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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百六十二話 ありがとう宗方コーチ

窓から見える風景

町はもうすぐ夕暮れ時を迎えようとしていた。

これが最後の太陽になるのか。

俺の命も夕暮れだ。


俺は背を壁に預け

肩にはガウンを掛けてもらい

下半身は毛布の中だ。


ベットで起き上がった病人。

まさにその図だ。


傍らで甲斐甲斐しく

俺の面倒を色々と見てくれているミカリン。

彼女の気持ちを考えると

申し訳ない気持ちになるが

俺がこれからする事

どうしてなのか

彼女なら

きっとの俺の事を分かってくれるハズだ。


何より彼女は強い娘だ。


「蘭子・・・花瓶の水を替えて来てくれないか。」


「仁・・・分かったわ。」


ミカリンが花瓶を抱えて

部屋を出たのを確認してから

俺は傍らにしまってある

日記帳を取り出し

最後の力で書いた。


岡、エースを


ヤバい

俺がもう泣きそう


「ちょっと待ってください!!」


ジェット音がしなかった。

ストレガが隣の自室から

壁を蜘蛛のように移動し窓から

俺の部屋に侵入してきた。


「おわ、何だ!」


岡の字

間違えたか?

丘だっけ

いやや

岡だよ。


「あれ?まだ死んでない。」


花瓶の水を替え終わったミカリンが

ドアを開けて入って来てそう言った。


「このカガ・ノーランという役は

仁の妹なんですよね!」


カガ・ノーラン

新しい解釈だな。


「そうだが、それがどうかしたか。」


「じゃあ私がやらなくちゃじゃないですか」


輝く瞳で言い切るストレガ。


「・・・いいか?ミカリン。

頼んで置いて悪いが」


この方が面倒くさく無さそうだ。


「いいよ。いいよ。じゃあ

ストレガちゃん交代ね。」


宇宙空間で迷子

あの後、大丈夫を連呼し続けるミカリンの

後ろをついて行き

なんとか帰還出来た。


家に帰って人化した瞬間

俺はぶっ倒れた。


無理過ぎた召喚。

急激なレベルアップ。

発狂に至るまでのストレス。

これまでの休み無しでの稼働。

今回は人が本体なのに

半魔化での連続徹夜などなど


原因はそれこそ

枚挙に暇が無かった。


ブリッペに回復を掛けてもらい

後はセルフで回復しようと言ったのだが

少し休もうと言う

皆の提案に甘える事にした。


確かに急ぎ過ぎだった。


怪我や病気の類では無いので

ただ寝っ転がっているだけで良いのだが

なんか女子軍団は

ここぞとばかりに世話を

それも競って

焼きに来てくれた。


お前ら良い奴だったんだな。


ひねくれ者の俺は

どうも好意を素直に受け取るのが

苦手なのかむず痒く

どうしても裏を探ってしまう。


一度ミカリンに聞いて見たら。


丸太小屋でのお返しだと

嬉しそうに言っていた。


これも因果応報の一種か

ブリブリゲーゲーのミカリンの

面倒を確かにみた。

ならば有難く甘えて置くほうが

ミカリンの為にも良いのか。


初日は意識が無かった。

途中、起きて排泄と水分補給を

したそうなのだが

全く記憶に無かった。


二日目からは世話になりっぱなし

アルコは料理の腕が上がっている。

ブリッペは言うまでもない

ミカリンは・・・・気持ちが有難い。

ストレガは流石で

俺の好みを知り尽くしていた。

グレアさんのは辛い。


後で聞いたのだが

誰が料理を作るかで

ひと悶着あったそうだ。


動けない重病人ならともかく

ただ怠けているだけの様な俺の世話に

何人も人手は要らない。

ひと悶着の末、話し合いでもあったのか

交代で代わる代わる世話が行われた。


一度、全員並べて

じっくりと見た。


ミカリンは美少女だ。

僕という一人称と肉体年齢のせいで

性別が微妙な少年っぽさがあるが

ヒロイン張れるレベルだろう。

大人状態だとカワイイが消え失せ

凛々しくなってしまうが

あー

また

またバストサイズ測るの忘れた。

俺ともあろう者が

二度もチャンスを逃すなんて

でも

その二度が最終決戦と自殺未遂って

余裕の全く無い状況だったしな。

仕方なしだ。

今度なった時は必ず測ろう。


アルコは健康的だ。

もう水色のビキニでも着て

サンオイルのCMに出て欲しい。


そこへ行くとグレアはセクシー路線だ。

こっちは白ビキニに

ジョッキでビール構えて欲しい。


ブリッペはちょっといけない雑誌の表紙だ。

ロリ顔低身長と裏腹のダイナマイトボディ

泳ぐ事を想定していない水着で

意味も無くソファに

寝っ転がってもらいたい。


ストレガは美少女だが

神秘的な印象が強く

露出は逆効果だな。

最終回なら全裸で半透明で宇宙を

駆け巡ってくれそうだ。

体型も不自然に細い

だが腕力では獣人アルコに迫るだろう。

まぁ人間じゃないからな。


うーん

こいつらレベルが高いんだな。

甲斐甲斐しく世話されて

改めて感じた。

俺の中のハーレム欲求が

今一不完全燃焼なのは

ある意味すでにハーレムが完成しているからだ。

これ以上のレベルの女の子を

集めるのは勿論

探すのだって容易じゃないぞ。


だからと言って諦めはしないが


絶対、学園に入って

ハーレム要員を集めるのだ。


そんなこんなで三日目の今日は

暇を持て余した忌の際ごっこだ。


「あああああお兄様ああああああ」


ストレガはノリノリで

カガ・ノーランの役をやり切った。


満足そうだった。


「じゃあ次は・・・サド先生ね。」


「あいよー」


俺はベッドから元気よく飛び降りると

ロッキングチェアに座った。


「サド先生、ワシをしばらく1人に

してはくれんか。」


ミカリンは後ろ髪引かれる演技で

俺から離れドアのブに手を掛けた。


「サド先生。」


このタイミングが大事だ。


「・・・ありがとう。」


ミカリンが部屋から出たのを

確認した俺は写真替わりの

紙切れを眺めた。


「地球か、何もかもみな懐かしい。」


ガクっ

手から零れ落ちる写真替わりの紙。

何かを感じ取り

慌てて部屋に戻って来るミカリン。


敬礼


「くぅーーっ!泣けるーー!!」


ここでアルコが入って来た。


「マスター。お客様ですがどうしますか。」


「くーどうぞ」


入って来たのはユークリッドだった。


「元気そうじゃないですか。」


「いやこれでも死にかけたんだぞ」


自殺だけどな。


ユークリッドは俺が倒れている間の

色々な報告をしに来てくれたのだった。


改良メカバングは練習場に運ばれ

魔族遠征二期組の対バング訓練は

順調に行われているそうだ。


「あ、後、そうだ。言おうと思っていた事が」


俺は俺で1型と遭遇した事を話した。

ダークの事は一応伏せた。

悪魔光線も魔法に置き換えて説明した。


「鎌・・・ですか。」


1型の外見や異空間技などの情報の中から

ユークリッドは鎌腕に関心を示した。


「何か、気づいた事が?」


普通なら異空間アタックが一番ビックリのはずだ。


「昨日、入った報告なんですがね・・・。」


ユークリッドはそう前置きをして

話始めた。


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