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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百六十八話 じゃなくて死んでるかも獅子

ある意味、俺は最大の危機を迎えていた。


「・・・学園、卒業してるんだよね。」


クフィールにパーティに入ってもらい

ステータスチェックをしながら

俺はクフィールに尋ねた。


「成績は下の方っすけどね。」


成績優秀ではないにしろ

卒業し魔導院に入った。


それでレベル3とか


あんな前フリをしたはいいが

こいつ・・・才能無いぞ。


俺は縋るようにステータス画面を

弄りまくり、何か特別な数値を

見つけ出そうと頑張ったが

ダメだった。


こいつ一言で表現するならば

「ミス普通」だ。


目の前で大人しく待ってるクフィールを

俺はチラリと確認すると

期待MAXな輝いた目で

頬を紅潮させ待っていた。


尻尾が生えていれば

ブンブン振っているに違いない。


最大のピンチだ。

打開策が全く思い浮かばない。


もうクフィールという名がある

名付効果は期待出来ない。


年齢も22だ。

肉体的な伸びしろも残っていない。


後は改変か

悪魔契約なんだが

これはクフィール側が望まない限り

強引には出来ない。

んー最後の手段だな。


ここで疑問が出た。

魔導院に入れるのは学園で特別な者

成績優秀とか魔力量が多いとか

特殊な魔法を使うとか

普通で無い者達のハズだ。

なんでこんな普通な奴が魔導院に居るんだ。


本人に聞いて見るか。


「いやぁ何でも四行相克がおかしいとか

珍しい体質らしいっすよ。」


四行相克

火←水

↓ ↑

風→土


という魔法の力関係だ。

矢印方向に有利が働く。


土属性の俺が風を習得出来ないのも

これに関係していると思われる。

自論だが俺は五行で考えている。

雷を一つのカテゴリーとして水と土の間にいれていた。


相克はステータス画面に出ない。

この世界ではどうやって調べているのだろう。

これも本人に聞いて見た。


「検査方法があるっすよ。

実際にやってみた方が速いっすね」


俺はクフィールに導かれるまま別室に移動した。

クフィールがその部屋を物色し

柱に設置するような大き目の温度計らしき

物体を四つテーブルの上に置く


その温度計は細いガラス管の中に

それぞれ、水と泥と空っぽが二つだった。

空っぽの内一つは密閉されていなく

管に一列に小さな穴が開いていた。


クフィールは穴開き管にアルコールを

注いで満たし壁の燭台から火種を移すと点火した。


「で、それぞれこの部分に魔力を込めるっす」


そうして反対側のメーターが測定値を出すそうだ。

最も大きい数字が出たのがその人の適正。


魔力の通いやすい材質で判定するのか

成程

これでは四行になるのも仕方ない

電気を常駐させる方法が無いな。


俺は試してみようと手を伸ばすが

クフィールに止められた。


「いややや師匠がやったら、間違いなく

ぶっ壊れるっす。」


聞いて見ると、初見の雷撃の威力

あの威力を出せるレベルの人だと

魔力が強すぎて全てのメーターが

振り切れて判定もクソも無くなるそうだ。


「結構、貴重な品物なんで壊したりしたら

怒られるっすよ。」


その時、扉が開いて人が入って来た。


「あら、いらっしゃい」


入って来た人は大人しそうな女性だ。

いらっしゃいと言ったという事は

この部屋の主なのか


「丁度良いっす。手伝って欲しいっす」


クフィールは強引に部屋の主を巻き込んだ。

あらあらと言いながらも抵抗せず

クフィールに連行されてきた。


備品の管理を担当しているロクサーヌさん30歳

子供が一人だそうだ。旦那さんはベレンで

衛兵をしているという。

もしかしたら旦那さんの笛の音を

俺は聞いているかも知れない。

レストラン暴動事件はごめんなさいだ。


「私・・・魔力弱いから恥ずかしいわ」


いいからやれ


「一般的な例を示すだけっす。

あたしがやるとホラあれっすから」


そうしてロクサーヌが先に測定した。

火>風>土>水の順で数値が変化した。

火適正の一般的な反応だろう。


「これが普通っす」


「火適正者の、な。」


言葉が足りんぞ。


「そうっす。これを踏まえて見てて下さいっす」


続いてクフィールが同じように

測定を開始した。


その結果に俺は固まった。

なんだそりゃ


土が動いただけで

残り三つは反応しなかった。


四行相克はもちろん

俺の五行にも当てはまらない結果だ。

如何に一つの属性に特化していようと

有利な属性相手には少しでも

反応は出ないとおかしい。


これは異常だ。


「本当、珍しいわよねー」

「って言われても自覚は全然無いっすー」


笑ってやがる。

どういう神経してんだ。


「原因は解明されているのか」


クフィールを問いただすと

解明に乗り出してもいない

突っ込んで聞いて見て理解した。

要するに「珍しいサンプル」として

魔導院に在籍が許されているのだ。


何やってんだ魔導院は

この謎を放置するとか


「じゃあ、やってみましょうか

怖くないでしょ?」


ロクサーヌさんは

ほんわかした口調で俺の前に

測定器を移動し始めた。


どうやら、クフィールが親戚の子の

面倒でも見ていると勘違いしているようだ。


俺は例の気持ち悪い笑顔で答えると

慌てて止めに入ろうとするクフィールより

先んじて測定器に手を伸ばした。


火の計測器は炎を吹き上げ

宙に舞い爆発した。

悲鳴と煙で部屋は満たされた。


予想よりちょっと派手だったな。


「怖く無いって言ったぢゃないかー」


ここは逆ギレで通そう。

俺は家〇ゲームの松田〇治バリの演技で叫ぶ。


「やっぱり僕は化け物なんだ。

みんな僕を殺す気なんだ

お前らもそうなんだろー!!

うわぁあぁあぁぁあ」


このうわー

このうわーの時の横隔膜の動きが難しい。


「ち違うわ!そんな事しないわ」


あらロクサーヌさん

真面目にイイ人かもしれない。


「騙されるもんかぁああー!!」


でも

もうちょっと遊ばせて


俺の意図を呼んだのか

ススけた顔のクフィールは

冷めた表情だ。


「あの・・・師匠。」


「近寄るなあああああ。

うわぁぁあぁあぁぁ!!」


「お願い話を聞いて。」


ロクサーヌさん

涙ぐんでいる

流石に悪いか

この辺でネタばらしに移行するか


そう思った時に背後のドアが開いた。


「こっちよ!!来て!」


扉の向こうには美少女だ。

俺は迷わず飛び出す。


「逃がしてあげる。来て」


はい


やったー

いいね

こういう展開だよ。

これだよ

俺が求めていたのは


俺は小躍りしながら

走る美少女の後についていった。


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