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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百七十四話 ミカリン専用武器

司教軍団が帰った後で

遅くなった夕飯を頂き

眠くなるまで

ガレージに籠る事にした。


「ああっしまった。」


無償バイトがいない。

ダークはアリアを下ろした付近で

ヒタイング及びクリシアに

先行偵察させていたのだ。


ババァル捜索でも手を付けていない地域だ。

1型の襲撃を心配していたが

俺を狙う様子は見られないので

大丈夫だと言って置いた。


「仕込み、手伝おうか」


後ろから声を掛けられた。

ミカリンだ。


「おぉ頼めるか」


ラッキーだ。


「時給金貨一枚ね」


アンラッキーだ。

本気で元を取るなら

爪切り一個いくらで出せばいいんだ。


俺の表情を見て

満足そうな笑顔を浮かべると。

冗談だよと言って傍に来た。


ミカリンとガレージで内職を始めた。

ミカリンの雑談がBGM代わりだが

ユークリッドの前で天使化した話は

手が止まる程、笑ってしまった。

今更ながら見逃した事を後悔した。


「泣きながら教義が揺らぐって言ってたよ。

どういう事かな。」


おい大天使。

迷える子羊の祈りがお前には聞こえないのか。


「まぁ頼りにしていた神の使いの天使が

悪魔と仲良くされたら、教えを説く方は

色々とマズいだろ。」


「僕とアモンが仲良いのは悪いコトなの」


「そんな事言っていられるのも

お互いが人間の肉体だからだ。

宇宙では人化できなかったら

大変だったじゃないか。

本来ならアレが自然な状態だ。

考えも教えも関係無い

自己の存在安定継続の為に相手には滅んで

もらわにゃならん。」


「うわーアレは痛かったよ。」


「今の俺達の関係はかなりのレアケースだろ。」


「うん。呪いに感謝だね」


それはもう呪いじゃなくて加護だな。

・・・加護で思い出した。


「そういえばレイバーンは装備出来たのか」


最終決戦Verだった。

あの時はバストサイズを測り忘れる程

余裕がなく、装備も細かく見ていなかった。


「それがさぁ・・・」


創業祭と違い体の一部が変形した装備では無く

天界に置きっぱなしで呼び出す為の

例の光の輪っかは制限されてしまっているようだ。


「そうか・・・じゃあ代わりと言っては何だが」


火と鍛冶の神ハルバイスト製とまではいかないが

今の俺なら結構な武器が生成出来る。

あ、レイバーンはハルバイスト製じゃないんだっけ


俺は人サイズで悪魔男爵バロンになると

レプリバーンを取り出し外寸や重心が同じになるように

生成をスタートした。


柄の部分にはインクルージョンの密度や

種類が珍しく魔導院や教会に渡していない

とっておきの中から火に最も反応する

キング・クリスタルをはめ込んだ。


生成が終わると人化して組み立てを行う

鞘はレプリバーンのをそのまま流用してしまう。


「ちょっと試して見るな。」


メカバングのテストなどを行った

鉄板で囲まれたブースへ移動して

魔力を込めて振って見た。

万が一の事を想定して半魔化してだ。


想定してて良かった。

バォオゥ。

瞬間的に発生した炎は

周囲の温度を一瞬の間灼熱地獄にする。

服のアチコチから変な匂いと共に煙が登った。

呪文の炎と違って無差別な物理攻撃だ。


「こんなモンかな。」


俺は最終チェックの走査をした

不具合は無さそうだ

それから人化してから振り返り

ミカリンに手渡す。


「硬度は有るが靭性はそうでもない

今までのミカリンの剣術を見る限り

鍔迫り合いとか力任せとか

しないっぽいから丁度良いとは

思うんだが。」


主な成分のミスリルだと

武器としては柔らかい部類に入ってしまう

しかし魔法とここまで相性の良い金属は

他に見当たらない。

足りない強度はチタンをハニカム状の

フレームにする事で補った。


「希少な金属を使ってるから

万が一折れても回収してくれると助かる。」


「くれるの?」


当たり前だ。

レプリバーンを参考

つまりレイバーンに感触の近い剣だ。


「専用設計だ。ミカリンが最も

使いこなせる。その為だけに作った。」


今までは礼も言わず受け取ってたクセに

どうした。


「あ・・・ありがとう。大事にするね。」


「留守を頼むぞ。グレアもブリッペも

戦闘出来ないんだからな。」


力強く頷いた後

ミカリンは剣を照明にかざして

全体に反射を流す様に刀身を確認した。

その次はライフルでも撃つかのように構え

刃渡りを見る。上手に反転させ

反対側も同様に確認した。


「これ・・・スゴイんじゃない」


「今の俺の限界だ。」


多分、切れ味的には葛飾北祭を超える。

耐久力は負けるがな。


「振ってみてもイイ?」


輝くような笑顔だ。

気に入ってくれたようだ。


「テストブースでな、魔力込めると

さっき見た通りだからな。」


スキップする様な足取りで

テストブースに移動したミカリンは

様々な型の素振りを始めた。


初めて手にしたとは思えない程

馴れているのが傍目にも分かった。

まるで体の一部だ。


「・・・レイバーンと遜色無いよ。」


大陸半分焼く剣なんか作れるか

お世辞だな。

でも素直に嬉しい。

特殊効果を除いた純粋に剣としての

評価だよね。


「魔力はどうやって込めるの?」


「ええとだな・・・。」


俺は魔力の充填の仕方を

玩具バングを例に出して説明した。

ミカリンは一発で覚えた。

これだけでも超合金バングの

意味があったってモンだ。


「ちょっとやって見るね。」


「始めは軽くな。」


「アモンみたいになたくないよ。」


先程の火炎地獄

思えば後ろで爆笑していな。

半魔状態で良かった

完全人状態なら全身やけどの重傷者だ。


ミカリンは軽く

本当に軽く上段から振った。


ビシュイン


耳を割くような音が響く

刀身から赤く眩い光が

素振りのスピードで飛んで

鉄の壁に炸裂した。

その軌道上

遅れて炎が上がる。


「うわあ!!」


思わず声が出た。


ミカリンも固まっていた。

直ぐに悲鳴を上げる。


「熱つつつつつ!!」


「天使化しろ。俺今人だ。」


変な言葉だが

簡潔に言うとこうなる。


すかさず天使化するミカリン。

部屋が明るくなる。

やっぱ光るのね。


「危ないよコレ!!」


「武器だからな。」


12枚の翼を展開してつま先3cm程度の

高さで滞空したミカリンは

そのままフワーって移動してきた。


「なんかアモンと効果が違うし」


大人ミカリンだ。

バストサイズをって

あー

人状態だとデビルアイ使えないじゃん。


設計的にはミカリンの方が正解なのだろう

俺のは暴発した感じだ。


俺はそう説明して

テストブースの壁を確認しに行った。


鉄製の壁、着弾地点はここですよと

言わんばかりに、真っ赤に光っている状態だ。

融点に近いという事だ。

一瞬で2000度付近ですか

流石は天と火の大天使

ヤバいですね。


俺は射程距離のテストは

ミガウィン族の領内など

目視できる範囲に人工物の無い荒野で

行う様にミカリンに注意した。


少し考えてからミカリンは頷いた。

これはテストしないパターンですわ

そう判断した俺はクリスタルの

脱着方法を説明しておく

案の定、外した状態で鞘に収めて

しまった。


まぁうっかり暴発より

絶対こっちの方がイイか。


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