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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百八十二話 悩める若者

「やっぱ流石っすねー。」


途中で仮面が落ち俺の冗談がバレた。

怒るかと思ったがバイスは

良かったーと神に感謝していた。

その仮面を土産に車まで歩いて戻った。

バイスが何か言う前に先んじて俺が

バイスの感じた邪な気の正体が

バングだったと皆に説明したのだ。


クフィールは差があり過ぎて悔しくないのか

素直に賞賛したのだった。


「いえ・・・アモンさんが来てくれていなければ

私だけでは、とても・・・。」


「そこまで考慮して俺を同行させたんだろう。

手柄欲しさに不相応な無茶しがちな若者なのに

その冷静な判断力、大したモンだと思うぞ。」


持ち上げて置く

実は今までバイスはパーティーに入っておらず

ステータスの確認が出来なかったのだが

バング騒ぎの最中、あの早く倒してくれ発言が

俺の指揮下に入る事を本人は了承してしまったと

判定されたのだろう。

今は見る事が出来た。


クラスは僧侶でジョブが司教

レベルは25だ。


いつぞやのクロードの言葉を思い出した。

俺達がレベル20付近で稽古をつけてもらい

ボコボコにされた時

俺らより弱い卒業生が冒険者として

デビューしていると言っていた。


同じ卒業生のクフィールが3だった事を

考えればバイスはやはり飛び抜けているのだろう。


その後は暗くなるまで車を進め

ブンドンまで半日掛からない程度の所で

キャンプになった。


肉体的には問題無いが

精神的には結構来ていたのか

バイスは客車で横になりっぱなしで

夕飯の時にやっと起きて来た。


その後、一人で車の点検整備をしていると

バイスはフラリと俺の所にやって来た。


「あ、手伝い・・ますよ。」


「助かる・・・照明をこっちに頼めるか。」


学園に機械科があるかどうか知らないが

このアモンシリーズの構造が分かるとは

思えない、それに主な目的は手伝いではないだろう

俺は照明係を頼んだ。


「何故、私を庇うのですか。」


「護衛だ。当然だろ・・・・

この先、まだ罠あるのか」


車の下に潜っているので

バイスの顔は見えない。

この方がバイスも話しやすいのではと

思ったのでこのままだ。


「ありませんよ。まぁもう信じては貰えないでしょうが」


「そうだな。信頼と言えるものは無いな。」


「・・・・。」


「でもそれは仕方が無い、会ったばかりだし

この時点で信じてるなんて、それこそ嘘つきじゃないか」


「アハっそれはそうです。」


少し声の調子が普通に戻ったようだ。

俺は続けた。


「後、革命な。俺は別にどうでもいい

教会の人間じゃあ無いからな

ただ焦る必要は無いと思う。

昼間見たアレ、バングを退治した後でもいいし

もっと言えば今の9大司教、50年後には

誰もこの世に居ない。君は居るだろ」


少し間を空けてからバイスは言った。


「あの・・・実は手伝いは口実で・・・。」


「何だって!手伝ってくれないのかよ!」


俺はワザと大袈裟に驚いて

車の下から出た。


「あ、いえ、しますよ手伝い」


「脅かすな。」


俺は再び車の下に潜った。


「これから私はどうしたら良いですか」


俺を殺すな。

これは言わない方がかっこいいか


「教会の任務を果たせ。9大司教入りするだろ

お前を信じた仲間もそれを願っているハズだ。」


「はい・・・教会に対しては・・・。」


「情報を洗い直せ、昼間も言ったが

やった後で間違ってましたじゃ

洒落にならん。」


「はい。そうします」


思えば

人生、上手く行きすぎたのだろうな

言った挫折があの程度だ。

挫折の意味が分かっていない。


「後・・・その・・・。」


まだ、何かあるようだな。

と言うかこれからが本題か

回りくどいなぁ


「父は、私を始末するつもりだったのでしょうか。」


「えー何で!?」


どうしてそうなるの。

思わず車の下から飛び出す。


「私の水面下の動きを全て掴んでいたとすれば

今回のバング調査、私を始末するには

絶好の機会です。」


掴んでは・・・居ただろうな。

出発の時の大袈裟な握手

あれは口に出せないが

この事も含めて「よろしくお願いします」

だったのだろう


「逆だな。始末するつもりなら

俺を護衛に付けない。

俺は強いぞ。」


「はい。」


「なんてったってバングと味方の裏切り

その同時攻撃をモノともしないで」


「ごめんなさい。許してください

出来れば二度と言わないでください。」


「・・・・。」


「・・・。」


「なんてったってバングと味方の」


「本当っごめんなさい!」


その後は他愛の無い雑談になり

バイスは憂いが少し腫れた様だ。

眠くなったと言ってその場を離れた。


「様子がおかしいとは思ったのですが

そんな裏切りがあったとは・・・。」


どこに隠れていたのか

入れ替わりにナリ君が現れた。


本当に何処に居たんだ。

感知系が反応しなかったぞ。

ちょっと本気で焦った。


その理由はすぐに分かった。

ナリ君のすぐ後ろから

宙に浮いた状態でストレガも居た。


ストレガは元々、攻撃系よりも

こういった魔法の方が得意だ。


「ここで始末すべきでは」


お堅い魔族だけあって

こういう裏切りとか許せないのであろう。

ナリ君は本気でそう言っていた。

俺が頼むと言えば殺る気満々だ。


「まだ成長段階の未熟者だ。

未熟だから間違う、それを全て始末して

行ったら未来には誰も居なくなるぞ。」


「むぅ・・御意。」


ナリ君は宝剣に掛けた手を下ろす。


「・・・お兄様。」


すんごいおっかない顔をしていたストレガちゃんは

俺の言葉でいつものキレイなストレガに戻った。

良かったーこの二人に襲い掛かられたら

俺だって危ない。


「俺は無事なんだしまぁ無かった事に

知らない感じで相手してやってくれ。」


危機は去ったのだ。


「お兄様、そういえばリリアンから

何か受け取って居たようですが・・・。」


去って無かった。


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