそうに見ている。


「泣くのは早いぞ。さぁお待ちかねの人間状態だ。」


俺は目ん玉をREC状態にしてから

状態を人に変化させた。

人にデフォルトで貝殻とか鱗無いもんね

フヒヒ


おお

胸の貝殻が消えていく


しかしここでストレガが俺の前に

自らの背中を入れブロックしてきた。

流石のディフェンスだ。

俺は横っ飛びで視界を確保しようとするが

それよりも早くストレガはオコルデに

覆いかぶさる様にして確保した。


「お兄様、陛下はお着換えを致しますので。」


「ハイ。」


負けた。

俺は寝っ転がった状態のまま

ローリングしてベッドから落ちると

ヤケクソでそのままカーテンも

通過した。

イモムシゴロゴロだ。

自販機の缶みたいだ。


そして何かにぶつかった


「ドォゥワ」


ナリ君だった。

膝カックン状態になり仰向けに

倒れ後頭部を激しく床に打ち付けた。


「NOOOOOO」


痛そうだ。

大理石の床にゴンとか音したし

両手で後頭部を押さえて

左右に転がるナリ君。


「痛ぇじゃねぇか」


俺は逆切れした。


「リディ君!!陛下は」


周りを見て見ると

皆、復活してようだ。

ブットバスが心配そうに俺に

話しかけてきた。


「今、着替え中だ。」


そう言えば着替えはいつ準備したのだろうか

作業中は周囲の状況が見えないからな

その間にストレガが気を利かせてくれたのだろう。


「お待たせいたしました。」


優雅な仕草でストレガが

カーテンの向こうから出て来て

垂れないようにカーテンを摘まんで

持ち上げた。


「オコルデ・シ・カーシ様の御成りです。」


恥ずかしそうに

その人はゆっくりと姿を現した。


「「おぉ!!」」


その美しさに

騎士団といつの間にか戻って来ていた

執事・メイド軍団から思わず声が漏れた。


うん

ハーレム入りを許可する。


ブットバスは目を見開き

両手は鼻でもかむかのように

鼻と口を塞いだ。

見る見る溢れて来る涙。


「オコルデ・・・。」


陛下も釣られて涙を溢しだした。


「・・・ブスぅ」


「オコルデーェ!!」

「ブスー!!!」


皆も感動の涙を流す中

1人日本語圏の俺だけ

笑いを堪えていた。


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