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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百八十九話 俺を忘れた俺とそうでない俺

オリジナル俺、49歳

娘は今年20なるそうだ。


なんか元号が変わったぞとか

偉そうに言っていたが

全く悔しくも何ともない

そんなどうでもいい事でマウントを取れるとでも

思っているのか。


使えねぇぞ俺!


普通オリジナルって言ったら

O-ジェとかも無敵の強さでMK-Ⅱをボコるのに

何だこの使えなさは!!


しかもこちらの記録は

数字で持って帰れなく

うろ覚えの記憶のみで


「前回、どこまで話したっけ?」


かまドマの話をすると

「超懐かしいーっ」とか言っている。

こっちはまだ余韻の中だ。

MSの手足のくっつけたタイタスかまどウケるーっだ。


「タイタスって何だっけ」


忘れろ

どうせ黒歴史だろ


ダメだこりゃ

次に会う時には孫の話とか始めそうだ。

こっちの世界に固定された俺は

どうせそっちに帰れないのだ。


そんな世界がどうなっていようが

ハッキリ言ってどうでもいい。


しかし、これはオリジナル俺からも

同様なのだろう

物見遊山のこの世界は

あくまでもリアル感ハンパ無いゲーム空間なのだ。


二つに分かれた。

意味があっても事なんだと

不思議と納得出来た。

もう俺達の道は分かれたのだ。


オリジナル俺には何の期待も出来ない。

ログイン出来たからとて

そのペースでは、こちらで一年と経たずに

寿命を迎えそうだ。


同じ様に俺が元の世界に対しても

何もしてはあげられないだろう。

それは済まないと思う。


唖然としている俺に対し

オリジナルは余裕の表情だ。

まだ俺の方が若く、怒りっぽい

その差なのだろう。


前回のログインの後も

何度なくトライしたが成果が出ないまま

理由も分からず8年して

ログイン出来たそうだ。


記憶を頼りに新エルフの里付近だと

判断したオリジナル俺はプラプリを思い出し

それだけを頼りに里を訪れ

上手に説明出来ずに牢屋行きになったそうだ。


「いやぁ参った。」


「そうか、時間が惜しい情報をよこせ

スイスその他CERNからの干渉は」


手掛かり無しだそうだ。

バングの行動を見る限り

関連性は無いと考えても良さそうだ。


「そうかな。」


オリジナル俺はそう言ったが

まぁバングを見れば同じ様に考えるだろう。

俺はそう思ったが

オリジナル俺は予想外の意見を言って来た。


「ここと元、世界がその二つだけとは

限らない。むしろ二つしか無い

そう思う方が無理が無いか。」


「第3の別世界か・・・。」


そうなれば何でもありだ。

考えるだけ無駄だろう

こちらから仕掛けるのは勿論

確かめる術も無い。


「世界を越えて存在は行き来した。

俺達がその生き証人だ。」


なんかスゴイような

だからどうした感も否めない

微妙な感情になった。


ただイライラ感はMAXだ。


「ともかくだ。俺はお前と違って

こっちの世界で骨を埋めるんだ。

適当に物見遊山では生きられない。

現実的に効果のある打開策

解決策が欲しいんだよ。

ロマンを食って悦に入ってる余裕は無いんだ」


怒って言い返して来るかと思ったのだが

オリジナル俺は何と孫でも見る様な

優しい表情になって

またも

またも予想していなかった事を

語り始めた。


「そうか。そこまで覚悟が出来てんのか。

・・・・良かった。」


そこで視線を斜め下に落とすオリジナル俺は

後を続けた。


「いや、ずっと後ろめたくてな

戻ったのが俺で、残したのお前でさ

もし、元の世界に帰還を希望しているなら

そんなお前を理解し手伝えるのは

俺だけだと思っていたんでな。

いやぁ余計なお世話だったようだ。

ハハしかしすげぇな、そんな覚悟で動いていたのか

お前、本当に俺か・・・凄いよ。」


考えた事も無かった。

戻って行ったオリジナル俺が

残ったコピー俺をどう思っていたのかなど


「戻る方法か・・・・。」


現にこうしてオリジナル俺は

こっちに来ているのだ。

この逆をすればいいのだ。

出来なく無いハズ

発想はあってもおかしくない。

だが


「粒子加速器なんて百年経っても無理だ。」


ガソリンに該当する燃料を見つけて

自家用車なら百年くれれば何とかなるかも知れないが

粒子加速器なんて無理だ。

出来る気がしない。


「それにこっちで百年がそっちでは

何年になるんだ・・・。」


たったコレだけの期間で元の世界は8年も経過していた。


「「無理だな。」」


俺達は笑った。


実は他の方法

可能性を感じていたのだが

考えないと決めた。

変に逃げ道を作りたく無かった。

そうだな

学園を卒業して、バング問題が片付いてから

せめてそれが片付くまでは

考えない様にしよう。


俺は一人、拳を握りしめ

斜め上を睨みつけるポーズを取った。


「・・・何を決意した。」


オリジナル俺がボソっと言った。

読むなー。


そこからのオリジナル俺は

完全に開き直り

遊び感覚全開で俺達に着いて来ると言い出した。


「レベル1について来られても・・・。」


バイス辺りには何て説明したら良いのだ。

あ、なんか連れて行く気になってる

イカン

オリジナル俺のペースに乗せられるな。


「寄生すれば簡単に上がるだろ。」


畜生、その通りだよ。


「これから俺達はずっと一緒だ。」


そう言ってオリジナル俺は

忽然と消滅した。


帰りやがった。


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