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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百五十八話 リアルなら良いってもんじゃ

最初に玩具で馴れていたのが

功を奏したのか

元からマリオにラジコンの才能があったのか

あっという間に制限解除まで進み

俺が驚くほどメカバングは本物の2型と

同様に動くようになった。


そう言う風に作ったのだが

いざ目の前で見てみると

信じられない光景だった。


俺ですらコレだ。

バングを知る見物人達は

興奮と恐怖の感情をほとばしらせた。


マリオは巧みに2型を操った。

玩具の時では視認出来なかったが

メカバングのサイズだと

コントローラーに当たる義手から

魔力が光を発しながら幾つも伸び

複雑な命令の時は網の様に変化した。


これが後の世で操り人形を


マリオネット


と呼ぶ語源になるのだった。

・・・・

ごめんなさい嘘です。

勢いだけで適当に言いました。


アルコに相手してもらう前に

ちょっと俺が試して見るか


「マリオ。ちょっと火球ファイアボール当ててみるぞ。

当たった箇所の操作を止めて見てくれ。」


「本物は魔法が弱点だったんだよね。

その再現か、やってみるよ。」


俺はメカバングの腕目掛けて弱めの火球ファイアボール

命中させる。強度的には問題無い計算だったが

実際に不具合を起こすかどうかも知りたかったのだ。


火球ファイアボールは弾かれた。

強度は大丈夫だ。

後はマリオがその場所の動作を

止めてくれればOKだったのだが

予想外のトラブルが起きてしまった。


メカバングは全く動かなくなってしまったのだ。


「マリオ。止めるのは腕だけだ。」


俺はマリオが勘違いをしていると

思っていた。


「あれ?おかしいよコレ」


マリオは困惑したように答えた。

振り返って見てみると

義手から伸びていた光の線が

全て消え失せていた。


壊れた?

何で


俺はメカバングが転倒しない様に

外から関節を全ロックし

背中のメンテハッチを開け調べるが

特に壊れてはいない。


何だコレ?


試しにマリオに

起動操作を行う様に言うとメカバングは

まるで何も無かったかの様に動いた。


「・・・理由が分からん。」


首を傾げる俺にマリオが言って来た。


「感触なんだけどね。」


何でも火球ファイアボールが命中した瞬間に

操作を伝えている魔法の糸が全て切れた感触が

マリオにはあったそうだ。


「他からの魔力の干渉で接続が切れるのか」


「根拠の無い感想で申し訳ないけど

僕はそう感じたよ。操作しているより

強い魔力だとそうなるんじゃないかな」


ちなみに武具の帯魔量なら

大丈夫だと思われるともマリオは言っていた。


それも踏まえてテストしてみるか


「アルコ、ちょっと相手してみてくれ」


「はい。マスター」


俺はアルコの装備を槍兵にチェンジした

アルコも半獣人化して

お立ち台から下りる。


兜の面をカシャンと言い音させて降ろすと

アルコは宣言した。


「お願いします!」


実はこの面のカシャンは

結構こだわって細工したのだ

材質はもちろん

構造の中空の大きさなどで

音程、質、余韻などを調整し

良い音になる様にしてある。


カシャンの響きに

1人うっとりする俺。


「行きますよー」


「ちょっと待ったぁ!!」


気合を入れたマリオに

ストップが掛かった。


声をした方を見れば

ナリ君がルークスを伴って

訓練場入り口から入って来ていた。


「ん?許可は取ってあるぞ」


任せたのはギガにだ

俺はギガをチラ見してそう言った。

俺のチラ見の意味を察したギガは

当たり前だと言わんばかりに

大きく頷いて見せた。


「そう言う事ではありません。マスター」


「じゃ、何だ」


俺とマリオの元まで歩み寄りながら

ナリ君は言った。


「二つあります。」


「ふむ」


「まず一つ目はまた我を仲間外れにしましたね。」


「恰好悪い所を王に見せられるか。

二人ならともかく国が関わっている実験だ。

まともに動き、思わぬ事故の危険が

無い事を確認してからだ。」


「ぬぅ、遊んでいるモノと」


「まぁそう見えるが違うぞ」


多分。

俺にとっては遊びの延長だが


「では、二つ目。これが重要です。」


「何だ・・・ゴクリ。」


真顔だ。

ナリ君は真剣だ。

これはマジだ。

俺はつい身構えてしまった。


「マリオとやら・・・・何だそのポーズは!!」


「はい?」


ポーズ

操作に集中するあまりマリオは

前のめりで猫背になっていた。


「恰好悪いにも程がある!見ておれん。」


「って格闘技じゃないんだから

構えとか関係ないのでは・・・。」


助けを求める様にマリオは

俺をチラ見しながら答えるが


うん、ナリ君の言う通りだ。


「指導してもらえるか」


「マスターの頼みとあっては・・・フッ」


格好いいポーズで答えるナリ君。

えーっと言わんばかりの顔で

俺を責める様に見るマリオ。


「兵の士気に関わる。研究者には

意外に思うかも知れないが

これは大事なポイントなんだぞ。」


と俺は適当な嘘でマリオを納得させた。


ナリ君が熱心にポーズの指導を始めた。

何か「デュエル」とか叫んでいる。


ポーズ指導の間に休憩を取ってしまおう。


俺はテーブルを含めたお茶会セットを

出してお立ち台組と合流した。

アルコの装備も戻してやる。


皆、喉が渇いていたようで

喜んで参加してくれた。


「外見をあそこまで似せる必要あるの

似すぎてて怖いんだけど。」


ミカリンの感想にはユークリッドが答えた。


「実戦で目前にする兵士にしてみれば

馴れているに越した事はありませんからねぇ

私は良いと思いますよ。」


頷きながらギガも言った。


「そうだな。怖気づいて訓練した内容が

頭から吹っ飛んじまったら意味無ぇしな

・・・にしても良く似てやがる。」


「まぁ似てるのも当然だ。

仮面は本物を使ってるからな。」


俺の解説に一同、茶を噴いた。


「危険は・・・無いのでしょうか。」


テーブルを拭きながらアルコが

心配そうに言った。


「無い。動物の骨みたいなモンだ。」


俺もあらゆるテストを仮面にしてみたのだが

何の反応も無かったのだ。

軽くて頑丈だし、わざわざ別で模型を

作成するよりそのまま使ってしまった方が良い。

ストレージに大量に余ってるしな。


その後は雑談で盛り上がった。

そしてポーズ指導が終わったようだ。


「では、改めてお願いします!」


カシャン


うーん。

何度聞いてもいいぞ。


マリオは斜めに構え

まるで見えない壁に寄りかかって

いるかのようにフラリと立っていた。


おお

すでにナリ君だ。


おもむろに左腕の袖を引っ張り

義手を露出させると

天に掲げる様に義手を上げた。


「神の摂理に反旗を翻す。罪深き人類の業。

今こそ我の腕が運命の糸を操らん。」


満足そうに頷くナリ君。

マリオ演技上手いからなぁ。


「突いてイイですか。」


「待ってあげなさい。」


アルコを制する俺。

気持ちは分かるが

訓練しないとね。


「心を持たぬ鋼の巨人よ!

我の魂を乗せ、その力を見せよ!!」


アルミと鉛で

鉄は殆ど使って無いんだけどね

バネ位かな、使ったの


「アルコや、そろそろ来るぞ。構えて」


「はい!」


鉄巨人制御戦闘アイモータルコンバット!!!」


飛び込むアルコに腕鞭が振るわれた。

タイミングよくタワーシルードを合わせいなす。


金属音が響き渡り、腕鞭は暴れながら

アルコの横の地面を叩き

派手に土煙を上げた。


観衆から声が上がる。


「やるな。小娘!しかしコレならばどうだ」


「?!」


メカバングの体の向きを微妙に調整し

収縮して戻る腕鞭をアルコに絡ませようとする。


アルコは盾で合わせながら体を回転させ

その巨大な鉄蛇の罠から上手に逃げた。


しかしマリオは鞭腕を元に戻さず

ボディの揺さぶりを利用して

二撃目の体勢を取る。


おお

これは無限コンボか。


「ククク。いつまで持つかな!!」


駄目だろ。


「セッ」


「むぅわーー!!」


俺の放った静電気セーターが後ろから

マリオを射抜いた。


「クククじゃねぇ。バングのしない動きを

させるんじゃない。訓練にならないだろうが」


悪にそまったワリオっぽい表情から

いつものくたびれた感じの顔に戻るマリオ。


「はっ・・・僕は一体・・・。」


「ナリ君。何か盛った?」


あまりの豹変振りに

俺はナリ君を問いただした。


「盛り上げましたが薬物は使用していません」


その後、正気を取り戻したマリオは

忠実にバングの動きを再現して見せた。


「本物とまったく同じです。

錯覚を起こしそうですよ。」


ちょっと困惑した表情で感想を述べるアルコ。

テストは大成功ってことだ。


「では、早速ですが」


ルークスが魔族槍兵に指示を出しす。

遠征二期組の兵がワラワラと

メカバングの前に並んでいく。


「行けるか。マリオ」


「ああ、本当に僕の方は消耗が無いよ。」


止めておけば良かった。

馴れたアルコだからいなせたのであって

まともに食らえば


「ぐはぁ」


訓練兵は潰れてしまった。

リアルに拘り過ぎた。

殺傷力もリアルだった。


俺は慌てて回復呪文を使用し

なんとか惨劇は免れたが


マリオの精神的ショックがデカく

そこで訓練は中止になった。


丁度、首脳陣が集まっている。

緊急会議が行われ

腕の外装は竹などの

殺傷力の無い素材に変更する事が決定した。


「皆さんは運が良いですよぉ

次は殺傷力の無い腕に改装しますが

本物の破壊力は今見た通りです。

心して訓練してくださいね。」


すっかり怯えた兵に

ユークリッドは笑顔で言った。

流石だ。


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